有線で安価、シンプルなヘッドセット:XPG PRECOG S
全世界101億±3億人の無指向性な皆様こんにちは。指向するものが無いのできっと世の中の流れに身を任せてふわーっとしているのでしょう。「自分の意志を持て!」などと言われた日には戦争勃発。こいつ何いってんの。知らん! 香月です。
さて、今回はヘッドセットのお話。レースシム用PCで使っていたワイヤレスヘッドセットがかなりボロボロになってしまったので、この際有線でもよろしいんじゃないか、という事で色々と漁っていた所で、お値段も手頃な感じの製品で検討していた、という所からお話は始まります。
今回は検証評価機として、メーカー代理店の「株式会社タイムリー」さんより製品提供を頂きました。
遅かれ早かれダメージが出るイヤーパッド
前述の通り、イヤーパッドの破損があったので買い替えを検討しつつ、ヘッドフォンカバー的なものでイヤーパッドを包んでごまかしていたのですが、割とどんなヘッドフォン・ヘッドセットでも起こりがちな破損状況だろうと思います。革製のパッドは擦り切れや表面剥がれ、ファブリック系のパッドはちょうど写真のように擦り切れて中のウレタンが露出してしまう、といった具合で、製品の品質にもよりますが、遅かれ早かれこの手の破損は出てくるものです。
この写真はゼンハイザーのゲーミングデバイスブランド「EPOS」のヘッドセットで、品質的には「ゼンハイザーだし大丈夫でしょ」と愛用していたのですが、音質は良かったものの、ビルドクオリティが怪しかった、というのは以前から感じていました。そんな中だったので、イヤーパッドが破損しても「んー、やっぱりか」といった達観具合。この製品以降に登場したEPOS製品は割と全体の作りがしっかりしていたので、過渡期の製品ゆえのトラブルかなぁ、と思ったりも。
今回の記事では本製品含め4本のヘッドフォン・ヘッドセットが出てきますが、レビュー対象のXPG製品はともかく、他の2製品はそれなりの使用頻度ながら、こういった破損は発生していない状態。ゼンハイザー製品はイヤフォンも所有しており、どちらも音の具合は好みなのですが、ちと残念です。
コクピットのような「使用場所固定」なら有線でもよろしいんじゃないか:久しぶりの有線ヘッドセット
使用場所はレースシムのコクピットのみ、という事も考慮した上で色々と検討していたのですが、「もういっそ有線でも良いんじゃないか」と判断、また有線だと無線に比べて価格帯もガタッと下がるので、5,000~8,000円の範囲で試してみたいと思い立ち、いくつかピックアップしていた中の一つが、今回の主役である「XPG PRECOG S」です。
最初に目についたのは「MERA EDITION」だったのですが、こちらは残念ながら日本市場に導入されておらず、通常モデルからの選択。黒と白は目にしたのですが、赤い……というかピンク系のモデルは見たことがなかったので確認した所、やはり日本では白と黒の2色展開だったようです。そんな中で、今回は黒いモデルを提供頂きました。
ちなみに価格は検証時点で5,500円前後。エントリーモデル的な価格帯ではありますが、それだけに手を出しやすい価格設定です。
シンプルで必要最低限のパッケージ・内容物
色々とチェックを行う前に、まずは外観から。
外装箱はシンプルかつコンパクトなもので、このあたりの価格帯では割とよくある感じ。内容物に関しても同様で、アクセサリやステッカーといったオマケ要素は無く、本体・マニュアルの他、音声入出力を分けるY字アダプタのみというシンプル構成です。
ヘッドセットそのものの大きさに関しては、「ゲーミングヘッドセット」としては比較的コンパクトなサイズ、一般的なヘッドフォンと比べるとだいたい同じくらい、といった具合で、この点からも中身がかなりシンプルであろう事が伺えます。重量は公称300gで、直前に使用していたEPOS GSP370(公称285g)よりは若干重いのですが、ヘッドバンド周りが優秀なのか、むしろ本製品のほうが軽量ではないか、と錯覚するような感じ。ちなみに今回登場する製品たちの簡単な紹介は以下。
XPG PRECOG S:有線・300g・ドライバ径50mm
EPOS GSP370:2.4GHzワイヤレス・285g・ドライバ径データ無し
RAZER BARRACUDA X:2.4GHzワイヤレス・250g・ドライバ径40mm
audio-technica ATH-PRO5X:有線・250g・ドライバ径40mm
こうしてみると、改めてPRECOG Sが一番重いのですが、実際に被ってみると前述の通り、本製品は妙に軽く感じます。そのあたりの装着感は後ほど。
マイク含めケーブルの取り外しは不可。マイクミュートは専用スイッチで
マイクやケーブル、操作系はすべて左耳側に搭載されており、右側は何も無いシンプルな構成。左側にしても、マイクミュート用のスライドスイッチ、およびボリュームダイヤルのみのシンプルな構成です。ボリュームダイヤルはPC(Windows)と連動するものではなく、あくまでもヘッドセット側の調整のみ。その為、オーディオソース側とヘッドセット側の2箇所で音量調整が出来る事になります。個人的なオススメとしては、PC等のオーディオソース側の音量を大きくしつつ、ヘッドセット側で調整する感じ。オーディオソースから大きめの音で出ていれば、ヘッドセット側でボリュームをいじっても音の再現性は向上します。
はじめて本製品を目にした時から気になっていたケーブル部ですが、一見デタッチャブルで外せそうに見えたものの、実際は完全に直付けなので取り外しはできません。マイクも同様で、他製品に見られるような跳ね上げ機構も無い為、マイクを使用しない時でも左側に配置されているようになります。幸いマイクブームがそこまで太くなく、少し下や外側に振ってやれば視覚的にも邪魔にはならないのですが、跳ね上げはともかくとして、取り外しには対応して欲しかったところです。類似した構成のBARRACUDA Xは、跳ね上げはありませんが取り外しが可能。普段はマイク無しでヘッドフォンとして利用しつつ、必要な時にマイクを取り付けてヘッドセットとして使用、といった使い分けが出来るのは、地味な点ではありますが使い勝手の良い製品です。
直付けケーブルはナイロンの編み込み系で、長さは実測で2mちょっと。その先端は4極ピンで、一本でヘッドフォンとマイクの両方を接続しています。代理店へ確認した所、4極の規格はCTIAなので、音が出ない・マイクが反応しない、といった場合には、使用機材がCTIAに対応しているか確認しましょう。使用機材がOMTP規格だった場合、間に変換アダプタを噛ませる必要が出てきます。
ただ、どうしても4極一本で完結させたい場合を除き、付属品として入っているY字アダプタを使えば、ヘッドフォンとマイクを2系統に分けて使用可能。PCのオーディオ端子が2系統に分かれていたり、マイクを使わないなどの環境であれば、このアダプタを使用すれば問題なく利用可能です。さすがに一般的な環境であれば、この3極アダプタでカバー出来るでしょう。
ブームマイクに関しては、マイクヘッドの先端部にポツポツとついている……と思いきや、こちらはデザインのみでホールも空いていません。実際のマイクホールは側面部、顔の向き側についているので、マイク位置調整はこちらを基準に。ダミーのデザインは気づいてしまうと安っぽい(実際に安いのですが)感じがあるものです……どうしてこうなった。
締め付けは程々に強め、調整いらずの自動調整ヘッドバンド
装着感に関して、イヤーパッド部分にかかる側圧はぼちぼち。強すぎるわけではありませんが、それなりに締めてきます。痛かったり疲れたり、という締付けではありませんが、メガネユーザーはちょっと違和感を感じるかもしれません。実際にテンプルが太めのメガネでチェックしてみた所、テンプルが押さえつけられるような感じで、結果としてノーズブリッジにも違和感が出てきます。もうちょっとイヤーパッドが柔軟であれば、メガネユーザーにも優しいものになりそうですが、テンプルの細いメガネであれば問題なく使用可能なので、現状で既にヘッドセット用に細いメガネを使っているのであれば、とりあえず問題は無いものかと思います。このへんは一度店頭展示機等で試してみることをオススメします。
で、前述の通り「妙に重量が軽い印象」な本製品ですが、おそらくこの側圧の具合と、自動調整タイプのヘッドバンドがいい仕事してくれているものと思います。締め付けは程々ながら、そのぶんピタッと頭にフィットしてくれるので、ちょっと頭を揺らしたりする程度ではズレる事もありません。左右の耳に極端な重さを感じることも無く、また頭頂部にかかる内側のヘッドバンドも、バネ圧で程よくフィットしている為、装着感はかなり良好。この点はかなりお気に入りです。
音の具合は「比較的フラット」な印象:他製品との比較評価
さて、ここからは実際に音を流してみて、これまで使用していた、あるいは使用中の製品との比較に移ります。それぞれ別々の環境でテストしているので、その点もチェックしていただければと思います。
音楽視聴:ATH-PRO5Xとの比較
まずは音楽の視聴ですが、これはDJ向けに使用しているATH-PRO5Xとの比較。せっかくなのでDJデッキに接続して音を流してみました。使用しているデッキ「DDJ-1000」のヘッドフォン端子は6.3mmと3.5mmがそれぞれ1系統ずつついており、同時に音を流すことが出来るので、左耳にPRECOG Sを、右耳にATH-PRO5Xをそれぞれ被せて、同時に2本のヘッドフォンで音を流してのテストも行いました。ちなみに、ドライバー径はPRECOG Sが50mm、ATH-PRO5Xが40mmです。
元々ATH-PRO5X自体がフラットな音を流してくれるヘッドフォンで、DJ用途に向けた製品であったのですが、PRECOG Sはそれよりも更にフラットな印象。そのままの状態では中高音はぼちぼち近い感じですが、低音はPRECOG Sのほうが薄い印象でした。
この状態からデッキのEQで低音(Low)を持ち上げていくと、それに沿ってリニアに低音が充実してきます。最終的にEQのLowを最大に振り切っても、ビビリや音割れなどを起こさずにしっかりした音で鳴らしてくれます。この時のATH-PRO5X側は「一定のラインを超えると強調具合が鈍くなる」といった雰囲気で、DJミックスをする上ではATH-PRO5Xのほうが有利ではあるものの、PRECOG Sの対応出来る音の範囲は想像以上に広い、という感触があります。
PC使用時の音、マイク性能:BARRACUDA Xとの比較
続いて通常のPC使用時と、マイクの性能テスト。対象はBARRACUDA Xで、こちらもドライバー径は40mm。マイクはBARRACUDA Xが単一指向性、PRECOG Sが無指向性。
通常使用に関してはそこまで大きな差は見られませんが、Youtube等で動画や音楽を流すと、やはり中高音に比べて低音が負け気味。本製品は単体、もしくはPCユーティリティ等でEQ調整は行えない製品なので、なかなか悩ましい所。ただ、元の音源が強烈に低音に寄っているものだと、先のDJデッキのテスト同様に広い範囲で鳴らしてくれます。
マイクに関して、実際に録音して音を確認した所、安価な製品の割にそれなりに聞き取りやすい音で声を拾ってくれています。ものすごくクリア! という事では無いのですが、最低限ボイスチャットで困らない程度にはしっかりしています。一方で無指向性マイクという事で、机上にあるスマートスピーカー(Amazon Echo spot)のボイスコマンドを実行すると、自分の声はもちろんですが、スマートスピーカーの応答音声も全部入る、といった具合。口元からマイクまでより、スピーカーからマイクまでのほうが距離があるので、音量自体は下がるのですが、完全に聞き取れる状態で入り込むので、このへんはユーザーの環境によってはネガティブになるかもしれません。単一指向性のBARRACUDA Xでも入る事は入るのですが、「ちょっと背景で音が鳴ってるかな?」程度に抑えられているので、このへんは指向性の違いが結構モロに出た印象です。
エーペックスレジェンズでのテスト
今回、私のところではレースシム向けに使う予定ではあったものの、とりあえずという事で久々にインストールしなおしたエーペックスレジェンズでも試してみました。
武器種に関わらず、発砲時の音や歩行、ダッシュの音など、どちらかといえば中高音が多めな場面でしたが、これは前述した通り得意な音域のようで、違和感なくスッと聞き取ることができました。グレネードの爆発音などでは低音がちょっと弱いかな? といった印象はありつつ、足音などを聞き取りやすいという点では、FPS系ゲームでの使用には適した味付けになっているようです。本体の装着感も相まって、長時間プレイをする時には耳も首も疲れにくい、といったメリットになりそうです。
レースシム環境でのテスト:GSP370との比較
さて、本命となるレースシム環境でのテスト。EAWRCの他、Assetto Corsa Competizioneでもテストをしています。GSP370はドライバー径が不明。
両者でまず感じるのが、やっぱりというかなんというか、「中高音に低音が負け気味」という印象。エンジン音や路面からフィードバックされる音の感じが、全体的に中高音に寄った印象で、もう少し低音が欲しいなと感じる場面が多々あります。特にEAWRCでは、コドライバーの声がかなり強調されて聞こえる為、聞き逃しは減っても、耳が疲れるといった具合。ゲーム側にもEQは用意されていない為、どうにも調整のしようが無いのが悩みどころです。なお、レースシムでこそ頑張ってほしい「空間オーディオ」は後述。
おまけ:Xperia5IVに接続して音楽の視聴
ついでという事で、普段外出時に音楽を流しているXperia5IVでもテスト。こちらは4極ピン対応なので、Y字アダプタは噛ませていません。
普段使っているイヤホンがイヤカフ型、開放型のイヤホンなので低音が弱く、その分はEQで思いっきり盛っている状態だったのですが、同じEQ設定でPRECOG Sを接続して視聴した所、「EQで作った音がそのまま出る」といった具合でした。前述のDJデッキでのテストもそうですが、とにかくカバー出来る範囲が広く、EQで適切に音を作ってあげれば、それを受け止める事が出来る余裕はかなりあるヘッドセットだなといった印象。大抵は低音が中途半端になったり、ビビリが出たりするのが安価なヘッドセット・ヘッドフォンなのですが、本製品はその点はかなり頑張っている感じ。
空間オーディオ「Windows Sonic for Headphones」はちょっと苦しいか
さて、本記事も佳境に入りましたという事で、最後に空間オーディオ(立体オーディオ、サラウンド)への対応状況について。本製品はハード的には2chステレオで、ソフト的にはユーティリティ等も無い製品である為、オーディオソース側で空間オーディオに対応していなければ、前後上下の音はすべて「左右どちらか・どのバランスか」に収束します。そこでメーカー公式に謳っているのが「Windows Sonic for Headphones」で、Windows10以降にOS標準で搭載されている空間オーディオ機能。これを有効にする事で立体的な音響が楽しめる……という事なのですが、ざっくり以下のようになりました。
エーペックスレジェンズ:WindowsSonic無効でも、多少の立体感があり、「背後方向にグレネードを投げた」際にも、「それなり」ではあるものの音は後ろから聞こえてくる印象。WindowsSonicを有効にすると、若干空間が広がったかな? といった印象
Assetto Corsa Competizione:ピットでのタイヤ交換でチェック。WindowsSonic無効時はほぼ左右のみの違い。有効時は前後の違いが多少出たように感じるが……視覚にごまかされたような印象も
EAWRC:実際の走行でチェック。WindowsSonic無効時は特にリアタイヤのスキール音がかなり近い位置で聞こえ、砂利を巻き上げた時の音も中央に寄っている印象。WindowsSonic有効時はリアタイヤを滑らせた時の音が多少後ろに寄ったか
……とこんな感じで、乱暴に言ってしまうなら「これ、視覚的な部分に耳が騙されたプラシーボ的な感じでは?」という感触が拭えません。少なくともWindowsSonicのON/OFFで明確に「うお、変わった」と言える部分は無く、WindowsSonic自体にはあまり期待しないほうが良さそうです。
特にPCゲームだと、ヘッドセット側のユーティリティで空間オーディオを再現する事もそれなりに多いので、この点を重視するのであれば何かしら考えてやる必要がありそうです。手持ちでテスト出来るものが無かったのですが、空間オーディオに対応したUSBのオーディオインターフェイスなどを活かしてやるのも良いでしょう。そこまで音質に拘らないのであれば、PRECOG SとUSBインターフェイスを一緒に揃えても1万円にもならないだろうとは思います。
2024/07/11追記:USB-DAC使用時の感触について
上記で「単体では低音が弱く、サラウンドや空間オーディオの感触にも乏しい」旨を掲載しましたが、その後バーチャル7.1ch対応のUSB-DACを調達し、追加で検証を行いました。
今回導入したのはCreative製品。前述していたEQの調整とバーチャルサラウンドの双方に対応出来る製品で、購入タイミングにもよりますが3,000円弱の製品で、音声端子側は4極のCTIAに対応。PRECOG S側も同じなので、Y字アダプタを通さず直接接続できます。
EQ含めた全体的な設定で「ドライビングシミュレーション」を選択し、Assetto Corsa Competizioneで試走してみた所、本製品導入前とはそれなりに違う音場が作られているようで、ピットイン時のタイヤ交換だけでなく、エンジンの搭載位置による音の変化や縁石を踏んだ際のロードノイズ等、全体的に空間が形成されている印象でした。また、EQでそれなりに低音が持ち上げられている事もあってか、エンジン音もロードノイズも幅が広がったような印象。低音側に余裕のあるPRECOG Sの余力が発揮されたように思います。これならゲームプレイでも快適に、かつ有力に使用可能。あとはEQ沼が待っていますが、そこは色々いじりながら詰めていく予定です。
総評:良く言えばフラット、悪く言えば薄味。オーディオソース側でEQ調整等を行えば化けるが、そのままでは高音寄りで低音弱め
さて、そんなわけで今回は久々のヘッドセット変更にあたって、XPG PRECOG Sのテストとレビューを行ってきました。いくつかのテストを行った時に感じたのは「製品自体の出せる音域」はかなり広い印象ながら、味付けが若干中高音に寄っている為、低音までしっかり出そうとすると「音源(オーディオソース)側に低音の強さを要求する」という性格の製品である印象が強いです。比較したヘッドセットの中で一番ドライバの径が大きいのが影響したか、EQなどで低音を強めにしてあげるなど、それこそDJデッキで低音を全開に振り切っても難なく発音してくれるのは驚いた所でしたが、それを活かす為の環境づくりは必要になるかな、といった具合。
空間オーディオの兼ね合いもあって、そういった対応をするのであればUSBオーディオインターフェイスや、M/Bオンボードでもユーティリティで空間、EQとも調整をする等の対策は必要になりそうです。素質は良さそうなのですが、その点がちょっと残念。
一方でエーペックスレジェンズでテストした際のように、FPS系のゲームタイトルになると、必要な音域をしっかりカバーしつつ、装着感も含めて長時間プレイには向いている、という場面もあり、どのような所で使いたいかによって評価が変わるタイプの製品に思えます。
販売価格が5,000円台の製品としては充分に頑張っているだけに、もう少し低音の味付けも入れてくれたらなぁ、と思わずにいられません。製品としても3.5mmアナログ接続の製品なだけにメーカー側でユーティリティを提供する事も難しいでしょうから、ユーザー側で何かしらの調整をしてあげる事になりそうです。
XPG製品としては同じPRECOGシリーズに「Studio」というモデルがあり、見た目やスペックに違いがある他、4.4mmバランスタイプという少し特殊なUSB-CタイプのDACを同梱しているようなので、3.5mm対応のUSB-DACをオプションで展開してくれると、「いっその事セットで買っちまえ!」的なノリで激突できそうです。「そんなんなら最初からUSB接続の使えばいいじゃん」と思われそうですが、何かとあっちこっち使い回すとなると、ドライバも何も不要で挿すだけで使える3.5mm接続は、今のところはまだ多少有利だろうとは思います。
とにもかくにも、「EQの調整」さえなんとかなれば大化けする要素を持っている本製品、今後のUSB-DAC展開やマイナーアップデートでの調整も含めて期待したいところです。