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植村隆さんの「捏造」名誉毀損裁判に関して気になること

櫻井よしこさんに対する札幌地方裁判所に提起された民事訴訟を最高裁判所が上告棄却

 元慰安婦の金学順さんにインタビューした記事が捏造であると表現されて名誉を毀損されたとして、朝日新聞元記者にして週刊金曜日社長の植村隆さんがジャーナリストの桜井よしこさんを提訴した民事訴訟について、最高裁判所は植村隆さんの上告を棄却して植村隆さんの敗訴が確定しました。

元朝日新聞記者の植村隆氏(62)が、従軍慰安婦について書いた記事を「捏造」とされ名誉を傷つけられたとして、ジャーナリスト桜井よしこ氏(75)と出版社3社に謝罪広告の掲載と損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第2小法廷(菅野博之裁判長)は植村氏の上告を退ける決定をした。18日付。請求を棄却した一、二審判決が確定した。


 原告の植村隆さんは、聴取した金学順さんの話のとおりに記事を記載したのであるから捏造ではないと主張していましたが、記事の内容そのものが事実ではなく、ジャーナリストであるなら証言の裏付けを取ることが当たり前で、それを怠って大誤報を発信して結果として勤務先だった朝日新聞が謝罪記事を掲載することになったのですから、「捏造」という表現について被告らが真実であると信じたことに客観的な相当性があると認定されたことは当然だと私は考えます。

誰が札幌地方裁判所への提訴を企てたのか

 この民事訴訟で気になる点があります。それは管轄裁判所が札幌地方裁判所であることです。民事訴訟の管轄裁判所は被告の住所地、原告の住所地、不法行為を理由とする民事訴訟の場合の不法行為が行われた住所地と様々な要因に基づく管轄裁判所がありますが、民事訴訟を提起する側が管轄裁判所を最初に決めて訴状を提出し、被告がその管轄裁判所に異議がある場合には移送の申立を行うことになります。もちろん、管轄裁判所のうちどの裁判所に民事訴訟を提起するかは自由です。しかし、植村隆さんの民事訴訟については大きな疑義が残ります。なぜならば櫻井よしこさんを被告とする民事訴訟に先立って提起された西岡力さんを被告とする民事訴訟については、被告の住所地を管轄する東京地方裁判所に提起されているからです。平成27年11月26日に植村隆さんが北星学園大学非常勤講師から韓国カトリック大学の客員教授に就任することが発表されていますが、発表前に韓国カトリック大学から打診やオファーがあったはずですし、ひょっとしたら植村隆さん自身が教授の募集に応募して面接や論文審査などを経て採用されたという経緯があったのかもしれません。いずれにしても櫻井よしこさんを被告とする民事訴訟について札幌地方裁判所で進めることに植村隆さんにとってのメリットは消滅しています。
 そのような状況の中で誰が札幌地方裁判所に民事訴訟を提起することを進め、札幌地方裁判所が東京地方裁判所への移送決定を行ったことに異議を申し立てて、平成25年8月31日に札幌高等裁判所が移送決定を取り消すに至るまでの対応を進めてきたのでしょうか。私は一人怪しい人物がいると思います。神原元弁護士です。

なぜ神原元弁護士ではないかと考えたのか

 レイシストをしばき隊メンバーであった写真家の久保憲司さんが、在日特権を許さない市民の会などが平成25年に新大久保でなした街頭宣伝活動のカウンターに参加していた際、参加者を私人逮捕しようとして警察に逮捕され、鼻血を出しながら連行されていったことがありました。そして、その後しばらくしてのツイッターのやり取りの中で小野寺まさる北海道議会議員が久保憲司さんに「鼻血を出しすぎ思考が低下しましたか」とツイートし、それが名誉毀損であるとして久保憲司さんが民事訴訟を提起したことがありました。この民事訴訟は東京地方裁判所に提起され、被告の小野寺まさる北海道議会議員は久保憲司と和解し、自身のウェブサイトに謝罪文を掲載することになりました。この民事訴訟の訴訟代理人となっていたのが神原元弁護士でした。

 この民事訴訟において、小野寺まさる北海道議会議員は北海道帯広市から東京地方裁判所に提起された民事訴訟に対応せざるを得なくなり早々に和解することとなったわけですが、神原元弁護士が北海道と東京の距離の持つ影響力について改めて認識したとしていたらどうでしょうか。櫻井よしこさんに対する民事訴訟を提起するにあたり、小野寺まさるさんとの民事訴訟での経験が札幌地方裁判所に訴訟を提起するという決断を左右したと考えることが可能となります。

なぜ櫻井よしこさんだったのか

 植村隆さん側のメリットがないにもかかわらず札幌地方裁判所に提訴した理由について、被告の訴訟負担を増大させ、小野寺まさる北海道議会議員との民事訴訟のように有利な条件での和解を目指すものではないかと推論してきました。それではどうして西岡力さん、櫻井よしこさんの双方を札幌地方裁判所に提訴しなかったのでしょうか。実はこれについても神原元弁護士が関与していると考えるとスムーズに論理を組み立てることができます。平成27年12月にストップエイズのための募金を集めるために、セクシー女優数名が募金をしてくれた人に胸を触らせるということで募金に協力するという「おっぱい募金」が行われました。それに対し、神原元弁護士は次のようなツイートを発信しました。

 このツイートは、神原元弁護士とかなり深い対立関係にある山口貴士弁護士とのやり取りの中でなされたものですから、多少割り引いて考える必要があると思いますが、自分とは異なる価値観で動く女性に対して、その価値観を受け入れるのではなく自らの価値観に当てはめて否定するという言動に終始しており、神原元弁護士が自称するリベラルが「人の自由な生き方を尊重して、そのためにそれを妨げる障害は無い方がいい」とする本来のリベラルとは全く相容れないものである「リベラルもどき」であることが分かります。そして、女性の自己決定権を軽視していると感じられる点も少なくありません。西岡力さん、櫻井よしこさんのネームバリューは大きく変わりませんから、いずれの民事訴訟で札幌地方裁判所に訴訟を提起して勝訴への確かな上積みを加えようと考えるにあたり、櫻井よしこさんが女性であることがその選択に大きな影響を与えたと考えるのは穿ち過ぎでしょうか。