青識亜論さんの懲戒処分について
青識亜論さんに減給2か月の懲戒処分
石川優実さんに対するポストについて、民事訴訟で名誉毀損と侮辱が認められたことについて、青識亜論さんの勤務先である徳島県が減給2か月の懲戒処分をなしました。
徳島県ウェブサイトにも処分内容がアップされており、高橋雄一郎弁護士が私見を述べられています。
青識亜論さんに懲戒処分がなされたことについては、私はやむを得ないとする立場です。なぜならば、青識亜論さんはご自分が関わっていた民事訴訟が徳島県にどのように受け取られていることを考えもせずに、東京地方裁判所の判決を不服として控訴している段階においてもはしゃいだポストをなすなどしていたからです。
この民事訴訟が青識亜論さんと石川優実さんとの職務とは関係のないものであり、青識亜論さんが徳島県の職員であると名乗らずにポストしたり民事訴訟に対応しているわけですから、懲戒処分の対象となるべきではないのではないかという高橋雄一郎弁護士の懸念はもっともなのですが、この民事訴訟では徳島県が巻き込まれる要因がありました。それは青識亜論さんへの訴状が徳島県庁に送達されたことです。しかも、青識亜論さんは当時道路整備課という徳島県の本庁舎にある部署に配属されていたことが更にこの民事訴訟をややこしくしました。
徳島県に対して送付された郵便物は文書を担当する部署が受領します。徳島県の場合は道路整備課と同じ本庁舎に置かれている法制文書課が郵便物を受領して宛先の場所に振り分けるものと思われます。ただ、この法制文書課が文書の受領のみを所管する部署ではなく、徳島県の訴訟や条例審査などの政策法務を担当する部署でもあったことがこの民事訴訟が徳島県内部で大きな問題となった要因であると私は考えます。
地方公共団体において、訴訟を提起されたことは議会報告案件になりますから、政策法務を担当する法制文書課は青識亜論さんに黙って送達された訴状を渡すようなことはせず、訴状の内容について把握するために青識亜論さんに報告を求めて民事訴訟の内容を把握したことでしょう。そして、その内容は道路整備課の所属する県土整備部と法制文書課の所属する総合政策部のかなり上の立場の者に報告されたではないでしょうか。そういう状況の中、青識亜論さんは東京地方裁判所の判決を不服として控訴した際に、しばらくまた楽しむことができるなどというポストをなしていたのです。地獄の鎌の蓋の上で今は熱くないからと盆踊りを踊っているのが青識亜論さんの姿であったと言えるでしょう。そして、職務と無関係の民事訴訟であるから処分の対象となり得ないという可能性はこの時点で限りなく無くなっていたと言えます。私はこの時点で、民事訴訟の訴訟代理人でもある山口貴士弁護士に依頼をして人事当局との面談の場に同席させて見せしめに近いような処分がなされないように対応すべきであったと思います。
地方公務員に対する懲戒処分の重さ
地方公務員法に定められている懲戒処分は、一番軽い戒告に至るまで地方公務員の収入に影響するものです。停職処分は職務に就くことができずに給与が支給されないだけでなく、副業禁止規定により停職処分を受けた地方公務員は収入がない状態で停職期間を過ごさなければなりません。停職処分を受けた地方公務員のニュースが報じられることがありますが、だいたいの場合は停職処分を受けた地方公務員はその日のうちに退職しています。その理由は、停職期間中に全く収入が無くなることにより生活ができなくなるからです。
減給処分は給与の何%かが減らされることになりますから収入に影響があることは分かりますが、それだけではありません。賞与のうちの勤勉手当が最低1割程度減らされますし、良好な成績で過ごしたことになりませんから昇給が最低1年間見送られることになります。そして、戒告処分についても減給処分と同様に勤勉手当と昇給に影響します。
青識亜論さんになされた減給2か月の処分は適正であったのか
これまでに述べた内容から地方公務員である青識亜論さんになされた減給2か月の処分がかなり重いものであることが分かると思います。この処分が青識亜論さんのなした行為に照らして適正であるならば問題がないことになりますが、この検証を進めていくと徳島県の判断が疑問ばかりであることが分かります。
職場においてパワーハラスメントをなして処分される地方公務員は少なくありません。中にはパワーハラスメントで出勤することができなくなってしまった職員もいるとも聞きますが、地方公共団体でパワーハラスメントをなした地方公務員に対する懲戒処分の事例では、減給3か月から戒告までのものがあり、減給1か月となった事例ではパワーハラスメントを受けた職員が出勤することができなくなったというかなり深刻なものですが、青識亜論さんのなした行為の評価は懲戒処分においてそれらと同等かそれ以上であるというのが徳島県の判断ですが、その正当性を主張するのはかなり苦しいのではないでしょうか。
職員の懲戒に関する指針が見当たらない徳島県ウェブサイト
この徳島県のウェブサイトを検索しても、職員の懲戒に関する指針が見当たりません。職員の懲戒に関する指針においては、「人を殺した職員は免職とする。」など職員がなした行為に対してなすべき処分が示されるものとなっています。この指針において、青識亜論さんのなした信用失墜行為は、「信用を失墜させた職員は、その程度に応じて免職、停職、減給又は戒告とする。」などと個別の事案に応じて判断する程度の定めとなることが通例ですが、このような指針が定められているということは地方公共団体の職員に対する懲戒が恣意的になされているものではないという事実を補強するものとなります。
したがって、仮に徳島県が職員の懲戒に関する指針が定められることなく職員に対する懲戒をなしていたとすれば、処分の正当性を争って法廷に持ち込まれることとなった場合に徳島県が恣意的に職員に対して懲戒をなしているのではないかという疑いを裁判官が抱きやすくなるわけです。
なお、石川優実さんが青識亜論さんに対して提起した民事訴訟の内容とその後の青識亜論さんのポストなどから考えて、青識亜論さんに対して懲戒がなされるのは当然であるが、減給2か月は重すぎて不当であり戒告が相当であるというのが私の私見です。