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「勇者へのレクイエム」 ー フリーレンによせて

「葬送のフリーレン」がアニメ化された!

実は連載開始当初からものすごく好きで、今もなおとても好きなファンタジー。ハマり具合は10本の指に入るくらい。それがアニメ化されたが、これまた素晴らしい出来具合。

ということで愛を語ってしまう。ネタバレになるかもしれない。申し訳ない。(アニメのエピソード5を見て、ちょっと増量しました)

キャラクター愛

ハイター
個人的には一番好き。あの飄々とした悟り具合が、とてもいい感じ。勇者ヒンメルととてもいいコンビぶりで、アイゼンと文通をするお茶目ぶりも楽しい。そして何よりもフェルンを拾って育てたことが大きな功績。その理由が「ヒンメルならそうした」というところも、とても粋。

フェルン
フリーレンも一目置く魔法の才能、そして暗く重い過去。ハイターの元では必死で成長しようとしていたが、フリーレンと旅を共にするとだんだん余裕が出てきた。
ストレートロングな髪と丸顔のビジュアルに反して(即して?)けっこう当たりがキツい。そこにとても親近感というかリアルを感じる。
この物語は、フリーレンが人間を知る旅であると同時に、フェルンの成長の旅でもある。(ごめん、シュタルクはおまけかも)

アイゼン
質実剛健のドワーフ。筋肉でできている。言葉少ない割にはときどきえらくお茶目になるところがギャップ。でもかっこいい。
剣で襲われた時は全てを肉体で弾き返した。ぞくぞくっとした。
そんなアイゼンがシュタルクを引き取った理由も「ヒンメルならそうした」だ。どれだけ愛されてるのかヒンメル。

フランメ
いにしえの人間大魔法使い。フリーレンのお師匠。カードキャプターさくらならクロウ・リードの役回り。わずか数十年の指導でフリーレンの人生の方向を完全に変えた真のお師匠様。
どちらかというとロリな風貌のエルフの多い中、フランメの人間としてのおばさんぶりを見るとほっとする。

フリーレン
何考えているかわからないけど、やっぱり何も考えていなかったり、ぜんぜん考えてなかったり、こっそり仕込んであったり…。色々と謎の多い人。こんだけ実力の高い魔法使いがドヤ感をださないのがとてもいい。
でも本当のところ、人の心がよくわからないコミュ障ぶりが、実は自分にとってはとても共感を感じる。

シュタルク
アニメで見て初めてよくわかったけど、鬼滅の刃の我妻善逸さん枠だったのね。そう考えるとよく頑張ってるよ!うん。(誰さま目線?)
実際は色々と頼りになるし。
ちょっと引いていたけどずいぶんと親近感湧いた。

魔法使いユーベル
大体なんでも切れる魔法の持ち主。三白眼がうさんくさい。最初は血生臭いキャラとして登場したけど意外にさらっとしていた(キャラ変?)
イメージを掴んだらセンスで魔法を使える天才タイプ。音楽界隈でもいるよね。耳コピでこなせちゃう人。すごいとしか言えない。

老魔法使いデンケン
1級魔法使い試験編で出てきたときから少し血が騒いだけど、マハト編で人生が明らかになって一気に親近感が湧いた。戦闘シーンは圧巻。
でも考えてみるとデンケンよりフリーレンの方が遥かに年上なんだよね。

勇者ヒンメル
若いのに名言が多い。
「生きているということは誰かに知ってもらって覚えていてもらうことだ。」
「それがどうした フリーレン。僕は今の話をしている。」
「楽しく冒険して迷宮に潜って魔物を倒して宝を探して
気がついたら世界を救っていたようなそんな旅がしたいんだ。」
どこまでポジティブなんだ。
うーん、作曲少女の「努力は夢中に勝てない」に通じるところがあるような。

シーン愛

うーん、どこもかしこも好きだなあ。とりあえずシーンをいくつか選んでみた。

「冒険の終わり」
初回の涙にやられた。
「人間の寿命は短いってわかっていたのに… なんでもっと知ろうと思わなかったんだろう」
実はかなり刺さった。自分ももう人生の後半。かなりの時間を単身赴任で無駄にした。なんでもっと家族の時間を大切にしようと思わなかったんだろう。深く共感。

「死者の幻影」
愛する人の生前の姿の幻影を見せる魔物の話。フェルンの悲しみ、フリーレンにもせまる幻影、とにかく全体に霧のかかったような幻想的で哀しい雰囲気がとてもいい。あまり気に入ったので曲を作ってしまったくらい。
アニメもすごく雰囲気が出ていた。

「服従の天秤」
断頭台のアウラとの決着編。この大迫力!
嘲笑う魔族と冷静なフリーレンの対決シーンを何度読み返したことか。
そしてそこに重なるヒンメルとの思い出のセリフ。
「どうしてそう思うの?」「なんとなくだ」
このやりとりがたまらなく好き。

「混沌花」
みんな寝てしまう呪いを放つ花の話。
コミュ障のフリーレンの「私が必ず倒すから」という言葉を信じる僧侶のザイン。ギリギリの信頼感で危地を脱する。わずか5秒の刹那が1ページに描かれる。

「水を操る魔法」
戦いながらその裏で緻密に分析を進め、「魔法は自由であるべきだ」
そう言って結界を破壊するフリーレン。このクールっぷりと大きな力の発動が壮大。そして水を操る相棒の魔法使いの大反撃はとても爽快。
この前に行われていた老魔法使いデンケンとの戦いで、デンケンのセリフ「これではまるで見習い魔法使いに対する指導試合ではないか」が格の違いを表していて痛快。

「大体なんでも切る魔法」〜「第二次試験終了」
イメージを構築することで魔法を使うことができる。
逆に言うと、イメージできなければ魔法は使えない。
これって、音楽作りと共通すること。イメージできない曲は作れない。魔法を音楽的にとらえる話はいくつもあったが、こうまではっきりイメージと結びつけて魔法理論を説明したのはとても興味深い。
第二次試験の最後の最後にフェルンとフリーレンが闘う相手、そして闘いぶりもスリリングでとても美しく面白かった。

「ソリテール」
怖い。とにかく怖い。こんなに可愛らしい魔族の異質感が容赦ない。
それでもなお、自分達凡人はきっとこの可愛らしさにあっというまに襲われて滅んでしまうんだろう。この魔族の異質感がとても際立ったエピソード。

「報い」
老魔法使いの若き日の夢。とても儚くて哀しいけど「最後まで醜く足掻くんでしょ」というセリフが際立って力強く聞こえる。この生き汚なさが逆にとても魅力的に感じる。かっこよさより生き残ること。大事なことだ。とくに今の世界では。

その他
旅路の途中でいろいろと挿入される生活シーン(食事とか暇つぶしとか)があるけど、あれが好き。
デジタル版で買っているので、拡大して見ている。けっこう描き込んであるね。デジタル版ももっと解像度を上げて配布してくれればいいのにー。

深夜の2時間DTM

そんななか、深夜の2時間DTMではタイムリーに「墓地をイメージした曲」のお題が出た。

ちょうど IK MULTIMEDIA のMiroslav Philharmonik 2 CEが無料配布されていた。(大盤振る舞いだった!)
ちょうどKORG M1がセールしていた。

Philharmonikのブラスとストリングス、M1のクワイヤを使って、明るいレクイエムを作った。もちろん、勇者ヒンメルをイメージした曲だ。

良き人生を終えた人の送別の会って、しんみりしちゃダメなんだよね。笑って見送ってあげなくちゃ。

ましてや勇者ヒンメル。
ぼくらの人生が終わったあとの音楽は、かなしい曲じゃなくて、美しく勇ましい方がいい。その方がぼくららしい。
きっとヒンメルならそう言う。

だからカラッとした曲にしてみた。
青空のしたで、勇者を讃えながら見送る曲。
そんなイメージだ。

そうして作った曲がこちらです。もしよかったら聴いてください。

背景イメージはPixabayのartbejoさんのを使わせていただきました。

長文お読みいただき、どうもありがとうございました。

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