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メインがOEMな簡易水冷製品で特色をつけられるか?:XPG LEVANTE 240 ARGB

全世界120mmの丸い物体2つが大好きな皆様こんにちは。私のを測ってみましたが、だいたい120mmくらいがバランス良さそうです。何がって、冷却ファンですが、何を想像してたんですか? 香月です。

さて、世の中うだるような暑さなのは、もしかすると5G基地局のマイクロ波が電子レンジのような役割をしているせいなのかもしれないハズが無いだろ馬鹿野郎! という事で人間も大変暑い世の中ですが、きっと私の記事を読むような皆様であれば、自分の身体より使用しているPCの健康や温度管理を優先していることだろうと思います。そんなわけで、今回はXPG製品レビュー第2弾、240mmサイズ簡易水冷CPUクーラーです。

前回の記事でもご紹介した通り、今回の製品に関しても、XPG製品の日本販売代理店となっている株式会社タイムリーより製品提供を頂いたものになります。例によってそのへんも少し触れていきます。

前書き:株式会社タイムリーについて

前回はレビュー製品提供を受けるにあたっての「こんなことあったんよ」という内容でしたが、今回は前書きで販売代理店となる「株式会社タイムリー」について軽く紹介といった感じで。

今回の製品や販売代理店に関わらず、なにかトラブルでも無ければあまり気にすることの無い「販売代理店」ですが、縁の下の力持ち的な感じで、海外メーカーの製品が日本で手軽に購入できるような下地やルートを作ってくれる、大変ありがたい存在である事は意識しておいても良いでしょう。場合によっては、日本の製造元が販売を行う際にも、そうした代理店を経由する場合もあり、トラブル対応時の保証窓口としての役割、場合により使用上のサポート等も行っています。海外製品でリコールに相当するような製品不具合が発生した場合にも、こうした販売代理店が窓口となって、日本での各種対応を行っています。

その他、自社ブランドの扱いで製品を展開することも多く、例えば冷却系のパーツ類で有名な「株式会社サイズ」では代理店として海外製の冷却機器等の販売を行いつつ、自社開発の冷却機器で逆に日本国外にも名が知れたような製品を数多く出しています。一方、今回の「株式会社タイムリー」でも自社ブランド扱いの製品を取り扱っており、複数のジャンルやブランドネームがあるものの、「気づいたら使っていた」という製品でいえば「GROOVY」ブランドがあります。自作PCに欠かせない小物やアクセサリなど、「かゆいところに手が届く」製品を、リーズナブルな価格帯で多数揃えています。

さて、販売代理店としての立ち位置に戻ると、タイムリーでの取り扱い製品については、特にPCケースで人気を誇る「NZXT」製品、メモリ関連のメーカーであるADATAのゲーミングPC向けパーツブランドである「XPG」製品の取り扱いがあり、いずれも日本で充分に名のしれた、人気メーカーの一翼です。そういった製品の日本国内流通を円滑にしてくれているのが、販売代理店という存在。

逆に、そういった「メーカーからワンクッション挟む」という状態に関して、中間マージンが発生しているのもやはり実情で、最近あまり聞かなくはなりましたが「アスク税」なんて言われるような事もありました(「株式会社アスク」も販売代理店)。AMDやnVIDIA等が特に多いように見られますが、「1ドル200円計算になってないか?」という値付けで日本国内で販売されるという割高感からそのような話になるわけなのですが、この点は昔から様々なサイトで解説がされている通り、「販売代理店は相応の在庫を確保する等、ある程度のリスクを負って製品展開を行っている」といった事情からくるもので、確かに「なんか割高感あるなぁ」と思いつつも、それを除外しようとすると海外からの個人輸入等が必要になり、結果として選択出来るパーツやメーカーの幅が狭くなってしまうというネガティブが発生します。もしかするとあなたは特定メーカー製品しか購入しない(私のAMD信仰のように)かもしれませんが、いくら小さな日本であっても、こうしたPCパーツ系の市場としては世界的に見てもそれなりに大きい事もあり、「相応に大きい市場に対応する」となると、個々人の好き嫌いや単純な人気ランキングだけを参考にするわけにもいかず、結果として「ほぼ同じ性質の製品でも複数社の製品をラインナップする」という商業上の必要性は発生してくるのです。逆を言えば、今は「このメーカー製品で全部揃えてる」状態だったとして、そのメーカーの製品品質が著しく劣化した、もしくは単に「飽きた」などの場合に、すぐに他メーカー製品に飛びつくことが出来るのも、こうした代理店が動いてくれているからこそ出来る「好き勝手」なのでしょう。海外市場の動向や流通バリエーションの数は把握していませんが、そういった点では日本市場や日本のユーザは「かなり優遇されている」とすら言えるのが現状で、その対価として「代理店が得るべき中間マージン」に関しては許容する方向で検討しておかないと、いずれ自作PCの「自由度の高さ」という最大のメリットがバッサリなくなりかねない、ということにもなります。

常日頃から二言目には「代理店ありがとう!」と言いまくる必要は流石に無い……というより代理店も商売なので、そう思ってもらえるように動くのが当然なのですが、こうした「縁の下の力持ち」な企業があるからこその「ぼくのかんがえたさいきょうのぴーしー」が好き勝手に組み立てることが出来る、というのは、頭の片隅にでも置いておいて損は無いんだろうなぁ、と、今回のレビューを通して感じた「販売代理店」への感想です。

今回は色っ気アリ、「光る」タイプの冷却システム

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前回の120mmファン「VENTO PRO」が「完全に光り物撤廃」という硬派な製品だったのに対し、今回の簡易水冷キット「LEVANTE 240」はパーツの露出を意識したLED搭載の製品です。今回検証を行うのは120mmファンを2つ並べた240mmサイズラジエターの製品ですが、ラインナップとしては120mmファン3つ分、360mmサイズラジエターの製品もあり、使用するCPUの発熱具合、ケースに装着可能なサイズ等の点で選択可能になっています。双方の違いは情報を見たところラジエターサイズと一部同梱品のみで、水冷キットとしては「Asetek」のOEMである事が双方ともに明記されています。

前回のファンに関してもNidecとの協業である事が明記されていましたが、今回に関しても水冷キットとしては大御所となるAsetek製のOEMとして情報公開がされており、そのAsetekが本製品同様にOEM供給している相手先としては、同じ販売代理店から出ているNZXT、光モノで一歩先んじたThermaltake、電源やケースで有名なAntecから、はてはリファレンスのVGAで水冷仕様を出してくるAMDまで、それこそ「石を投げたらAsetek製品に当たる」くらいの勢いで各社から販売されています。

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(Asetek製水冷キットの特徴である、円形のCPUヘッド部プレート)

Asetek製の水冷キットがあまりにメジャーな証左のひとつとして、AMDの「RyZen ThreadRipper」に付属する水冷キットマウンタ。これがまさにAsetek製ヘッド向けとなっており、ただでさえ発熱量の多いThreadRipperが(条件付きながら)サポートするという点では、冷却性能に疑いを持つ余地もないでしょう。今回紹介するXPG製の製品も、このAsetek製のキットをOEMとして販売しており、例によってありがちな「OEM元を明記しない」といった事もなく、正々堂々と出しています。

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(ヘッド形状だけでなく、ラジエターにもAsetekラベル)

この点に関しては情報開示やヘッド形状のみならず、ラジエターに貼り付けられているラベルにも明記されており、ヘッド・ホース・ラジエターの一式がAsetek製である、という事はすぐに確認ができます。

今回のテスト環境:強烈な負荷に耐える高安定性を最重視しつつもエアフローの難しいコンパクトケース

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(ケースはCoolerMaster「MasterBox Q500L」。紹介記事はこちら

今回のテスト環境として用意したのは、普段VRやモーションキャプチャに使用している端末。ケース紹介の記事が未だに人気のようですが、パッと見た目はMicroATXサイズながら、フルサイズのATXマザーボードが入るという「変態」に分類してもCoolerMasterは文句が言えない製品で、かなりぎっちり詰め込んだPCになっています。ちょうど240mmラジエターをすでに使用中だったという理由もあるのですが、このPCで検証をするに至った理由としては「吸気側のエアフローが実質なし(排気からの負圧によるパッシブのみ)」という環境の過酷さと、小型ケース内での設置や取り回しの感触を確認したかった、というものがあります。写真を見ていただければおわかりいただけますが、VGA部分でケース上下が完全に分断されており、ケース下部は底面からエアを吸い上げる事ができるものの、VGAより上は吸い込みがほとんど無く、強いて言えば左サイドパネル側にある空間でなんとかエアが流れるかな程度。この構成で高負荷をかけた状態で安定させるのは、正直なところそう簡単な話ではありません。

そんな理由もあり、基本的にはCPU、VGAとも定格(+標準で持っているブースト)で使用しているのですが、この環境でどの程度安定した冷却が行えるか、を見ていきます。

まずはともあれ製品構成

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(黒と赤のXPGカラーで彩られたパッケージ)

とりあえず取り付け前に、内容物をザッと見ていきましょう。パッケージそのものは240mm水冷キットとしては標準的なサイズで、XPGロゴや製品写真が入ったわかりやすいもの。他社の簡易水冷キットも同様のデザインが多いため、指名買いはもちろん、「製品のデザインから選びたい」といった購入の動線でもパッと見て確認が出来ます。ファン単体ならばともかく、水冷ヘッド等のLED照明を確認するには通電がそこそこ厳しいだけに、このような写真やWebサイトの掲載写真を見て選ぶ人も少なくはない製品群でしょう。

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(パッケージを開いたところ。こちらもありがちな紙製緩衝材)

パッケージを開いた状態でもその点はさほど変わりなく、他社製品同様に紙製の緩衝材にピッタリ収まるように梱包されています。写真一番下がラジエターコア部分、左側から回り込むようにホースが通って中央右にヘッド、その左側の白い箱は付属ファン(後述)、右端が各種固定用のブラケットやバックプレート。延長ケーブルや分岐ケーブルも最小限で、無駄なものは入っていません。

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(水冷キットのメインとなる、ポンプ内蔵ヘッドからラジエターまでの一式。公表通り、Asetek製)

水冷構造の入っている部分は公表通りAsetek製で、ラジエター横にラベルがある他、ヘッドがAsetek製の特徴である丸形ベースプレートになっています。中央には事前にグリスが塗布されていますが、今回は別のグリスを使用する為、これは完全に拭き取ってからの使用になります。前述の通り、このヘッドはCPU側に付属している専用のアタッチメントを取り付けることで、RyZenThreadRipperに使用することも可能ではありますが、TDPや実際の発熱具合を考えると、240mmでは少し不安な感じも。360mmタイプも販売されているので、ThreadRipperで使用するならそちらを選択するか、専用設計の製品を選ぶのが良いでしょう。私も過去に第1世代TRでCoolerMasterの専用設計ヘッドを採用した360mmタイプを使用していましたが、かなりの熱量を処理する事になるため、それでもギリギリ、といった雰囲気でした。

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(その他付属品)

その他の付属品類として、AMD/Intelそれぞれに対応するためのブラケットやバックプレート、ファン固定を含めた各種ネジ類。ちょっと意外だったのは「M/Bを経由しないでLEDカスタマイズを行えるコントローラ」の付属が無かったこと。念の為同梱品の再確認、及びメーカーサイトでの確認をしましたが、240mm製品には同梱されておらず、360mm製品には同梱されているようです。このあたりはコストとの兼ね合い、といったところでしょうか。

ファンはオリジナル仕様の「VENTO PRO ARGB」、現存カタログモデルより大幅に形状が異なり、性能が向上

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(同梱ファンは「VENTO PRO 120 ARGB PWM」の記載)

同梱されているファンはARGB仕様の120mmが2つで、フレーム側には「VENTO PRO 120 ARGB PWM」の記載。これまた後述する事になりますが、現在XPGより単体販売されている「VENTO ARGB」及び先日レビューを行った「VENTO PRO」のいずれとも異なる製品で、現状(2021/09/20現在)で単体販売はありません。「VENTO PRO」表記ではありますが、Nidecロゴや「GentleTyphoon」表記が無く、製造国もMade in China(GentleTyphoonではMade in VIETNAM表記)となっているため、名称は同じでも別物、と考えるのが妥当でしょう。最大回転数は2000rpm±10%。製造日と思われる印字には2020年10月と記載されており、ファンそのものはそれなりに長い期間製造されているものではあるようです。また、「PRO」の名前を冠する製品という事でひと手間加えたような様子はパッと見て分かる通りで、ブレード形状、枚数とも前2製品と全く異なる構造になっており、定格電流等のスペックも異なっているようです。1枚のブレードを前後方2つに段差をつけて分けた他、さらにダクトのような構造も見受けられます。あくまでカタログ数値上、とはなりますが、おおまかにピックアップした違いは以下。

・VENTO 120/120ARGB:3ピン1200rpm、最大風量45.3CFM、最大風圧0.68mmH2O、ノイズレベル23dBA
・VENTO PRO 120 PWM:4ピンPWM・最大2150rpm±10%、最大風量75CFM、最大風圧3.15mmH2O、ノイズレベル最大28dBA
・VENTO PRO 120 ARGB PWM:4ピンPWM・最大2000rpm±10%、最大風量61.5CFM、最大風圧1.42mmH2O、ノイズレベル34dBA

こうして並べてみると、「あくまで数値上では」という注釈付きで、やはりVENTO PRO(GentleTyphoon)が頭一つ抜けて優秀な性能という事になります。これに関しては実際の稼働時に様子を見ることが出来ますが、今回のVENTO PRO 120 ARGBに関しても、現状単体販売されているLED内蔵型のVENTO120ARGBと比較すると、かなりの割合でGentleTyphoonに寄った数値が並んでいます。ブレード形状やライティングも異なるこの付属ファンにこそ、メイン部分がOEM製品である今回の水冷キットの特徴が出ていると言って過言ではないでしょう。尚、LEDは外周部にリング状、ドラム部からブレード向き方向に円状に、計2箇所に配置、単体販売されているVENTO 120ARGBに関してはドラム部だけのようなので、ライティングそのものも異なるものになっています。組み込み後の写真を見ていただくとおわかり頂ける部分ですが、これに関しては好き嫌いのわかれる部分。仕様上はARGB仕様の為、外周部のみ、ドラム部のみといった点灯方法も可能ではありますが、LED制御ユーティリティ側の対応が必要となります。

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(端子はPWM4ピン+専用3ピンLEDの2つ、LEDは変換アダプタを通してARGB汎用3ピンへ)

ファンから出ている端子は2つで、一つはPWM4ピンのファン駆動用、もうひとつはLED向けの3ピン端子ですが、一般的な端子とは形状が異なる、ロック機構のついた構造のもの。これに関しては中間に変換ケーブルを通して、最終的にM/B側で汎用的に使われる3ピン(4-1ピン)で使用可能で、LED制御もM/Bユーティリティから行えるようになっています。

とりあえず並べて見てみましょう

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さて、今回のレビューにあたって比較対象となるのは、何台のPCに流用してきたかもはや覚えてないくらい使い込んできたCoolerMaster製の簡易水冷キット。私が初めて使用した水冷キットでもあります。ラジエターサイズは240mmで、OEM等の詳細は不明。ヘッド等の形状から、Asetekではないだろうと推測はしています。

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(左がCoolerMaster、右がXPG)

そんなわけで早速並べてみました。ラジエターサイズに若干の違いがあった為、ネジ穴位置で揃えてあります。写真でいう上下、ラジエターの短辺側の張り出しがCoolerMaster製MasterLiquidのほうが若干大きく、逆にホースの長さはXPG製LEVANTEが長い、といった具合。

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(フィンピッチはほぼ同じ)

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(ラジエターコアの厚みも誤差範囲)

ラジエター部のフィンピッチや厚みもほぼ変わらず、手に持った重量的な感触もほぼ変わりません。双方とも240mmラジエターで、ラジエターそのものがアルミ材質の為、かなり軽量な部類ではあります。全銅製に比べて放熱効果が劣るものの、価格的な面でよく使用されるアルミラジエターですが、そろそろ銅製ラジエターとの比較も行ってみたい所。

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(ヘッド部の直径はほぼ同一、厚みはLEVANTEが若干薄め)

CPU側に装着するヘッドに関しては両者ともそれほど大きさは変わりませんが、厚みがLEVANTEのほうが若干ながら薄いものになっていました。ラジエター向きのホース取付部にも若干の違いがあり、「上下にずらしてほぼ水平まで2本のホースを倒せる」MasterLiquidに対し、「上下位置は同一で同一方向なら(上側に来るホースは)30度程度が限界」というLEVANTE。ホース付け根部分の直径はLEVANTEのほうが細くなっていますが、実際に伸びているホースの太さ自体は変わりません。LEVANTEのほうがホース自体が長いせいか、MasterLiquidに比べて柔軟性があり、ヘッド部のアングルの制約がさほど気にならないくらいには余裕を持って組み込みが行えました。

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(MasterLiquid(左)とLEVANTE(右)の受熱プレート。直径/横幅は5cm程度)

CPUと接する受熱プレートは先述の通り大きく形状が異なっており、「まんまる」なのが右側のLEVANTE、「まんまるから左右を切り落とした」ような形状なのがこれまで使用していたMasterLiquidでした。MasterLiquidのほうが縦方向に長さはあるものの、両者とも横方向の径は5cm程度で、今回取り付けを行うRyZenのヒートスプレッダ(4cm*4cm弱)をカバーするには問題ないサイズになっています。

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(LEVANTE付属「VENTO PRO ARGB」(左)とMasterLiquid付属「MasterFan 120AB」(右))

ある意味で共通点となったのがファンで、どちらも現時点(2021/09/17現在)で単体販売が無い製品。XPGのファンは先述した通りですが、CoolerMaster側の「~120 AB」についても、「MasterFan Pro 120AB」はあるようですが、Proのつかない「無印」は見当たりませんでした。また、こちらはARGBではない12V4ピン仕様の単色発光。いずれも2系統のケーブルが出ている点に違いは無く、ネジ穴周りに防振クッションが付いている点も同様ですが、ケーブル引き出し方向とフック形状に違いがあり、フラットケーブルの整理という点で言えばXPG製の大きなフックが思いの外便利でした。ただ、CoolerMaster製はフレーム直後からメッシュケーブルになっている為、このあたりは好き嫌いの分かれそうな部分です。性能的にも似通っており、PWM対応で最大2000rpmなのは同じ、最低回転数がVENTO PRO ARGBで600rpm、MasterFan 120ABで650rpmと、若干の違いがあります。消費電力もわずかではありますがMasterFanのほうが高め(VENTO PRO ARGB:0.18A表記・MasterFan 120AB:0.37A表記)。

気のせいか? 取り付けはスムースに進行、引っかかるような様子もほぼ無し

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(ファン固定完了、と思いきや、ケーブル向きを間違えたので後でつけ直しました)

さて、いよいよ組み込みですが、とりあえずファンを固定。CoolerMaster製ではハンドスクリューが使われていたラジエターとファンの固定ですが、LEVANTEでは一般的なネジが使用されており、ドライバーで固定する事になります。

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(長いのがファン固定、短いのがケースにラジエターを固定するネジ)

これに関しては実はそれぞれにメリット・デメリットがあり、簡単にまとめるとこんな感じ。

ハンドスクリュー:
・メリット:よほどでなければ工具不要、ラジエターをケースに取り付けた後でも、ファンだけの取り外しが可能
・デメリット:ケース内側へ飛び出すネジ頭が大きく、小型ケースではM/B上コンポーネントとのクリアランスが無くなる

一般的なネジ:
・メリット:ネジ頭が低い為、ファンフレームからネジ頭の飛び出しが最小限
・デメリット:工具必須な為、物理的に工具が入らない場合にはケース装着状態でファン取り外しが不可能

ようするに「横着してファンだけ外したいか、ケース内部クリアランスを確保したいか」という事なのですが、今回使用するケースは内部クリアランスが強烈に影響してくるため、今回のような頭の小さいネジは有利に働きます。一方で、やはりケースが小さいゆえに「ファンだけ交換したい」となった場合にはドライバーが入らず、ラジエターごと取り外す必要があるため、ホース含め全て一体型になっている簡易水冷キットとしてはラジエターコアをぶつけてしまう、ホースに無理なテンションが掛かってしまう等の注意点が増える事があるのは頭に入れておきましょう。状態に応じてラジエターコアを保護するようにダンボールなどを用意してあげる、ヘッドのアングルを先に曲げてからホースを引き出すなどの工夫も必要です。

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(AM4ソケットでは標準バックプレートを流用)

取り付けに関しては、AM4ソケットの場合はM/B標準のバックプレートを流用し、4箇所にベースとなるネジを立てていきます。最終的にヘッド固定時にドライバーで締め付ける事になるので、この時点では手回しで立てる感じで問題ありません。バックプレートが揺れない程度まで手で締めてから、アタッチメントを取り付けたヘッドを固定し、ドライバーでベースごと締め付けていきます。

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(ヘッド側ブラケットはツールフリーで固定。向きに注意)

ヘッド側に取り付けるブラケットは溝に合わせてはめ込み、回すようにすると溝が噛み合って固定完了。この時にヘッドの向きを決めることになるので、その点は要注意です。今回はホースを右から出すようにする為、ブラケットは縦方向を向くように固定しました。メモリと干渉する場合やケース位置等で向きを変えたい場合には、この時点で固定方向を決めておく必要があります。

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(すっかり御用達になった「ネコグリス」)

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(この時点でラジエターは仮固定)

先述した通り、今回は最初から塗布されているグリスを拭き取って、手持ちのグリスを塗布する事になった為、ヘッド側ではなくCPU側にグリスを塗布してから固定。上下2箇所、計4箇所をネジ留めします。一見すると手回しで行けそうな形状のネジですが、指が入らなかったり、先程のベースも一緒に締め付ける必要がある事から、おとなしくドライバーで締めました。それに前後して天面配置のラジエターも固定、今回のケースはクリアランスや位置関係がかなりシビアな小型ケースの為、一旦仮留めの状態にして、「ラジエターを吊るしているだけ」の状態でCPUヘッド側を本締め、その後ラジエター位置やホースを微調整して本締め、の流れになりました。

今回の取り付けで「おや?」と思ったのは、CoolerMaster製に比べて取り付け時の引っかかりや無理な姿勢でラジエターを保持する、といった事が無かった点。全体的な形状で唯一異なるのはホースの長さだけなので、若干長かったホースのおかげでテンションが抜けて取り付けが行いやすかったのだろうと思います。今回のケースでなかなか難しくなる部分としてPSUとの位置関係がありましたが、最終的には元と同じ位置で固定。程よくホースが長かったおかげで、内部構成を大幅に変更する必要なく取り付けが行えました。

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(ゲーミングなんとかお決まりの「レインボー」)

あとは各種配線を接続すれば準備完了。PCの電源を入れて、BIOS画面でポンプ含め正常に動作している事を確認しつつ、ポンプの入っているCPUヘッド部、冷却液の流れるホースそれぞれに軽く指を当てて、正常に動作しているか、冷却液は循環しているかを確認。空冷やDIY水冷と違って全く見えない部分になるのですが、「指を押し当てる」ではなく「わずかに触れさせる」ようにしてあげると、それぞれの動作時に発生するわずかな「振動」を指先で確認できるようになるので、これは慣れておくと色々と流用が効いて便利です。

高負荷開始時は温度が跳ねるも、その後はそこそこ安定、アイドル時はわずかに温度が低下

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(LED消灯状態でもハッキリ見えるXPGロゴ。主張は強め)

さて、いよいよ本記事も佳境に入ってまいりました、実際の冷却性能の比較。今回はCPUクーラーだという事と、VGA周り含め他のエアフローの影響を受けにくい環境であった為、いつもどおり「OCCT」を使用、30分のCPUストレステストで計測しました。今回のCPUはRyZen7 3700X(8C/16T:3.6~4.4GHz・TDP65W)を使用しており、この世代からCCDが8コア単位になった事でCCDが1つになり、熱処理が先代及びこの世代以降でも2CCD構成の製品に比べて難しくなってきました。熱源が1箇所に集中する為、ヒートスプレッダを経由しても上手く放熱する事が難しい、という理屈ですが、その分TDPが65Wと抑えられ、Zen3系(5000番台)のRyZen7よりは多少マシ、といった印象です。

尚、公開時期の関係で若干のズレがある事を先にご承知おき頂きたい点として記した上で、このテストを行った際の室温は35℃前後のヘビーな環境であった事も、併せてお伝えします。もうアレです。PCより先に人間がぶっ倒れるかと思いました。人間はスポーツドリンクで水冷しましょう。

まずはこれまで使用していたCoolerMaster、MasterLiquidから。

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(アイドル:58℃からスタート)

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(1分と経たずにで68℃突破。ただしそこからは安定傾向)

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(15分ほどで波を打ち始め、70℃付近をギリギリキープ)

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(テスト終了、負荷解放と同時に一気に59℃、この後58℃で安定)

OCCTの他、RadeonSoftwareのCPUモニタリング、及びM/Bのファンコントロール画面も出しているので、少し画面が狭いのはご容赦を。傾向的にはテスト開始と同時に全コアに100%の負荷がかかり、アイドル時点で58℃程度だった温度が一気に68℃まで上昇しますが、一旦そこで落ち着きます。クロックは全コア使用という事もあってピークで4.17GHz程度。15分ほど回すと妙な波打ちを見せながら最大温度となる76℃になりますが、スパイクというには少し緩やかな様子で70℃といったり来たり。最終的に70℃側で落ち着くので、一気に上昇した温度にラジエターの放熱がワンテンポ遅れて追いついた、といった印象。テスト終了と同時にリニアに温度が低下し、アイドルの58℃で落ち着きました。ファンの回り方は完全にCPU温度と比例しており、62℃で100%回転となる設定そのままに推移。なお、CPUグリスに関しては前回の装着からそれほど期間が経っていなかった事と、あえて塗り直す事で馴染んでいたものを剥がしてしまうのも勿体ないので、同じネコグリスではありますがそのままで計測しました。

さて、続いてXPG LEVANTEによる計測。こちらはCoolerMasterのクーラーを取り外した後、CPU表面も綺麗にしてグリスを再塗布。先述の通りネコグリスで統一です。

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(アイドルからのスタート。CPU負荷とリニアな温度変化ながら、低負荷時は55℃まで低下)

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(一気に70℃まで上昇、ちょっと気になる波打ちで最大76℃)

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(その後70℃付近で落ち着くも、19分時点で軽くスパイク)

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(テスト終了と同時に温度低下、58℃で安定後、ゆっくりアイドル値へ)

アイドル時点では先のCoolerMasterより3℃下がった55℃で安定するものの、ちょっとしたCPU負荷などに対処が追いつかないのか、OCCTでの10%負荷あたりまではほぼCPU負荷とリニアに温度変化が出ています。不意のスパイクなどが発生した際に60℃を超え、62~63℃付近まで跳ねる事も。この「ワンテンポ遅れる」ような温度変化は高負荷時にも同様で、10分経つ前の時点で最高値となる76℃まで一時的に上昇、その後降下して70℃で安定する動きを見せました。CoolerMasterの時に出ていた15分頃の波打ちは、XPGでは19分頃に一回だけという動きで、ひとしきり冷却液が回ってしまうとしっかり安定した冷却を行っているようです。テスト終了後はこれまた妙な感じで、一旦58℃で安定、その後スーッと温度が低下し、最初の55℃付近で安定します。尚、テスト前に発生していたスパイク時の温度上昇に関しては、テスト後には見られなかった事から、「冷却液含め『水冷機構全体』が安定さえすれば」、ちょっとしたスパイク等の影響は受けにくいようでした。

どちらの計測にあたっても、電源投入後のアイドル状態で10分程度回した後にテストを開始していますが、「即応性」という点ではCoolerMasterの水冷キットが現状は勝っているように見えます。逆に「一度フル回転してしまえば」、という環境からはXPG側に軍配が上がり、最終的な継続使用によるアイドル温度は3℃という僅差ながら低下。先述した通り「室温35℃」という環境で、吸気が実質ゼロというケースで使用するにあたっては、空冷に比較した際の水冷のわかりやすい特徴そのままに「瞬発より持続冷却」に寄っているようで、今回のようにガッチリ数字を出して見る限りは「冷却のモタツキ」が出ているように感じます。実使用上ではさほど差が出る部分ではなく、むしろ安定後のアイドル値が低い点は評価すべきですが、もしかすると冷却液を循環させるポンプが若干弱いのかもしれません。という点も踏まえて次。

ファンの静圧はかなりのもの、「瞬発力」に欠ける要因はポンプの世代……ではない様子

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(写真はXPG LEVANTEとVENTO PRO 120 ARGBの組み合わせ時)

付属しているファン「VENTO PRO 120 ARGB」の静圧はかなりのもので、ケース内部からラジエター・ケースフレーム・ダストフィルターを通してもまだまっすぐ風が抜けるくらいにはしっかりしています。また、今回は天板部にラジエターが設置されていますが、先の3つの障害物を抜けてもエアフローが拡散する様子も無く、ファンの面積ほぼそのままに風が吹き抜けていきます。CoolerMaster製ラジエター付属ファンも頑張って入るのですが、フレームかフィルターあたりで風圧が負けているのか、フィルターを抜けたエアフローがかなり散ってしまっているような動きをしていました。

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(CoolerMaster製。「まっすぐ上に」というより「フィルターで拡散」)

この点に関しては、付属しているファンのラジエターとの相性はかなり良さそうで、単体販売が無いことが逆に悔やまれる所です。今回の製品には2020年の製造年と思わしき印字があった為、かれこれ1年は水冷キット付属の為だけに製造されていることになるこのファン、単体販売がそろそろあっても良さそうなものです。

さて、「ファンの特性は良いのになぜ冷却の即応性に欠けるか?」という点に関しては、「もしかして、ヘッドに組み込まれているポンプの性能か?」というポイントが浮上しました。

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(今回の製品ではポンプ含め「第6世代」が採用されている様子)

今回テストを行った240mmモデルでは、Asetekの水冷システムが「第6世代」となっているようで、Asetek側としては2020年から第7世代にバージョンアップしているのですが、XPG側のWebサイトを見る限り、240mm製品で「Gen.7(第7世代)」と表記されている項目が見当たりませんでした。この点に関して、今回製品提供を頂いた販売代理店のタイムリー担当の方へ確認を取った所、「現時点で市場流通している240mm製品は全て第6世代、第7世代は年内に発売、もしくはアナウンス予定」との事で、現時点で少なくとも240mm製品に関しては第6世代のAsetekキットとなるようです。

また、第6世代と第7世代の変更点としては、主にポンプ類の静音性向上に主眼が置かれており、逆にそれ以外の点での大きな変更点は無いとの事。となると、「Gen.6とGen.7で冷却性能が大きく変わる」という予測は立たない事になります。

その上で改めてデータを確認して行くと、今回に関して言えば「ポンプの世代が影響」というよりは、「水冷キット全体の性能面」という他社製品との比較、という事になります。思い切りザックリ書いてしまうと、「Asetekの現行製品、及びそのOEMでは温度変化に対する即応性、『蹴り出し』がモタつく」という事になり、この点は他メーカーから販売されているAsetek製OEM製品でも(よほど特注設計のポンプでも無い限り)同様という事になります。

尚、今回のXPG LEVANTE、及び比較対象のCoolerMaster MasterLiquid双方とも、水冷ポンプ(ヘッド部内蔵)の駆動は3ピンDC駆動となっており、「回転数検知は出来るが、基本的に全力運転」という製品になっています。最近のM/BではDCファン/ポンプ(2ピン、3ピン)でも電圧調整によって回転数調整が行える製品が主流ですが、今回のテスト環境に関してはいずれの場合にもM/BのBIOSから明示的に「DC駆動」と指定した上で行っている為、温度変化に関わらず常に全力運転をしている状態、となっています。その上での今回の結果を見ると、「Asetek製に比較して、CoolerMaster製のポンプが冷却液循環に対して強力である」という判断になります。CoolerMaster製の水冷キットにしてもいずれかのOEM元があるものと判断していますが(一部他社製品と受熱プレート形状が同一である等から)、そういった点においては、特に「蹴り出し」に関してはAsetek製品は一歩劣ってしまう、といった考え方も出来るかもしれません。その代わりと言ってはナンですが、その「蹴り出し」が終わって循環が充分に行われた時には全体的な数値が逆転し、「相応の低温状態を安定して維持できる」というのがAsetek製キットの特性でもあります。今回のテストでアイドル時点の温度に差が出ているのは、その証左とも言えるでしょう。

総評:OEMである以上メインは他社製品と同等、性能上の差別化をもたらしたのは「付属ファン」

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(ライティングはもちろん、ラジエター向けファンとしては優秀な付属品)

さて、そんなわけで本記事も〆に入りますが、まずはそもそもから「Asetek製のOEM」を明示している「XPG LEVANTE 240 ARGB」、その形状等も含め、同様にAsetekOEMで販売している他社製品と、水冷部分、つまりは「Asetek製品の部分」に関しては仕様上の差が生まれないという事になります。

そうなると、他社との差別化でどこを変えるか、という事になり、メーカーによってこの点の考え方は様々です。例えばCPU部にくるヘッドのデザインに一手間かけて、ライティングが綺麗に見えたり、小さな液晶を搭載して様々な情報をカスタマイズして表示させる事が出来るようにしていたり、といった具合。その点を考えると、今回のXPG製品に関しては、「ヘッド部にロゴを入れてARGBで光らせる」程度に留まっており、率直な所他社製品ほど手が入れられているとは言えません。実際、今回の水冷ヘッドの形状からも、「元々Asetekがオプションとして展開している『キャップ部のカスタマイズ』」に留められているようで、ロゴこそ違えど、ヘッド表面の形状はAsetekのWebサイトに掲載されているものとほぼ同一です。

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(AsetekのWebサイトに掲載があるベースモデル。ヘッド形状はほぼ同一)

それでは、XPGとしてこの製品を他社と差別化させるにあたって何をしてきたか、という点に関しては、やはり付属のファン性能を上げてきた、と判断出来るでしょう。既に販売されているカタログモデルのファンをただ付属品にしたのではなく、現時点においては水冷キット付属専用としてのみ入手が可能である「VENTO PRO ARGB」というファンは、今回のレビューでも紹介した通り、ラジエターとの組み合わせにおいて静圧性能含め相性が良く、LEDを搭載して「光る系PC」を組みたいユーザのニーズを汲みつつ、本来の仕事である「CPU冷却」に関しても結構面倒な部分で一手間加えた、といった印象で、ファンブレードの形状だけ見てもその違いはよくわかります。

そういったメーカー、ブランドとしての尽力は目を引くものがありますが、かえすがえすも残念なのは「恐らくAsetek製全般で同じ傾向」と思われる、「冷却性能の『蹴り出し』や『即応性』の鈍さ」となり、ポンプや冷却液の流動が既定値を超えるまでの若干の間、温度変化についていけていないという印象は拭いきれません。ラジエター、及びそれを通る冷却液の冷却には充分な性能を持つファンを搭載しながら、それが実力を発揮するまでに少々時間がかかってしまう点は、もしかするとXPGとしても歯がゆい思いをしている部分なのかもしれません。

今回に関しては「褒め殺しなんてしません」とかいう次元以前に、取得したデータを見て「完全に一長一短」という状況だった為、実は記事をまとめるのが結構難航していました。ただ、「動き始めて軌道に乗った後は安定傾向」というデータでもあった為、Asetek製水冷キットそのものの評価に加え、「それを冷やすファンの性能」という点においては、今回のXPG LEVANTEについて「継続的に高負荷をかけるような動作環境で安定した冷却性能を発揮できる」というポジティブな評価はつけられるでしょう。初動の蹴り出しに関しても、Windowsを立ち上げて、ソフトウェアを立ち上げて、データの準備をして……といった割と一般的な作業前準備を行っている間に安定状態に入っていれば、そのままデメリットを解消した状態で性能を発揮できるものと思います。先述の通り、今回は「Windows起動後アイドルを10分程度、その後OCCTで高負荷をかける」という、「10分間何もしない状態からいきなりCPU負荷を最大にする」方法での計測だった為、アイドル時点の温度の波打ちなどが目立つこととなりましたが、これらの準備時間を考慮すると、実際にCPU負荷が高くなる場面に入る頃には冷却液の循環も充分に行われ、ラジエターにもある程度熱が入った状態からファンの全力運転による冷却が行われる、という流れになるでしょうから、そういった点ではAsetek製となる水冷周り、XPGで用意したラジエターファンそれぞれの役目は充分に果たせる環境になるものと思います。

一方で、「PC立ち上げて即ゲームスタート」という環境においては、最初の数分(今回であれば10分程度)はCPU冷却が間に合わず、温度上昇によるブーストクロックの抑制等が入り、結果としてフレームレートが安定しない等の現象が出る可能性は充分に考えられます。そうした点に関しては、「安定しない間は練習プレイ、安定後から本番」という「少し時間に余裕をもたせる」といった使用方法を検討する必要はあります。一度安定してしまえば性能は決して悪くない為、その時間をどう捉えるか、で評価や判断が変わってくるでしょう。

かえすがえすも、市場に多数流通している「Asetek製品OEM」という簡易水冷キットの中で「どこで他社と差別化するか」という点において、本製品では「付属ファンによる冷却性能の向上」に主眼を置いたと思われる組み合わせになっており、「LEDによる色気も考慮しつつ、本題たる冷却性能を二の次にしない」構成に関しては高評価をつけても、贔屓とは言われないでしょう。以前の記事で「XPGというブランドは後発である事を認識している」と紹介しましたが、今回の製品にもその点が反映されているようで、「後発ゆえに『どこに主眼を置くか』」という事については間違いを犯しておらず、水冷ヘッド部はともかく付属ファンのLEDライティングも「流行をリサーチして構成した」といった色気があるように思える為、メーカー、ブランドとしての製品開発にブレは無いようです。

どうにも歯切れのよい〆、結論が出せないのが私としても歯がゆいのですが、少なくとも方針そのものは決して間違ってはいない、という判断は出来るでしょう。

そんなワケで、せっかく提供頂いた製品で、私の使用方法・使用用途上で充分な性能を発揮してくれているXPG LEVANTE、ありがたく現在もVR・モーションキャプチャ機で継続使用として働いてもらっています。「たまにはLEDいじってみたいな」と思った時にぽちぽちいじってピカピカしてる様子を見て「うん! 綺麗! よし単色に戻そう!」みたいな「結局単色かよ」というツッコミを受けるのは当然承知の上で、なんかピカピカさせている昨今です。