婚活14日目

『食べてるんだから辞めてよ!』
瑠璃はお腹が減っていたのか、ハンバーガーを貪りながら鏡に映った自分の姿をチラつかせる。

【瑠璃は本気で婚活をやってる?】
『う~ん。両親が亡くなってからネコと暮らしてるから出来たらいいなぁぐらいかな!』
【それじゃー可哀そうだよ】
『そうね。でも、私自身が別に選べる立場じゃないから』
【いや、可哀そうなのは男性がだよ!男は真剣に相手を探すために婚活動に励んで遊び感覚で来れない額を払ってパーティーに挑んでるのに。瑠璃のようにリスクも無くそのような参加するならパーティーは辞めた方が良い。
もっと男の気持ち考えてあげなよ】

慶太は男性をかばうかのように瑠璃に強く言い放った。
瑠璃は食べる手を止め考え込んだ。

婚活パーティーに対する気持ちが男と女では天と地ぐらい差がある。
慶太は瑠璃のように遊び感覚で婚活パーティーに参加している人を許せなかった。自然とタバコを吸うペースも早くなり、ブランコの周囲には吸い殻が増えていった。

【食べたら行こう】
『どこに?』
【墓場だよ】

慶太は暗い顔して歩いて行く。瑠璃は後を追い少し離れた距離を保ち慶太の後を不安な様子でついていく。墓場に案内してくれると言われ平然な様子で居られるはずもなく、無差別殺人のような匂いが嗅ぎだした。

『ここって』
【良いからついてきて】

そこは瑠璃と慶太が最初に合った場所の近くだった。
慶太は何事もないかのように狭い繁華街の路地裏を歩いていく、瑠璃は不安が募り慶太へと歩く距離が近くなっていった。

1件のビルに入り裏口の階段を登っていく。二人の足音だけが高音で響き気が付けば、4階ぐらいまで登っていた。更にはトラロープで立ち入り禁止と言う看板を超え天井が見えないぐらいの高さがあるハシゴを迎える。

『はっはぁ~はっはーまさか、この上も登るの?』
【女の体力ならここまでだろうね。今、横にあるリフトを動かすからここで待ってて】

慶太は一人でハシゴの頂上まで登っていくとサイドにある滑車を動かし、荷物を運ぶエレベーターのようなリフトを手動で動かした。

足が竦み今にも落ちそうな音が響いた。リフトは一番上まで登っていくと、
慶太は疲れた様子で最上階の扉を開けた。

【見て見な!ここが墓場だよ!】
勢いよくドアを開けると、瑠璃は目をつむったまま歩いて開いてみると
そこには街灯を見渡せる景色であった。

『うわ~綺麗!車が小さく見える!人もあんなに!』

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