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皇室の危機とその解決方法を理解していたと思われる安倍晋三元総理大臣

第164回国会 衆議院 予算委員会 第3号 平成18年1月27日

○高市委員 与謝野大臣、ありがとうございます。私から大臣への質問は以上でございます。  次に、皇室典範の話をしてみたいと思うんですけれども、安倍官房長官にお願いいたします。
 二日ほど前でしたか、内閣府の方から、今国会に提出されるかもしれない皇室典範一部改正のための法律案の概要、本当に骨子だけなんですけれども、御説明いただきました。それによりますと、現在は「皇統に属する男系の男子」ということで限定されております皇位継承につきまして、女性天皇を容認、それから女系天皇容認、長子優先といったことに加えまして、皇族女子は婚姻後も皇室にとどまるといった内容のものでございました。
 これは、そういうことになりますと皇室予算の変更も伴うわけですけれども、まだ詳細がわかりませんので、きょうは、安倍官房長官の基本的な皇室観のようなものを簡単に伺いたいと思っております。
 私自身は女性天皇には反対はいたしませんけれども、もしこれから議論の時間をゆっくりとれるのであれば、女系天皇それから長子優先という項目については、もう少し慎重に検討もしていただきたいし、党内でも議論を深めたいな、こう希望しているものでございます。
 とても恐れ多い例えなんでございますが、仮に愛子様が天皇に即位されたら、この場合、男系の女性天皇ということになられます。そして、愛子様が仮に山本さんという皇族以外の方と結婚をされまして、第一子に女子の、仮にですが、友子様という方が誕生されたといたします。そして、その友子様が天皇に即位されたら、ここで初めて女系の女性天皇ということになられるわけでございます。この友子天皇陛下の男系の祖先というのは山本家になります。女系の祖先というのは小和田家ということになりまして、今回の法改正によりまして、二代目で天皇陛下直系の祖先は女系も男系も両方民間人になるという可能性がございます。
 また、いろいろ外で発表されている論文ですけれども、男親から男の子供、つまり男系男子に限って正確に受け継がれてきた初代天皇のY染色体というものはそこで途絶をしている、こういう状況になるんですね。  私は、男系の血統が百二十五代続いた万世一系という皇室の伝統、この伝統も恐らく天皇の権威というものの前提であったんだろうと、こう感じているんですけれども、官房長官は、この皇位が古代より百二十五代にわたって一貫して男系で継承され続けてきたことの持つ意味、それから、皇室典範一条が男系男子による皇位継承を定めている理由、これは何だったとお考えでしょうか。

○安倍国務大臣 まず初めに、現行憲法での定めと現行の皇室典範での決まりについて御説明をさせていただきます。
 憲法においては、憲法第二条に規定する世襲は、天皇の血統につながる者のみが皇位を継承するということと解され、男系、女系、両方がこの憲法においては含まれるわけであります。
 一方、皇室典範第一条が皇位継承資格を男系男子に限定していることについては、現行の皇室典範制定時の議論を見てみますと、また、特に国会での議論を見てみますと、過去の事例を見る限り男系により皇位継承が行われてきており、それが国民の意思に沿うと考えられること、そして、女性天皇を可能にした場合には、皇位継承順位など慎重な検討を要する困難な問題があり、なお研究を要すること、そしてもう一点は、男性の皇位継承資格者が十分に存在していること、大体この三つが当時の国会での論点でございました。  そして一方、今委員から、百二十五代男系で継承されている、その重みについてどう考えるかという御指摘がございました。
 これまでの男系継承の意義についてはさまざまな考え方があります。これは、学問的な知見や個人の歴史観、国家観にかかわるものでございまして、私も官房長官として政府を代表する立場でございますので、特定の立場に立つことは差し控えさせていただきたい、このように考えておりますが、いずれにいたしましても、政府としては、男系継承が古来例外なく維持されてきたことを認識し、その事の重みを受けとめつつ、皇位継承制度のあり方を検討すべきものである、このように考えております。

○高市委員 この法改正の根っこ、根っこといいますかたたき台になりましたのは、昨年十一月下旬に有識者会議の報告書が提出された、この内容に沿ってということなんだろうと思います。ただ、まだ多くの国会議員はこの報告書自体を入手しておられないんじゃないかと思います。私も最近ちょうだいいたしまして拝読いたしました。それから、まだ国民の皆様の理解も進んでいない状況だと思います。
 また、その女系天皇というものが即位される可能性というのは、現在の皇太子殿下が男系男子の天皇として即位されて、現在四歳の愛子様が男系女子の天皇になられた後、さらに数十年先に即位されるかもしれない天皇陛下のことであると思いますので、私は、この女系の問題、また長子優先ということに関しましても、まだ十分に検討の時間はあるんじゃないかと感じるんですけれども、なぜ、今国会に急いで提出されようとしているんでしょうか。

○安倍国務大臣 皇位継承につきましては、国家の基本にかかわる事項であります。天皇が内閣の助言と承認のもとに内閣総理大臣や最高裁長官の任命、国会の召集など重要な役割を担う以上、どのような事態が生じても安定的に皇位が継承されていく制度でなければならない、このように考えています。その意味で、皇太子殿下の次の世代に皇位継承資格者が不在であるという不安定な状態は早期に解消される必要がある、このように政府として考えているわけであります。
 女性皇族が婚姻により皇族を離れる現行制度のままでは今後皇室の規模が急速に縮小することが予想されることや、将来の皇位継承者にはそれにふさわしい御養育を行う、いわゆる帝王学でございますが、を行う必要があることも考えれば、皇位継承制度の改正は緊急の課題であるというふうに考えております。
 このような認識に立って、議員各位及び国民の皆様の理解を賜りながら、今国会に法案を提出していく考えでございます。

第164回国会 衆議院 予算委員会 第3号 平成18年1月27日

 安倍晋三元総理大臣は、小泉内閣の官房長官として長子優先の皇位継承を結論付けた有識者会議に関わっており、将来の皇位継承に対する危機感を共有していました。

第198回国会 参議院 財政金融委員会 第5号 平成31年3月20日

○大塚耕平君 総理、代表質問でも一度お伺いしたことがあるんですが、総理は、御自身の所信の中で、あるいは予算委員会の答弁の中で何度も戦後政治の総決算ということを言っておられるんですが、GHQの指示に基づいて皇籍離脱をされた宮家や皇族がこれだけいらっしゃるということについて、これを是認するお立場でしょうか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 是認というのは、皇籍を離脱された方々が、言わば皇籍を離脱したということについて、それを認めるかどうかということ、という御質問でございますか。

○大塚耕平君 いや、私がお伺いしたいのは、総理は戦後政治の総決算ということを何度もおっしゃって、もう六年も総理を務めておられる。大変長期間お務めになっておられることに敬意を表したいと思います。
 しかし、戦後政治の総決算というならば、せんだって私は日米地位協定の見直しについて質問をさせていただきました。米軍との関係の問題、それから、我が国にとってポツダム宣言を受諾した後に占領された北方領土の在り方、これらについてるる質問をさせていただいておりますが、総理からは、戦後政治の総決算という決意の割には、それに適合するような御答弁をいただけていないような気がいたしております。
 同様に、このGHQの指示に基づいて十一宮家と二十六人の皇族の方が皇籍離脱をしたという、これをこのままにしておいて本当に戦後政治の総決算ができるというふうにお考えですかという質問をさせていただいております。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 皇籍を離脱された方々はもう既に、これは七十年前の出来事で、七十年以上前の出来事でございますから、今は言わば民間人としての生活を営んでおられるというふうに承知をしているわけでございます。それを私自身がまたそのGHQの決定を覆すということは全く考えてはいないわけでございます。
 他方、恐らく皇位の継承との関係で御質問されているんだろうと、こう思うわけでございますが、同時に、この安定的な皇位の継承を維持することは国家の基本に係る極めて重大な問題であると考えておりまして、男系継承が古来例外なく維持されてきたことの重みなどを踏まえながら、慎重かつ丁寧に検討を行う必要があると、このように考えております。

第198回国会 参議院 財政金融委員会 第5号 平成31年3月20日

 安倍晋三総理大臣(当時)は、男系継承を主張しながらも、男系継承の継続に最も重要な11宮家の末裔が皇族になることを否定しています。小泉内閣の官房長官として長子優先を結論付けた有識者会議に関わりながら、11宮家の末裔が皇族になることを否定しているということは、少なくとも皇族になってもよいと考える11宮家を男系で継承する男子がいなかったか、いたとしても安定的な皇位継承が可能であると考えられる数に足りなかったのではないかということが推察されます。