敗訴すべくして敗訴した有田芳生元参議院議員
伊藤詩織さんが山口敬之さんを提訴した「ブラック・ボックス」裁判の尋問で語られたこと
まず、最初に述べておきたいのですが、山口敬之元TBSワシントン支局長は、就職面接に来た者を「食ってしまった」クソ野郎であるということで私の認識は一貫しています。その上で、伊藤詩織さんが山口敬之さんを提訴した「ブラック・ボックス」民事裁判の尋問について触れていきます。
「ブラック・ボックス」民事裁判の尋問で、原告の伊藤詩織さんがデート・レイプ・ドラッグによるレイプであると判断した根拠について、答える場面がありました。そこで、伊藤詩織さんは、山口敬之さんとの性交があった日の二軒目の寿司屋のトイレでいきなり意識を失ったことを看護婦の友人に話したそうです。その友人は「それは、デート・レイプ・ドラッグという相手の意識を失わせてレイプに及ぶドラッグを用いている可能性がある」と答え、それがデート・レイプ・ドラッグによるレイプであると判断した根拠であると伊藤詩織さんは答えました。
それに対して、山口敬之さん側は、山口敬之さん、被告訴訟代理人が二軒目の寿司屋の店主と一緒に撮った画像(これは傍聴席から見えました。)を示しながら反論しました。おそらく、寿司屋の店主に伊藤詩織さんのその日の様子を聴き取って反論したものと思われます。
この経緯を聴いた私の感想は「危ないな」というものでした。山口敬之さんとの性交が伊藤詩織さんの意に反するものであるということまでは立証できるとしても、デート・レイプ・ドラッグによるレイプであるということの立証として、伊藤詩織さんの側の証拠があまりにも弱いと感じたからです。ドラッグによりレイプされたという伊藤詩織さんに対する山口敬之さんの反訴は、第一審では認められなかったものの、控訴審では伊藤詩織さんに55万円の金員を支払うことを命ずる判決が言い渡されることとなったのです。
類似の判例
類似の事例として、著述家の菅野完さんの性的暴行に関する民事訴訟があります。
この菅野完さんに対して、NHKから国民を守る党の党首である立花孝志さんが菅野完さんが「レイプ」をなしたかのようなツイートをなして、菅野完さんが立花孝志さんに損害賠償とツイートの削除を求めて民事訴訟を提起した事件があります。この事件で菅野完さんは初対面の女性に抱きついてのしかかり、キスをして(この部分は女性と菅野完さんとの間に争いがあります)「抱っこして」と要求はしましたが、レイプはなしていません。
この菅野完さんの判例と同様に、山口敬之さんは採用権限を有していた立場にありながら就職希望者の女性を「食ってしまった」クソ野郎ではありますが、ドラッグを用いて女性の反抗を不能にすることも、反抗を著しく困難にすることも民事裁判において立証はなされていません。
菅野完さんが女性の意思お構いなしに事に及ぼうとしたことと「レイプ=刑法において強制性交罪の要件を満たす行為」との間に大きな差異があるゆえに立花孝志さんへの損害賠償などが認められたのと同様に、山口敬之さんが伊藤詩織さんの同意を得ていない性交に及んだこととドラッグを用いたレイプとの間に大きな差異があることで伊藤詩織さんに山口敬之さんへの賠償が命ぜられたわけです。
ジャーナリストを自称する有田芳生元参議院議員の取材しない姿勢が招いた必然の敗訴
有田芳生元参議院議員のツイッターアカウントのプロフィールページには次のようにあります。
有田芳生元参議院議員はまがいなりにも「ジャーナリスト」を自称するのであれば、伊藤詩織さんに取材してなぜ「レイプ」であると認識したのかを聴き取れば、私が尋問で感じたとおりの認識に至るはずです。
しかしながら、有田芳生元参議院議員は、伊藤詩織さんに取材することもなく、山口敬之さんから提訴された時点においても自らが山口敬之さんに対してどのようなツイートをなしたかすら確認していないのです。
自らがなしたツイートすら確認せずに適当なツイートを繰り返し、ジャーナリストを名乗りながら伊藤詩織さんに取材すらせずに立証されていない事実を述べて名誉毀損で敗訴するという有田芳生元参議院議員の姿勢を考えれば、今回の民事訴訟の敗訴は予想されたものであると考えた方がよさそうです。