見出し画像

「燃ゆる紅葉」 ー 縛りがあるから曲が作れる

平日の自由時間は断片的

平日に使える自由時間は思ったよりも少ない。
気持ちよく2時間くらいPCの前に座れることもあれば、30分も触れないことも、まったく時間をとれない時もある。

深夜の2時間DTMはとても魅力的なイベントだけど、平日に2時間で曲を作りきると翌日の本業に影響が出てしまう。 そんなことから最近は、平日のお題になかなか参加できない。

錆ついていくDTM

そうすると何か起こるのか? 目的もなく音楽制作するのは意外と難しい。まずマンガを読む、寝転んでだらだらする、面倒くさくなってDAWを起動しなくなってしまう。音楽から遠ざかる。

そんな調子だと、土曜日の夜に久しぶりに2時間DTMのお題を見ても頭が真っ白になる。 曲想が浮かばない。 覚えていた小技やテクニックも抜け落ちる。 何かを作ろうとしても、自分の過去曲ばかり思い出されて、なんだか残念な気持ちになる。

断片的な平日の自由時間を有効活用できないか?
少しでいいからDTM脳をONにしたい。
でも真面目にトレーニングや音楽の勉強をするほどの元気はない。 やっぱり疲れている。

そんなときに素晴らしい企画が始まった。「1週間DTM」だ。

1週間DTM

土曜日の朝に2つほどお題が出る。そのお題に合った曲を次の土日までに「#1週間DTM」のタグをつけてXにポストすればよい。
深夜の2時間DTMよりは緩いルールだが、これが自分的にはかなり有りがたい。

30分でもいいから1フレーズずつ進められる。
日をまたぐと、次の日には耳がリセットされているので、作りかけの自曲を冷静に聴きなおせる。
そして金曜日の夜や土日に集中的に取り組んで仕上げることもできる。

一週間かけて、じっくり曲を作ることができる。
そのために短時間でもいいので継続的にDAWに触ることが強制される。これは結構大事。

いちおう「次の土日まで」「お題」という縛りがあるので、それが逆に励みとなってDTM活動の原動力になる。 ふしぎなものだ。

秋の気配のストリングス

ということで、今回は1週間DTMをやってみた。
お題は「秋の気配を感じるストリングス」。 こちらも難しい。

まず考えたのは、当然ビバルディの『四季』のような室内楽。
それなら、ソロ・ストリングスの音色をまず用意しよう。

愛用しているSteinberg のHALion Symphonic Orchestraには、ソロパートの音色もある。 こういうこともあろうかとw、音色は自分好みに甘く調整してある。 まずはソロ・バイオリンを使ってみよう。

楽器と遊ぶ

まあ、いつものとおり曲想がなかなか出てこない。
でも今回は一週間DTM。 焦らなくてもいい。
勘を取り戻すために、楽器と遊んでみよう。

ちょっとした遊び心で、本格的なクラシックなソロ・バイオリンにディレイをかけてみた。(いわゆる山びこ効果だ) あ、面白い。

ピンク・フロイドというバンドに、ギター音をトントコ・トントコ…と跳ねるディレイをつけた曲がある。 跳ねたリズムの音の列が続いていくところにフレーズを付け足すと、それだけで素敵な音楽が生まれる。

ということで、クラシック界隈ではたぶん邪道だが、バイオリンにディレイをかけた音から曲作りを始めた。

重ねる・重ねる

スタッカート・バイオリンにディレイをかけたシーケンスに、フレーズを重ねていく。 もうひとつバイオリン、そしてチェロ。 今回はシンセサイザーは使わない。

リズムは世界観を表す。ディレイを使ったトントコ・リズムはクラシックじゃなくて、ロックな世界観だ。
ぶわーとストリングを分厚く重ねてホルンをつけたら、曲調はプログレッシブロックになってきた。

そしてプログレッシブロックへ

ルネッサンスという美しいプログレッシブロック・バンド。
彼らがアンコールに必ず演奏する「燃ゆる灰」という名曲がある。

曲作りを進めているうちに、この曲の中間部に雰囲気が似てきた。 よし、いっそこの勢いを利用しよう。(パクリではない、リスペクトだ)
タイトなピアノを疾走させる。
横乗りのドラムを載せる。
ここに、リードとなるディレイ付きバイオリンを載せると、おお~~~ かなりいい感じになってきた。

「燃ゆる紅葉」

出来上がった曲を聴き返してみると、甘いストリングスが燃えるように赤い紅葉のイメージがある。 うん、お題にも合っている。
敬愛するルネッサンスに敬意を表して、タイトルを決める。

今回は一週間をかけて作り上げたので、個人的にはとてもじっくり制作できた。感性と理性のバランスがとれた感じだ。 久々に自己満足曲。

もしよろしければ、ぜひ聴いてください。

イメージは、pixabayからSven Lachmannさんの写真をいただきました。

長文をお読みいただき、どうもありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?