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NASサーバの近代化改修

世界101111101011110000100000000000000000000人の自作PCマニアの皆さん、こんにちは。なぜ2進数で載せたのか、今に至るまで私自身も理由をわかっていないので、誰かわかった方がいたら教えて下さい。

そんな前置きが全力で関係ないのはいつものことなのですが、先日より何段階かに分けて、我が家に設置しているNASサーバの増強を行ってきました。それが途中経過ではあるものの、ひとまず形になったのでザックリご紹介します。

更新内容その1:老朽化が進んでいるであろうM/B周りの交換

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自宅でのサーバ設置に関しては、ずーっと辿っていくとWebサーバ設置から始まりました。当時Webサーバの学習や実験的な事を行うという事で、ハード的な拡張性を切り捨て、省電力で常時稼働させる目的で選んだのが、miniITXのM/Bとスリムタイプのケース、CPUにAthlonII X2 240eという構成でした。時期的にはちょうど2010年頃で、Webサーバをクローズした後はケース以外をそのまま流用してNASサーバへ移行。ケースにはこれまた元々使用していたFractal Desing製フルタワーの「Define XL R2」を流用。

電源ユニット(PSU)に関しては、「とりあえず余ってた500W」を突っ込んだというサーバ構築にあるまじき行為を行ったわけなのですが、現段階でPSU起因のトラブルは発生していない状態。とはいえ、おそらくこのPSUも5年以上は回りっぱなしなので、耐久性の高い安定したPSUへの交換は検討中です。

実はWebサーバ時代、一番最初に壊れたのがまさかのケース付属サイドファンで、ファン位置がCPUクーラーの直上に来ている状態であったため、Athlon付属のクーラーより一回り大きかった(ような記憶の)A8-5600K付属ファンに置き換えて継続使用、構成自体はケースとストレージ以外そのままでNASサーバに持っていきました。

SATAポートは4ポート構成で、最初のうちはHDDを2台、その後さらに2台追加で計4台を接続していたのですが、SATAの口数が理由ではなく、「そろそろM/Bのどっか飛んでもおかしくない」という危なっかしい状態だった為にM/Bを入れ替え、同時にCPUやメモリも交換して、サーバとしての安定性確保を行ったような流れになります。ちなみにこの時のCPUは内蔵グラフィックスを持たない仕様だったのですが、M/B側でnVidiaのAMD対応チップセットであるnForceを採用しており、追加のVGA等を装着せずとも映像出力が出来るモデルでした。今でこそCPU内蔵タイプが増えたとはいえ、当時これはこれで変態と名高かった(割に結構評判も良かった)nForceのグラフィックス機能は、こうしたサーバ系のマネジメントグラフィックスとしては充分すぎる性能を持っていました。最近のサーバ向けM/Bでは、CPUからもチップセットからも独立した単体の「マネジメントグラフィックスチップ」という形で搭載されているものが多く見られます。

また、ケース自体もかなり古い(2015年購入)ものではあるのですが、内部容積が広く、ストレージエリアも5インチベイ(4段)まで使えば、3.5インチHDDを最大12台搭載可能という、まさにストレージ系サーバにうってつけの設計であったため、こちらはひとまずそのまま流用しました。年式の関係もあって、最近の流行りである「PSU部のボトムシュラウド」なども存在せず、また光り物に関するものも一切ありません。電源ボタン周りのLEDも一種類のみで、通常はPowerLEDとして使われるものだけがついているシンプル仕様。静音性面に関してはフロント・トップ・両サイドパネルにぎっしり吸音材が貼り付けられており、その効果も絶大なものです。

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(フルタワーに設置したITXボード。不気味ささえ惹起させるアンバランス)

そんなわけで、今回のシステム更新一発目、M/B周辺の交換に関しては、以下のような製品を選択しました。

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(構成変更後、現時点でのお姿)

M/Bを変更するとなると、世代が変わるためにメモリやCPUも変更しなくてはならないという事で、CPUは同じAthlonながら現行のAM4対応モデルに更新。こちらはCPUが内蔵GPUを持っている為、マネジメント出力としてそのまま使用しています。クーラーも付属のものを使用。

M/Bとメモリに関しては、元々VR機で使用していたもので、この時に同時にVR機の更新も行っています。M/Bは新規にASRock B450 SteelLegendを、メモリはメインマシンで使用して、交換後に余剰していたG.Skillの8GBモジュールを4枚、といった具合。

当初はサーバ側に新規のM/Bを導入する事も考えていたのですが、X470 MasterSLIが長時間稼働時の耐久性を見込める事、VR機でXシリーズのチップセットを必要とする設定を行っていなかった事、高耐久性のボードを導入しようとするとそれなりのコストになってしまう、という事から、VR機からの「おさがり」として当該M/Bを使用、パーツ選定・購入時には「B450SLとAthlonの組み合わせ」というセット購入を行いました。

とりあえずコレで最も大きな懸念点であったM/Bに関しては更新が完了、通常使用のPCと違い、それこそ5年単位で構成変更の必要が無いサーバなので、耐久性の面での心配がなければこのまましばらく続投という事になりました。

ちなみに外したM/B、CPU、メモリを一応組み直して、Windows10をお試しで入れてみたのですが、これがサッパリダメでした。そもそもグラフィック出力がD-Subのみの時点で、手持ちのディスプレイ類では変換アダプタを経由してHDMIに変えなくてはならなかったのですが、エクスプローラ操作でもやたらとダルい感じ。ただ、nForce周りのドライバを当てる前の状態である為、これを適用すれば問題なく動く可能性は充分にあります。使用に耐えるようであれば、作業用デスクに据え付ける端末として、M/Bがダメになるまでは頑張って貰う予定。

更新内容その2:OSが「FreeNAS」から「TrueNAS」へ一本化の為、アップグレード

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元々OSとして使用していた「FreeNAS」は、BSDベースのNAS向け特化OSでしたが、これが最近になって「TrueNAS」に更新されました。いくつかあったバリエーションやフォークプロジェクトをまとめて一本化したような形のようで、TrueNAS自体もフリー版を含む3つのプロジェクトがあり、法人利用等に対するサポートも行っているようです。

FreeNASの頃からもそうだったのですが、このOSの特徴として「常設システムドライブとしてUSBメモリを使用する」というものがあり、SATAスロットを埋める事なく、システムはUSBメモリ、RAID等を組むストレージエリアはSATAと使い分けが出来るようになっています。最近ではM.2スロットが当たり前のようについているとはいえ、NVMeでは長時間使用における発熱問題が、SATAタイプだとM.2スロット使用にも関わらずSATAポートと排他使用になってしまう事などもあり、またOSそのものもコンパクトに作られているので、私は16GBのUSB2.0タイプのメモリを使用しています。なお、OSインストール時には「インストールメディア」と「インストール先(常設)メディア」を別で用意する必要があった為、インストール時のみUSBメモリをもう一本使用しています。

搭載されるHDDは基本的にZFSが使用され、RAIDに関してもOS側でソフトウェアRAIDを行う関係上、別途RAIDカード等が必要ないという導入コストの安さ、そのRAIDにしても0/1/5、それらの混在やJBODのような使い方にも対応しており、耐障害性を考えないのであれば、容量もメーカーもバラバラなHDDをかき集めて、JBODで一台の大きなドライブとして使用したりする事も出来ます。私の環境では、常に導入にあたってはHDD2台を1セットとして増設し、RAID10(セット2台をミラーリング、それぞれのセット同士でストライピング)の環境で使用しており、それなりに耐障害性能とアクセス速度のバランスを取っています。

この辺に関しては従来のFreeNASでも同じだったのですが、TrueNASに更新後、Webインターフェイスのレイアウトが変わっていたり、このOS上、システム上からVMの設置操作が可能になっていたりと、かなり大幅なアップデートが施されたようです。

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(サーバ名「spica」は乙女座で最も明るい星の呼称より)

現状ではあくまでNASとしての利用に留めており、各種機能や設定もストレージ管理やユーザアクセス権限まわりがメインになっていますが、VMが使えると分かっていればもう少し上位のCPUを載せてそっちにも手を出していたかもしれません。今後のメインPC等のアップデートでパーツが浮いた時にはこちらに流用して、常時何らかの処理を行わせるようなVMを作ってみたいなと計画中です。

余談:なんでOSアップデートしたもんか・謎のリブートを連発

ところでOSのアップデートに関しては、本来は予定に入っていませんでした。FreeNASの時点でも一応アップデートリポジトリは残っており、いずれTrueNASに更新するにせよ、「今すぐ」の必要は無かったのですが、今回M/B周りをアップデートした際、「スケジューリングもしていないリブートがバンバンかかる」というトラブルに見舞われた為に、リポジトリを変更してアップデートをかけたらTrueNASに変わった、という流れ。本件トラブルが発生した時点でNAS内の全データをローカルにバックアップした上で、OSの再インストール含め一通り行ったのですが、現時点である程度安定したとはいえ、根本的な解決には至っていません。これに関して、エラーログや各コミュニティの内容を見る限りでは、以下2つが怪しい点。

・AMD環境ではそもそも安定しないOSである(らしい)
・使用中のHDDで回転数に差がある(7200rpmが2本、5400rpmが4本)

2番めの動作回転数に関しては、エラーログで「処理が追いつかない」といった内容のものが見られたため、もしかするとコレかな? というアタリをつけた程度なのですが、1番目の「AMD環境での安定性」に関しては、EPYCのような完全サーバ向け環境、かつOSも相応に最適化されたカスタマイズ系でないと安定しない事が多いのは、残念ながら事実ではあります。64bit系とはいえ、この辺のコンシューマ向けシステムに関してはIntel系環境(VGAではnVidia系)が安定して動作しやすいという傾向は今でも多く、純粋に実機での動作以外にも、VMWareのようなVM環境でもIntel優勢なのは認めざるをえない所。ディストリビューションやリポジトリによっては、そもそもからAMD系ドライバ類の配布が無かったりする事もあり、有志による別リポジトリを叩いてようやく「動く」状態になる、なんてこともしばしば。

逆に、特に第2世代ThreadRipperのような内部構造が特殊な環境に関しては、Unix系の対応はかなり早く、2990WXのような内部構造的な難しさを持っているCPUに関しては「WindowsよりLinuxのほうが絶対的パフォーマンスが出る」という状況もありました。これに関しては「特化型」というスタイルが取れた事もあるのでしょうが、クリエイティブ系のユーザがLinux環境を使っていた時に、明らかにWindows環境よりも効率的にCPUをハンドリング出来ていた、という点からも、コミュニティ系OSの優位点であろうとは思います。

ザックリとわからん方向けに追記しておくと、OS名で「Linux」と言っても、ひとつのOSを指すものではなく、「Linux、もしくはそのベースであるUnix」をベースとして、それぞれの使用環境や対象ユーザごとに動作環境や搭載ソフトウェア、さらには見た目までガバッと違うものが数多くあります。これを大雑把に「ディストリビューション」と呼ぶのですが、一般的にWindows等の環境に近いディストリビューションとしてはUbuntuLinuxあたりが有名所。Linuxに関しては「Debian系」「Slackware系」「RHEL系」あたりが有名な「大元のディストリビューション」で、ここからさらに機能の追加削除などを行ったものが公開されています。3つそれぞれもそのまま公開されており、特に「RHEL系(Red Hat Enterprise Linux)」に関しては有償サポートや有償ソフトウェアも含めて、大企業でのシステム構築などにも使われている一方、それら有償絡みの内容を全て削ったオープン版として「CentOS」が存在するなど、一度足を突っ込むと沼で済まないレベルに潜るハメになります。

更新内容その3:HDDを追加の上、冷却ファンを更新。HDDは6本動作体制へ

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(3.5インチHDDを6台。モザイク部はシリアルナンバーや使用開始日時等)

元々4本体制で動かしていたサーバですが、メインマシン側のHDD変更に伴って一本余剰していた事もあって、同型機をもう一本調達した上で、6本体制での運用に更新しました。M/BのSATAが4本→6本に増えた為に実現した部分ではあるのですが、今回の更新で以下のような構成になりました。

東芝 DT01ACA200 2TB 7200rpm * 2本
WD WD40EZRZ-RT2 4TB 5400rpm * 4本(2本ずつRAID0)

それぞれを2本1組でRAID1に、さらにそれらをRAID0で組む「RAID10」で使用している為、ドライブ自体の総本数から言えば18TBとなるのですが、ちょうど半分の9TB(1TB=1000GB)での使用環境となります。わかる方が見れば一発でわかるのですが、これらのHDDは全て「NAS用」ではなく、「デスクトップ用」の製品になります。特に東芝のドライブは7200rpmという事もあり、本来常時稼働させるNASに使用するのは「危険」の部類にも入ってきます。元々余り物から組み上げた事もあってこんな構成になったのと、今回追加したのもWDの青ドライブという事もあって、ひとまずドライブの追加、容量の拡張はここでストップして、次回以降で順次NAS向けHDD(WDなら赤など)に置き換えを行う予定です。

その他、ケース搭載の冷却ファンに関しても更新。元々ケース自体に3本の140mmファンが付属しており、そこそこ静音性が高い製品だったのですが、5年近くほぼ常時ブン回していた事もあって、そろそろ何があってもおかしくない時期だったので、3本全てを置き換えました。

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(偶然にもインペラが白の140mmファンに交換)

購入時点で1本1000円とそこそこお値打ち品だったのですが、最初に検討していたNoctua製のファンと数値的な比較をした所、パッケージ表記上ではあまり大きな違いが無かったのでこちらを導入。ちなみに同系統のNoctua製品は1本2500円とか。インペラ形状などを工夫しているとはいえ、数値的に風量も騒音値もほぼ同等というのは一体どんなモンなのでしょうか。ちなみに寿命もそれほど違いはありませんでした。

Noctua製品は次期メインPCの更新時に導入したいなと考えていた所ではあるのですが、よく言われるのが「色が気に入らない」というアレ。確かにガラスパネルで中身丸見えだと、色んな意味で目立つ色合いである事には間違いありません。ただ、時期PCではガラスパネルを使わないケースに変更予定なので、見た目よりも思いっきり性能優先でパーツ選定を行う予定です。予算が組めるならNoctuaの評判を体感したい所。

話は戻ってGELIDのファン、PWM対応という事で回転数調整が効くモデルで、今回はファンハブ等を通さずに3本ともM/B上のケースファンコネクタに直結しており、BIOS側で「多少回転数を高めに」といった設定にしてあります。元々発熱部位が少ない構成のサーバなのですが、特にフロント2本のファンは直接HDDを冷却する方向に吸気する為、多少強めくらいにガンガン冷やしてくれたほうが色々と安心。ケース自体が強烈な静音性を持っているのと、140mmという大口径ファンである為、多少回転数を上げてもそれほど音が気になる事はありません。ちなみになぜケース付属のファンハブ・ファンコントローラを使用しなかったかというと、「ファンコンのスイッチを切り替えると何故か電源が強制断される」という挙動があった為。ケース自体に5V-7V-12Vの3段階でファン駆動を切り替える機構があり、これ自体はM/Bも通しておらず、電源としてペリフェラル4ピンコネクタを接続していたのですが、切替時に何らかのノイズが発生して、ペリフェラルからPSUを直接叩いてしまっていたのではないかなと思います。逆流ノイズとなれば可能な限り避けたいので、今回でこのファンコンは封印となりました。

OSの安定性に課題が残るものの、ハードウェア的な更新で残すはPSU。HDDと併せてサーバグレード品を

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そんなワケで我が家のNASサーバの近代化改修(あんまり意味わからないで使ってます)を行った様子でした。VMの機能を使うか否かで色々と変わってはきますが、あとはPSUを高耐久品に交換、使用しているHDDも順次NAS向けドライブへ更新していければ、ハード面ではひとまずOKになります。課題となるOSの安定性に関しても様子を見つつ、最初に東芝の7200rpmドライブを交換して全ドライブで回転数を合わせた時点で挙動がどう変わるかを確認予定。

HDDをそれぞれNAS向けに交換した後は、それまで使っていた東芝7200rpmやらWD青やらがゾロゾロと余り物として出てくるわけですが、自前でなんか適当なサーバを組んで使い回すもよし、最近ではHDD入れるだけでNASサーバとして動かせるキットも安く出ているので、そちらを導入しても良いかなと検討しています。

こちらはOSの更新から内部の構成までしっかりと作り込まれている為、こちらに別途スペースを用意した上で、外部からアクセス出来るようなオンラインストレージとして利用する事も視野に入れています。現行のTrueNASでも当該機能は持ち合わせているのですが、セキュリティの面で安心できるとは言い切れないので、そのあたりはしっかりしたものを使おうかなと。こういった製品で外部アクセスを流しつつ、内部データを自前のNASとミラーリングさせておけば、アクセスするサーバがどちらであっても同じデータが使える構造くらいは作れるはずです。

とかまぁそんな感じで、「作るんなら最低限ハード構成は全部やりますよ」的なよくわからない根性の元で運用中のNASサーバのご紹介でした。


割と前から、このようなHDDも含めて全部セット的なNASキットも出ているので、お手軽に導入したい方はこういうのを選択しても良いかもしれません。外部アクセス可能にするかどうかはNASキットだけでなく、ルータや使用回線の影響も受けるので要注意で。