山口祐二郎さんの知的堕落ぶり
反差別運動に参加している活動家の中でほぼ私が評価していた唯一の人物が山口祐二郎さんでした。かつて、私は山口祐二郎さんについて次のように触れたことがありました。
山口祐二郎さんが自陣営に引き入れたのは、著書が大きく評価された作家でその影響力が非常に大きな人物であったからです。また、その人物はプライドが高くその調略活動は非常に困難を極めたことが想像できます。
山口祐二郎さんが調略した人物を仮にYさんとしておきましょう。著書がある作家であり、反差別活動の中での主要人物であるYさんの活動や主張を見ると、明らかに方向転換している時期があります。その方向転換がなされたきっかけは山口祐二郎さんの側にYさんを引き入れた調略活動なのです。それを知っているからこそ私は山口祐二郎さんを反差別活動家の中で唯一評価していたのです。
山口祐二郎さんのこれまでの言論活動から逸脱した北朝鮮擁護発言
その山口祐二郎さんが北朝鮮訪問をきっかけに北朝鮮を擁護する発言を繰り返しています。
山口祐二郎さんはかつて自らを社会の底辺を生きてきたと述べ、弱者に対する視点を常に忘れない言論活動や執筆活動を続けてきました。だからこそ、元ヤクザであると自称する高橋直輝こと添田充啓さんが組長を務める反差別団体「男組」に所属し、社会が中々受け入れてくれない層の者たちが反差別運動に参加することを勧めていたのだと思います。その山口祐二郎さんがたかだか1回北朝鮮を訪問したぐらいで北朝鮮のすべてを知ったように北朝鮮の擁護を始めたことに眩暈がしています。
訪問しただけでその国を語る愚かさ
現在は、学生などが海外に留学やホームステイに行くことが多い時代です。現在の新型コロナウイルスの感染拡大前においては、海外旅行はもはや日常の一部となっていたといってもよいでしょう。そして、海外での人とのふれあいを通して「何々という国の人はいい人ばかりだった」などという土産話を聞かされることもよくあります。これ自体に私は異を唱えるつもりもありません。市井の人々の感想の域に留まるからですし、海外からの旅行客などに住民が親切にすることはほとんどの国の普通の風景であるからです。
ただ、作家やジャーナリストという立場の人間が海外の感想でしかないものを情報として発信するようになればそれは仕事をしていないということと同義となります。しかも、山口祐二郎さんはより社会の弱者に対する視線を大事にしていた作家であったはずです。そうであるにもかかわらず、何度も北朝鮮を訪問して北朝鮮の農村部で話を聴いたり、北朝鮮政府の目を盗んで住民の本音を聴いたりするようなことをなさずに北朝鮮を擁護する発言を繰り返すのは、作家やジャーナリストとして事実に目を向けずに楽な仕事をし始めたという評価をせざるを得ないと思います。
北朝鮮の政府発表とほとんど変わらない北朝鮮の「真実」なるものを語り、その「真実」をそのまま信じたい人々とその「真実」を広めることで得をする人々がそれを広めるという構図に何の感想も懸念も抱かなくなった山口祐二郎さんから知的に堕落した人間の姿が見えます。