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東京都若年被害女性等支援事業について当該事業の受託者の会計報告に不正があるとして、当該報告について監査を求める住民監査請求監査結果に関する私見 1

暇空茜さんのなした住民監査請求結果が限定公開される

 令和4年12月29日、暇空茜さんがなした住民監査請求結果が暇空茜さんのnoteで限定公開されました。いずれ東京都監査事務局のウェブサイトで公開されるものと思いますが、有料公開であることも考慮して私見のみ述べておくこととします。

Colaboの不正会計疑惑について行った住民監査請求の結果全文です
ざっくりまとめ
2月28日までに
・遡って調べろ、不正があったら返金とかさせろ
・区分守らせろ
・こんなクソ報告書で通すな
・按分しろ
・他に流用すんな
・宿泊、給食費に上限つけろ
・ちゃんと指導しろ

@himasoraakane

異例である住民監査請求の認容

 この住民監査請求結果で重要なのは、請求が認容されたという事実です。住民監査請求は監査結果を出すまでの期間が短く、住民監査請求をなす者からすれば、情報公開請求によって公開された非公開の部分が少なからず含まれる資料をもとに請求文書を作成しなければならないもので、請求対象の業務に精通している監査対象の部署の説明が詳細なものとなることもあり、請求棄却となることが多くなりやすくなるものです。そのようなハンディキャップマッチともいえる住民監査請求で、オンブズマンなどという事務に精通した者を揃える組織などではなく、個人の請求が一部認容されたということは、委託契約に基づいて進めた業務の内容やその内容に監査委員が大きな疑念を抱くに至ったということに他なりません。

税理士、社会保険労務士への報酬に関する私見

 監査結果報告書においては、一般社団法人Colaboの税理士や社会保険労務士に対する報酬に対して疑問を呈しています。これらの報酬については、月々に支払う顧問料と個々の申請や事務処理に対して支払う報酬が主なものとなっているはずです。
 顧問料は、一般社団法人Colaboの事務を優先して処理してもらうために月々に支払うもので、個々の業務を依頼する際には個別に報酬を支払うことになります。それらの報酬に関する一般社団法人Colaboの会計帳簿は、おおむね次のようなものになっていると推察されます。あくまでも適当に挙げたものですので、一般社団法人Colaboでそのような支出があることを示すものではないと念を押しておきます。

社会保険労務士○月顧問料 ○円
税理士○月顧問料 ○円
確定申告申請報酬 ○円
委託契約会計報告書類作成報酬 ○円
就業規則改正報酬 ○円
労働保険申請報酬 ○円

 一般社団法人Colaboに関する住民監査請求が一部認容となったのは、これらの税理士や社会保険労務士に支払った報酬を委託契約の会計報告に計上したことが原因の一つでした。一般社団法人Colaboは、若年被害女性等支援のノウハウを有していることを理由として東京都の事業の受託先に選任されることになったわけですから、一般社団法人Colaboが行なっているいくつかの事業があって、その一つが若年被害女性等支援事業に伴う事業の受託ということになります。すなわち、社会保険労務士や税理士への報酬は、受託事業に係るものと、受託事業以外に係るものと、受託事業とそれ以外の事業が混在するものに分類されることになります。
 前述の例に沿って考えれば、確定申告申請報酬と就業規則改正報酬は一般社団法人Colaboの組織運営に関するものであるから、受託業務に関する会計報告に記載する社会保険労務士報酬や税理士報酬からは除外するものとなり、委託業務会計報告書類作成報酬は受託業務に関する会計報告に記載すべきものとなるでしょう。労働保険申請報酬については、受託事業に従事する職員の分は受託事務に関する会計報告に記載するものとなります。顧問料については判断が分かれそうですが、組織運営に関するものとして受託業務に関する会計報告に記載すべきではないと考えることもできますし、一般社団法人Colaboの事業費全体から受託業務の事業費の割合を算出して、顧問料の一定割合が受託業務に関するものと考えることもできそうです。

会計の原則を守るということ

 企業会計については、7つの原則があります。そのうちの一つが継続性の原則です。先ほど述べた社会保険労務士や税理士への報酬についてもそれは当てはまります。顧問料の取扱いについては、全額を受託事業とは関係のないものとすることも、事業費に応じて按分することも誤りではありません。しかし、一度どちらかの方針で顧問料を取り扱うことに決めたら、それからの年度の会計処理においては同じ方針で続けていかなければなりません。それを続けることによって、一般社団法人Colabo自身が今後の事業をどのように進めていくべきか明らかになるからです。ちゃんと会計処理を行うということは、取引先への信用という面だけでなく、今後の一般社団法人Colaboの方向性の検討についても非常に有益なことなのです。
 暇空茜さんを提訴した民事訴訟の弁護団による記者会見や、野間易通さんと安田浩一さんのcractubeの「NO HATE TV」においても一般社団法人Colaboがなそうとしている事業が国がなすべきである弱者を保護しようとする素晴らしいものであると強調していました。ただ、一般社団法人Colaboなどを批判している者はそんなことはわかっているのです。更に申し上げれば、社会福祉法人をはじめとする福祉の仕事をする組織はほぼすべてそのような事業に携わっているわけです。そして、そのような組織で会計の問題や事業の実施で不正があったとして認定を取り消されたり、携わっていた事業の補助金や委託料の返還を求められる事例は少なくありません。
 会計士の方が一般社団法人Colaboの会計書類を分析したnoteの中で、組織の規模と比較して多額の寄付金が集まっていることを指摘されていましたが、私はその会計担当者を雇用することで活用することが適切な使途であると考えていました。それも、それなりの大企業で経理を担当した経験者を中心としてチームを組むのです。それにより、一般社団法人Colaboは会計処理について誤りが発生するということが激減するとともに、若年層女性被害者等支援に加え、雇用の創出という役割も担うことができるわけです。

手弁当を礼賛する愚

 これに対して、ご本人は義挙と思っているのかも知れませんが、自らの愚行で多くの従業員を抱える自らが代表取締役を務める会社の宅地建物取引業の免許を危うくさせている伊藤大介さんが、一般社団法人Colaboが手弁当によって支えられていることを礼賛して、正確な会計を求めることを批判していますが、正直言ってこの方の経営者としての資質を疑わざるを得ません。

なんか話題になってるColaboの件は内容とか全然追えてないから細かいことはわからないんだけど、colaboのように困っている人を救済する活動をしてる団体って非営利だし、活動の中には手弁当で参加してる人達もいるのが一般的でしょ。そんな団体に...

Posted by Daisuke Ito on Thursday, December 29, 2022

 ある事業を行っていこうとする際には、最初のうちは経営者の個人資産を持ち出して事業のために費やしたり、まともな就業規則を定めずに家族が仕事を手伝ったり、暇な時間ができたときに近所の方や同業の友人が手伝ってくれたりするわけですが、そのような形態で運営される組織が長続きするわけもなく、事業が成熟していくとともに契約に基づいて対価を支払って労働や請負業務の成果を求めることになっていくわけです。一般社団法人Colaboもまた、仁藤夢乃さん個人の才覚に頼って運営していた時期から年月を経て、多くの者が関わることによってはじめて業務が進められるほどの大きな組織になったわけですから、特に継続性の面から、手弁当で支えられていることは不適切なのではないかという批判がなされるべきで、決して礼賛されるべきことではないはずです。
 更に言えば、伊藤大介さんの「非営利」に関する認識は杜撰そのもので、法律上の「非営利」とは不特定多数の者から対価を受け取って商品やサービスを提供するような事業を行わないという一般的にぼんやりと考えられている「非営利」の概念ではありません。法人や組織のあげた利益を出資者である社員(この社員は一般的に従業員と同視される社員とは異なり、株式会社の株主などを指します。)に分配したり、法人や組織の解散後に残余財産を社員に分配するという分配行為こそが法律上の営利であって、それがなされていない法人や組織は非営利なのです。伊藤大介さんの「非営利」を擁護する論理をそのまま用いれば、世界平和統一家庭連合も立派な非営利団体で、手弁当によって運営されていることになりますから、会計が杜撰で構わないということになりますが、伊藤大介さんはそんな杜撰な主張で一般社団法人Colaboを擁護するということが本当にこの法人のための擁護となっているとでも思っているのでしょうか。