木下真紀子

コンセプトライター。14年間公立高校の国語教諭として勤務後、フリーランスとなる。教員時…

木下真紀子

コンセプトライター。14年間公立高校の国語教諭として勤務後、フリーランスとなる。教員時代のモットーは、生徒に「大人になるって楽しいことだ」と背中で語ること。すべての子どもが大人になることに夢を持てる社会にしたいという思いが根底にある。

最近の記事

息子の「なぜなぜ期」に戻れるならば

「あ、またトライされた」 小学6年生の息子のラグビーの試合を観に行った時のこと。対戦したのは息子のチームよりも強いチーム。これまで何度となく対戦し、一度も勝ったことのないチームだ。それにしてもよくトライされる。しかも、毎回同じ場所に。 注意深く見ていると、息子のチームの1人が完全に狙われていた。ラグビー歴が浅く、自分に任された役割が理解できていないため、見当違いなところに行ってしまう。そのうえ体が小さいこともあって、相手が走ってきてもタックルで止めることができない。大きな

    • やっぱり学校は行った方がいい…となった件

      高校教師をしていた私にとって、学校とは学力をつけるのみならず人格形成にも大きな役割を果たす場所だという認識はあった。しかし先日、SNSを見ていた私は新たな視点を獲得することとなった。 そこに書かれていたのは、「いい年した社会人なのに、最低限のマナーも身に付けておらず、言葉遣いもなっていない方がいた」という内容だった。ほかの人の反応が気になってそれに対するコメントを見ていくと、「不登校でずっと学校に行ってなくて、そのまま起業した人なんかにそういう人多いよね」という意見が目に留

      • 2022年はこども会DX元年 その2

        前回のあらすじ 私の住む地域では、小学生の子を持つ親が輪番で役員をして、子どもたちの行事を企画・運営するこども会という組織が存在する。地域の慣習として母親がその役員を務めないといけない。そこで来年度息子が6年生になる私に、子ども会会長のお鉢が回ってきた。最初の話し合いを「Zoomでしよう」と提案したところ、目を白黒するお母さんたち……。 * * * 事前に対象者にiOSとアンドロイドとパソコンのアプリのインストールの仕方を送ったものの、全員が無事Zoom入室できる

        • その謙遜、いる?

          友達からLINEが来た。娘さんがラジオに出た際、パーソナリティにほかの子を紹介してほしいと頼まれたので、うちの息子も出てみないかという内容だった。 マスコミが常に「ネタ」探しに苦労しているということは知っていたので、協力したいと思い、息子に話をした。最初は友達の娘さんのしっかりとしたトーク(友達が「参考に」と録音した放送を送ってくれた)に恐れをなしたのか、「出たくない」と言っていた息子だったが、時間をおいて再び話をすると「出ていいよ」との返事。 早速パーソナリティとやり取

        息子の「なぜなぜ期」に戻れるならば

          子どものネガティブな体験は学びのチャンス!

          「冬休み、○○(息子)ともう一回釣りに行ってみようと思うっちゃんね」という夫の言葉に、「いいね~!」と言った私の笑顔はそのあと消えた。 ***** 簡易的な釣りを体験した息子が、本格的な海釣りをしてみたいと言い出した。 しかし私たち夫婦は釣りに詳しくないし、道具も何一つ持っていない。そこで釣りに詳しい友人に息子を釣りに連れて行ってほしいとお願いした。 当日は私たち家族3人と友人、総勢8名で釣り堀に出かけた。釣りに詳しい友人曰く、初心者の子どもには釣り堀がお勧めらし

          子どものネガティブな体験は学びのチャンス!

          キャリア教育における“逆算”の思考

          仕事で新しいコンテンツを作るのにコンサルティングをお願いすることにした。コンサルタントから最初に指示されたのは、まずゴールを設定しそこから逆算して準備をしていくこと。私はそのコンテンツによって何を成し遂げたいのか。コンテンツを購入した人はどんな成果が得られるのか。そういったことを決めてから、それに見合ったコンテンツを作り、リリースしていく。 そのフローを見ながらふと思った。これはビジネスだけでなく人生も同じだと。しかし、人生は仕事よりも大切なものでありながら、子どもたちは学

          キャリア教育における“逆算”の思考

          子どもの発達が気になったら~教育アドバイザー・内海義彦氏インタビュー~

          発達障害というラベルは無意味最近、発達障害という名前が独り歩きしていますが、そもそも日常生活に支障なければ、わざわざ発達障害と言う必要はないんです。人はみんなデコボコがある。そのデコボコが大きすぎて、日常生活や社会で団体行動をするときに問題が生じて初めて、「どうするか」ということを考えたらいいと思います。 私のところに寄せられる相談として多いのは、「幼稚園のときはそんなことなかったのに、小学校に入ってからじっと座っていられない」というものです。 一般的に発達障害の診断を受

          子どもの発達が気になったら~教育アドバイザー・内海義彦氏インタビュー~

          2022年はこども会DX元年

          「お母さん、今日から音読の宿題見らんでいいけん!」 ある日、小学校から帰ってくるなり息子が言い放った。事情がわからずにいると、息子は学校から貸与されたタブレットを開き、なんとそこに自分の音読する姿を録画し出した。どうやら、子どもたちが動画を提出すると、それを先生の方でチェックしてくれるシステムに変わったようだ。 まさかこんなふうに宿題をする時代が来るなんて思ってもみなかったので、昭和生まれの母は、ただただびっくりするばかりだった。 しかし、真面目なことを言えば、私は音読

          2022年はこども会DX元年

          “好き好き”で自己肯定感アップ

          休日に息子が行きたいところがあるというので送迎をした。迎えに行った私は、息子が出先でどう過ごしていたかを尋ねたのだが、疲れた息子は不機嫌そうにしていてきちんと答えようとしない。息子が出かけている間もカフェで仕事をしながら待っていた私は、時間を工面してまで送迎をしたのにという憤りでいっぱいで、険悪な雰囲気のまま自宅に帰った。 自宅に帰った数分後。息子は謝ることもなく、「お母さん、“好き好き”」と近づいてきた。“好き好き”というのは、息子が小さいころから使っているハグという意味

          “好き好き”で自己肯定感アップ

          子育てはアウトソーシングしようよ!

          私の前職は教師。子どものときから小さな子の世話をするのが好きで、高校教師になってからも自分より体の大きな生徒のことでさえかわいいと思っていた。だから自分は「子ども好き」と信じて疑わなかったし、早く自分の子どもが欲しいと思っていた。 ところが、実際に生まれた息子を見て心底驚いた。「赤ちゃんって動物だ!」。実は私は動物が好きではない。餌をやるのも、トイレの世話をするのもごめんだし、何より言葉を生業としている身にとって「言葉が通じない」相手はストレスでしかないのだ。それなのに生ま

          子育てはアウトソーシングしようよ!

          子どもが意見を言わない!と気づいたら ーチャイルドケアマイスター 磯部一恵氏(一男一女の母)に聞きました ー

          こんな子見かけませんか?学校の休み時間に何をしたらいいのかわからないという小学1年生。「休み時間だから好きなことをしていいんだよ」と言っても「わからない」と言う。「本は読んでもいいですか?」「トイレに行ってもいいですか?」と、いちいち確認をしてくる。 社会科の授業で内閣について学ぶ小学校高学年。既存の内閣の役職を挙げることはできる。でも、「自分たちの学校で内閣を発足させるとしたら、どんな内閣を作りますか?」と言われると、現状を考えたうえで「こういう仕事があるといいよね」と言

          子どもが意見を言わない!と気づいたら ーチャイルドケアマイスター 磯部一恵氏(一男一女の母)に聞きました ー

          「折れない心」より「折れたときに立ち上がる心」を育てる ~一般社団法人 青少年健全育成協会理事 岡田さえ氏 (一男の母)に聞きました~

          夢を深掘りしよう人生って思い通りにいかないこともあるし、人から傷つけられることもある。だから、誰でも必ず心が折れるときってあると思うんですよ。 でもいまは、そのまま倒れてしまう人が多いから、そうじゃなくて倒れたときにどうやって立ち上がってくるかっていう強さを子どもたちに伝える講演をしています。 例えばオリンピック選手になりたいとか、こんな人になりたいとか思うのは“夢”なんですけど、それよりもっと深掘りして、「それは何のためなのか」「それを達成したときにはまわりにどんな喜び

          「折れない心」より「折れたときに立ち上がる心」を育てる ~一般社団法人 青少年健全育成協会理事 岡田さえ氏 (一男の母)に聞きました~

          それは本当に子どもに与えたいものですか?

          先日教育に携わる知人と食事をした。もっぱらの話題は教育について。お互い子育て中であり、教育については関心が高いので、話題は尽きることがない。その中でハッとしたことがある。知人が、いまの親は「考えていない人が多い」と言うのだ。 あらためてそう言語化したことはなかったが、私も常々いろいろな事象を見るにつけ、なぜ親がきちんと考えてこなかったのかと思うことが多々ある。 私が高校の教員をしていたころ、すでに携帯電話が普及していて、多くの生徒が携帯を持っていた。端末代や通信料を含める

          それは本当に子どもに与えたいものですか?

          大学に行く価値とは?

          大学生の子どもを持つ友人から、子どもが大学を辞めたいと言っているという相談が来た。 私は元高校教諭でありながら、あまり大学に行くことにこだわってはいない。もちろん学歴はあって邪魔にならないので、もし本人が望むなら大学に行けばいいと思うが、他にやりたいことがあるのなら必ずしも大学に行く必要はないと思っている。 2020年の大学進学率は55.4%。一見すると二人に一人以上は大学に行っているかのようだが、その分母は高校生(全日制・定時制、中等教育学校後期課程)に限られるので、高

          大学に行く価値とは?

          覆水盆に返らず

          中国語の勉強を始めた。いままで何度となく中国語に挑戦して失敗した経緯については割愛するが、意思の弱い私は誰かが伴走してくれないとダメだということが身に染みてわかったので、今回は少々高額ではあるが“コーチング”という形を選んだ。これはいわゆる“レッスン”と違い、最初に自分のゴールを設定して、そこから逆算したスケジュールと内容で先生に「伴走してもらう」というものだ。 奇しくも、先日仕事でダイエット協会の代表とお話をする機会を得た。巷にダイエットの情報はたくさんあるが、正しいもの

          覆水盆に返らず

          令和の時代も常識は要りますよ

          「2011年に小学校に入学した子どもたちの65%は、大学卒業時に今ない職業に就く」 キャシー・デビットソン(ニューヨーク市立大学大学院センター教授) 今年は2021年なので、2011年に小学校に入学した子どもたちはまだ高校生で、この検証はなされてないだろうが、それにしてもこの10年だけでも様々な職業が出てきたと思う。 ・ユーチューバー ・インスタグラマー ・アフィリエイター ・マーケター などなど枚挙にいとまがない。 アニメのサザエさんやちびまる子ちゃんの世界をイメー

          令和の時代も常識は要りますよ