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小説『ニンジャスレイヤー』第3部を読みはじめたワシはスシで拳を握り、バイオニンジャ集団に涙し、暗殺野球で咆えた。

【NOTICE】
「『ニンジャスレイヤー』の第1部~第3部をこれから読むつもり」
「オレはフレッシュ&フレッシュな気持ちで読むんだ」
そう考えている人はこの投稿を読まないほうがよさげです。
なお第4部は未読なので、まったく触れていません。


(この記事はなんだ?)
この記事は、小説『ニンジャスレイヤー』第3部、書籍版の第2巻を読み終えるまでのいきさつ、そのなかで受けた印象、そして特にコーフンしたいくつかのエピソードについて、好き勝手に、指の動くままに、勢いでズババと書いたものだ(書き終えてから見たら9000文字もあった)。
ワシより先の先の先の先の先の先、はるか彼方の第4部で盛り上がっているセンパイの皆さんからしてみれば今更感もあるだろうが、どうか温かい目で見守ってほしい。
なお、これまでの感想はこちらのマガジンに収録している。


◆前回までのワシ

2019年3月。忍殺Newbieのワシは第1部を一気に読破した。
2019年4月。ワシはやめられないとまらないまま第2部エピソードを【公開順】でかたっぱしから読んだ。

◆その後のワシ

相変わらず、ネタバレしないようにニンジャ情報への接触は避けていた(今も)。Wikiも詳細をいっさい読まず、ひたすらエピソード・リストを上から読み漁る日々。そして2019年4月下旬。第2部の途中でいきなりスタートした第3部にニューロンを焼かれながらも、クライマックスの『キョート・ヘル・オン・アース』を読んでいたワシは・・・コーフンに次ぐコーフン、手汗ビショビショ、失禁、ハラハラDOKI-DOKI、怒涛の展開に呼吸を忘れていたせいで死んだ。迎えたラスト。思わず頬が緩み、胸をなでおろした。

スーパー・オオゼキのスシを食べ、チャをすすりながら回想。心を整理し、フートンでしっかり睡眠をとってから・・・第3部に進んだ。とりあえずは第2部の流れを踏襲し、ニンジャスレイヤーWikiの【公開順】で読むことにした。繰り返すが、ワシは第2部の途中、第3部のいくつかを既に読んでいる(読まされた)。それは以下だ。

「ア・ニュー・デイ・ボーン・ウィズ・ゴールデン・デイズ」
「フラッシュファイト・ラン・キル・アタック」
「ザ・ファンタスティック・モーグ」
「サツバツ・ナイト・バイ・ナイト」

第3部をWikiの【公開順】でひとまずスタートした理由はふたつ。
ひとつめは、【公開順】or【時系列順】を決め切れていなかったこと。
ふたつめは、「あのキョートでの死闘の後に公開された1発目の第3部エピソードとは一体どのようなものなのか?」が気になっていたこと。ワシは当時の読者キモチ重点で読み進めることにした。

1発目。
「ニュー・メッセンジャー・オブ・ホワット」
Wikiに、note版のリンクがあった。深呼吸。タップ。・・・なぜか『ラスト・ガール・スタンディング』のページに飛んだ。どうやらエピローグ的なやつだ。(ショ、ショーゴーぉー! お前生きとったんかぁー!)男塾ばりの展開だ。第3部で活躍するのだろうか。Wikiの第3部サブタイトルは「不滅のニンジャソウル」だったな。そういう意味か? 楽しみだ。・・・というかアッサリ終わってしまった! あまりに短文! これは重要と思われるが短すぎて、”公開順、第3部の本格的な物語が指導!” とはチト違うように思えた。

2発目。
「ファスト・アズ・ライトニング、コールド・アズ・ウインター」
かっちょいいタイトルだ。
電撃的で、寒気を帯びた・・・イクサの予感がする。
ワシは瞠目した。Togetterまとめが#7まである! ボリューミー! これだ。これが【公開順】で提示された、第3部の幕開け的なエピソードだろう。
・・・ほう。エーリアスがフジキドにスシを奢るとな? 家をぶっ壊されてトレーラーハウスでババアとしぶしぶショーギしていたクセに財布が潤っているのか? 時系列は定かではない。穏やかな始まり。フジキドの日常はシンセン。だが和やかにスシを食って終わるだけで済むはずがない。・・・ははーん。さては、その店がニンジャに襲われて戦に発展する? アマクダリ・セクトのニンジャが客として居合わせてなんか起きちゃったりする? ワシはサツバツとした展開をいくつか予想しながら読み進めた。

いかにもクサイ、「ウェルシー・トロスシ」。開店一週間、世界制覇価格。実際大行列。そしてその向かい、老舗めいた奥ゆかしい店構えの「ワザ・スシ」。ジジイが店主。ぜったいこっちのほうがウマイはずだ。さすがのワシも気づく。ウェルシー・トロスシは信用できないぞ、と。ほら、怪しい奴らが嫌がらせしてきた! やっちまえ!・・・スシシェフ装束? スシ勝負を申し込む? 何言ってんの? 何かがおかしい。スシ勝負? ちょっと待ってほしい。これはコテコテのグルメ・コミック展開だ。このまま進むの? ねぇ、本気で握っちゃうの?
その瞬間・・・ワシの脳裏に、センパイたちのオススメ言葉が蘇った。

「スシとか、マグロとか、やきゅうとか」

・・・スシ。これがスシか。そうなのか。第2部の直後にコレなのか。スマホを操作する親指がプルプルと震えた。
・・・だが。読み進めるうちに、心にアツイものがわいてくるのを実感していた。ワシは左の拳を握っていた。力のあまり右手のスマホにヒビが入る。「おのれ卑怯な奴らめ!」「ネギトログラインダー棍棒!?」「急げ、急げ!」「タマゴ・・・」「アーッそのマグロは!」「エーリアスのジツがお役立ち!」「ウォォォ―赤身!赤身!そしてトロ!赤身!赤身!そしてトロ!」

ライバル店の悪質な嫌がらせ、見事な持ち直しからの、ガチ料理対決、逆転劇! ・・・王道だ。至極真面目にやっている。そこにニンジャだからそこの要素が加わることでコーフンの物語に仕上げていやがる。そして、最後はカラテ。
なんだよクソッ。3000%ニンジャスレイヤーだ。めちゃくちゃ面白いじゃないか。

読了後、ワシはしばし考えた。冷静に。スシ勝負というとんでもない展開で脳が破裂しかけたものの、冷静に考えれば・・・キョートの ”あの” 死闘のあと、共に戦った仲間と休息・・・スシを食う。【公開順】だからこそ、そういう展開があったっていいんだ。それだけエーリアスもフジキドもよく戦ったんだ。クソッ、ニクイやり口だ。

その後もワシはWikiに従い・・・
「キリング・フィールド・サップーケイ」
「バトル・オブ・ザ・ネスト」
・・・と読み進めた、2019年4月の末。

Kindle版『ニンジャスレイヤー』、まさかの半額セール!

めちゃくちゃナイス・タイミングだった。読み方に迷っていたから。このまま【公開順】でいいのか? 【時系列順】を推奨してくださる人もいた。書籍版ならきっと、いろいろアレコレ加味して最高の掲載順になっているだろう。そして、やはり一度は書籍版を読んでみたい。加筆修正や、書籍独占のエピソードもあるらしいから。
ワシは一心不乱にワンタップBUYボタンを連打し、第3部、その全巻を手に入れた。

ホクホク顔でスマホKindleを開き、書籍版(1巻)のクールな表紙を眺める。カラテ(ジュー・ジツなのかもしれないがワシにはまだ見分けがつかない)を構えるニンジャスレイヤー。スモウ行司のように軍配を握り締めるオカッパ金髪。これはチバくんだろう。左上でいちばん面積を使って顔面をビカビカさせているのは・・・ワシにもわかる。アガメムノンだ。こいつは怪しい。いけ好かない。あとなんか強そうな黒いニンジャもいる。
1ページ捲る。またカラーイラスト。素晴らしい。

(もしや、こんな感じで2巻もイラストが?)

そう思ったコラエ性のないワシは、電子的な1巻を閉じ・・・電子的な2巻の表紙をタップした。

鮮やかな水色がまぶしい。
まず右上のセクシー・ブロンドに目がいく。ナンシー=サンだろうか。そして左上。このローライズホットパンツ鼠径部丸出し女は誰だ? 右下、スシをつまむイチロー・モリタ。座って食べなさい。中央、殺意に満ちたニンジャスレイヤーだ。そして左下。
・・・これはニンジャスレイヤーか? バットを持っている。イチローめいたポーズ。紅白の縦じまシャツ。

「スシとか、マグロとか、やきゅうとか」

やきゅう・・・野球・・・。
ワシは生唾を飲み下し、1ページ捲る。

描きこみ量が多くて厚みのある、見事なイラストだった。魑魅魍魎っぽい奴らの上で身を屈めるニンジャスレイヤー。彼の横には、ご丁寧に「ニンジャスレイヤー」と文字が。その上にも・・・腕組みして立つニンジャスレイヤー。こちらにも「ニンジャスレイヤー」の文字が。ふたり?
「ニンジャスレイヤー ニンジャスレイヤー」
まるで呪文のような繰り返し。誰かが彼の名を呼んでいるかのようにも思える。そういう手法でワシの脳をニンジャスレイヤーで満たしていくつもりか(後日、本編を読んでその真の意味を知る)。

ワシは生唾を飲み下し、もう1ページ捲る。
やっ、野球盤的なイラストォーッ!? そして上にでかでかと書かれた文字。
「皆さんは「野球」というスポーツをご存知だろうか?」
ハイ知ってます。
・・・間違いない。ウワサの野球回は、この第2巻に収録されているのだ!
(今思えば、本編の大きなヒントがここに提示されていた。スリケン投擲めいたポーズをとるピッチャーのシルエット(青)。なぜかカタナを腰に吊るしているキャッチャーのシルエット(青)。カタナかバットを振り上げてバッターボックスに立つシルエット(赤)。どうみてもニンジャ。三忍。それ以外の守備7名は人間風の黒シルエットで、ヤクザばりに斜め立ちしている)。

「これ以上の表紙ルッキング行為はキケン」と判断したワシは、ただちに2巻を閉じ、1巻に戻った。


第1巻、第1話。「ハウンド・オブ・ニンジャ」。
書籍独占収録らしいのでクワシイ言及は控えるが、事件記者モータル、所属不明のニンジャ、オイラン、そして暗黒非合法探偵イチロー・モリタ。第1部、ネオサイタマの雰囲気に懐かしさを覚える。短くまとまっており、サスペンスめいた展開にシビレる。迎えるラスト。その決め台詞にワシは失禁した。

「よかろう」
ニンジャスレイヤーの眼光は赤黒いセンコ花火めいた光を闇に刻んだ。
「今宵のイクサを始めるとしよう。アマクダリ・セクトよ!」

ババーン!
うううおおおおおかっけええええ!
ソウカイヤもザイバツも壊滅させたニンジャスレイヤー。彼の新たな戦いが、新たな敵が、ハッキリと彼の口から飛び出す。第1話としてカンペキじゃないのこれ!

※この後、第2巻の1発目「フー・キルド・ニンジャスレイヤー?」にて無気力・フジキドの姿を目の当たりにしたワシは大いに混乱し、彼を叱咤し、その再起と死闘に胸を熱くし、(これを1巻の1話に持ってこないあたりがニンジャスレイヤーらしいなあ)などと知ったかぶって感心したのだが、それは割愛しよう※

・・・ワシはあっという間に1巻を読み終えた。
巻末にニンジャイラストがあって、イメージング行為の助けになる。これはいい。ありがたい。他にも用語解説とかウキヨエ・コンの作品が掲載されているようだが、これは後日まとめて楽しむと決めた。ネタバレは無いと思うが、念のためだ。

1巻には、第2部の途中で読んだ(ブッこまれた)エピソードが3つ含まれていたが、それらの読みなおしも楽しかった。初見のエピソードももちろん面白かった。モータル・ピンチからハートフルな展開へとつながるサンタ回。味のあるババアが出て来てポイント倍々の倍点なミステリー回、”都市間弾道スリケン思想”。ニチョームの激戦。調子こくモータル回。嬉しいデッカー回は大晦日・・・。

「ネオサイタマに戻ってきたぞ」
ワシは、そんな気分になった。
キョートも好きだ。圧倒的なスケールで描かれる魅力的な舞台、個性豊かで上下関係も魅力なザイバツのニンジャたち。・・・だが、ネオサイタマのモータル、ヤクザ、デッカー、ニンジャ、ニチョーム、街並み、シノギ、サツバツが、ワシは大好きだ。そんな魅力ががギュッと詰まった1巻だ。長編もあるが、心にしみる短めのエピソードがちょいちょい挟まれていて、読みやすくもある。

この勢いで、第3部もあっという間に読み終えてしまいそうだった。

・・・だが、ここからが、長かった。
・・・時は流れ。

◆2020年1月のワシ

スゴク・ニンジャ・センパイにあたるお望月=サンがTwitterで呟いた。

モチ「ジョンQさん、ニンジャスレイヤー どこまで読んだんでしたっけ?」

ワシ「アッハイ、3部の電子書籍版をまとめ買いしたはいいものの、ちょっと読み進めては時間があいてしまい、また戻って読み進めては…の繰り返しで、まだまだという状況です

モチ「第三部はバリエーション豊かな展開があるのでめちゃくちゃ好きなんですが、幅が広がりすぎて(寿司対決とか野球とか)たいへんなので無理せずに!」

ワシ「スシは決断的に読みました笑」

・・・スマホにテキストを打ちこむワシの顔は笑っていなかった。
ワシはワシ自身の頭をひっぱたいた。
「まだまだという状況です」だと? 曖昧に誤魔化しよって。

ワシの第3部シンチョクは以下の通りだった。

<Wiki(Togetter)>
「ア・ニュー・デイ・ボーン・ウィズ・ゴールデン・デイズ」
「フラッシュファイト・ラン・キル・アタック」
「ザ・ファンタスティック・モーグ」
「サツバツ・ナイト・バイ・ナイト」
「キリング・フィールド・サップーケイ」
「バトル・オブ・ザ・ネスト」

<書籍版にスイッチ>
※第1巻
「ハウンド・オブ・ニンジャ」
「ホリー・スティック・アンド・サーディンズ・ヘッド」
「トゥー・ファー・トゥー・ヒア・ユア・ハイク」
「フラッシュファイト・ラン・キル・アタック」
「ザ・ファンタスティック・モーグ」
「リボルバー・アンド・ヌンチャク」
「サツバツ・ナイト・バイ・ナイト」
「ア・ニュー・デイ・ボーン・ウィズ・ゴールデン・デイズ」

※第2巻
「フー・キルド・ニンジャスレイヤー?」
「ナイス・クッキング・アット・ザ・ヤクザ・キッチン」
「ニュー・メッセンジャー・オブ・パスト・アンド・フューチャー」
「レプリカ・ミッシング・リンク」

ぜんぜん進んでいないじゃないか!
なにが「まだまだという状況です」だ!
「ま」くらいしか、いや、「m」くらいしか進んでいないじゃないか!

ワシは書籍版BUYから約8ヶ月もの間、3歩進んで2歩さがり、3歩進んで2歩さがり、しばし休眠し、2歩さがって2歩進み、しばし休眠し、3歩進んで1歩さがり・・・と、同じ話を繰り返し読んでいた。中断してから長く時間をあけてしまうと、どうしても戻って読みなおしたくなる。行ったり来たりを繰り返しすぎて、「ニュー・メッセンジャー・オブ・パスト・アンド・フューチャー」は5回くらい読んだ。この時ワシ的最新話だった「レプリカ・ミッシング・リンク」に至っては、今回ホンゴシ入れて1巻から読みなおしていった結果、(アッ、ユンコ知ってる。これ途中まで読んでるな、ワシ)と気づくセプクものの記憶レベルだった。ユンコがモーターユンコでチョーびびったが、これも(アッ、これもワシ、以前おなじように驚いたな)などと思い出す始末だ。忘れすぎだ。

だが今回は違う。ちゃんと前に進もう。ワシのニンジャ熱が高まっていた。

あらためて1巻から読みなおし、あっという間に「レプリカ・ミッシング・リンク」まで読み終えた。「アナザー・ユーレイ・バイ・ザ・ウィーピング・ウィロウ」も読んだ。ジェノサイド!


そして・・・その次のエピソード。
彼は帰ってきた。
ワシは彼を待っていた。彼がふたたび描かれることを。

「アンタッチド・ベイビー・アンド・シーワー・モンスターズ」

書籍版独占収録らしいので、ワシの、心の一部だけを記そう。
もし未読の人がいれば(センパイにはいなさそう)、ぜひ読んでほしい。

(おおフロッグマン!つまり!)
(直前のインタヴュー・ウィズ・ニンジャで言ってたやつか!)
(サヴァイヴァー・エピソード! 待ってました!!)
(カマイタチ? 新入りか。がんばれよ)
(ん? ミルメコレオ=サンとは・・・?)
(そんな、いきなりママンが・・・)
(モタロ伝説w ホントこういうネタづくり流石だなあ)
(ハイドラ優しいじゃん)
(おいハイドラ! ヤメロ! 一瞬でも優しいと思ったワシがバカだ)
(ミュール! ミュール!)
(三忍、テンパっててちょっとカワイイ・・・)
(バブル! バブル! カワイイ!)
(まんざらでもねーのかよ)
(大将!!!! お久しぶりです!!!!)
(大将はいつになく冷静だ。その心は冷たいようで温かい・・・)
(父親?)
(おのれエルトリアト! 酷い嘘を!)
(クール・カンオケ。)
(一週間? 一気に飛んだな)
(ほだされてんじゃねーか! 大将、言ってやってください!)
(大将が険しい顔で唸ってる。そうだよね、そうそう)
(エッ? 大将? とても丁寧なオペレーション・・・)
(おい大将! メコン川の行軍はどうなっちまったんだ!)
(フー、忘れちゃいなかったか。険しい道程だ)
(アーッ! 逃げなければ!)
(パス! パス! バイオソルジャー、ONE TEAM!)
(おぉフロッグマンよ。よく言った。泣けるじゃないか・・・)
(マジでいい話やん・・・。だが、まだ終われない!)
(見せ場だカマイタチ! いけ! みんなやれ!)
(アパッチ! ジェロニモ! サヴァイヴァー・ドージョー!)

マイ・ベスト・ニンジャ、フォレスト・サワタリ。
そして個性豊かなバイオニンジャたち。
彼らの魅力あふれる言動。ちょっと笑っちゃうようなやり取り。しかし置かれている状況は過酷。ハラハラ。人間とニンジャの関係。胸がジーンとするホロリ展開。激闘。そして胸のすくような、鮮やかなシメ。
第3部、ベスト・エピソードに決定だ。
(2巻までしか読んでいないくせにベストとか言うな)

爽快。安堵。哀愁。未来へのほんのりとした期待。さまざまな感情を胸に抱いたワシは、コーフン冷めやらぬまま次のエピソードへと進んだ。


「ノーホーマー・ノーサヴァイヴ」

これだな・・・?
これが野球だな?

ワシは居住まいを正し、深呼吸してからページをスライドさせる。

ウシミツアワーのスタジアム。
深夜2時に野球?
だが観客席は無人。
座っているのは、ワシだけ。

「そして、おお、何たることか。暗視サイバネアイをお持ちでない諸氏はどうか目を凝らして頂きたい」

本文に促され、観客席のワシは身を乗り出し・・・フィールドを凝視する。

「各ポジションでミットを構えているのは完全武装のサイボーグ野球ヤクザ達だ」

完全武装のサイボーグ野球ヤクザ?
完全武装? 野球で完全武装ナンデ?
サイボーグ野球ヤクザ?
サイボーグ野球ヤクザ?
サイボーグ野球ヤクザ?
ササササイボーグ野球ヤクザ?
ササササササ・・・グ野球・・ザ?
ワシは慌ててショート寸前の脳に応急処置を施し、続きを読む。
バッテリーはニンジャだ。アマクダリ・セクト。では、バッターはつまり? いや、野球は9人でプレーするものだ。ニンジャスレイヤーとは限らない。しかし・・・今この時点で、彼が8人も集められるだろうか。いやいや、そもそもなんで野球をしているのか
途中、お喋りなキャッチャーが口にした ”ニンジャのスポーツマンシップ” という言葉でヒザを擦り剥きながらも、ワシは読み進めた。しかしこのキャッチャー、よく喋る。バッターに脅しをかけているようだ。
「絶望しろ。奴は……サブスティテュート=サンは暗殺野球のプロフェッショナルよ」

サブシュゲ・・・いや、サブスティテュート=サン? 暗殺野球? ・・・暗殺野球? 暗殺野球・・・・・・

ワシが目をグルグルさせていると、バッターが初めて口を開いた。
「私もオヌシらを、このスタジアムから生かして帰そうとは思っておらん」
ウォォォォォォこのセリフー! ニンジャスレイヤーでしたーーー!! レリーフでましたー! でもなんでカラテしないで野球やってんのォーーーッ!? しかも独りーーー!?

このあたりで頭が爆発し、コーフンを抑えきれなくなったワシは決断的にTwitterを起動、読みながらキモチを連投した。
(いきなりタイムラインにズババと流してしまい、すみません)

物語の序盤。ワシは脳を激しく損傷させられながらも、どこかしらナメていた。ワシはアマチャンだった。
サイボーグ野球ヤクザとか、暗殺野球とか、独りぼっちプレーとか、ハンコついちゃってたとか、不可能に思える128点とか、そういう面白すぎるワードでワシをコテンパンにしておいて、どこかのタイミングで上手いことイヤグワに発展して、颯爽とスタジアムを去るんでしょう?
と。

しかしどうだ。読み進めても、読み進めても、徹底的に野球だ。アマクダリのニンジャもボールを投げ、真面目(?)に野球をしている。ルールに従い、アマクダリ審判に従っている。反則同然の攻撃に晒されながらも、ニンジャスレイヤーはバッターボックスに立ち続ける。
ワシはハッとした。・・・スシ勝負。あの時もそうだった。スシ勝負とか言っておいて、どうせ・・・とワシはナメていた。しかしスシ勝負はスシで勝負をつけた(最後は踵落としで爆発四散していたが)。つまりこれは、野球で勝負がつくのだ。
投げる! ファウル! 投げる! ファウル! 投げる! ファウル!
・・・これはカラテだ! 一進一退のカラテ攻防と同じだ。
ガキィン! パワリオワー! ガキィン! パワリオワー! ガキィン! パワリオワー!
・・・これもカラテだ! ワシの脳内で「イヤーッ!」「グワーッ!」に自動変換されてゆく。この応酬に耐えられるバットとボールは一体何製なんだ!?

そして。
「イイイイイヤアアアアァーッ!」
観客のワシはニンジャスレイヤーとシンクロし、咆え、バットを振り抜いた!

・・・読了。
絶体絶命の状況。手段を選ばぬ敵。ダイヤモンドを駆ける疾走感。新たなピンチ。耐えるニンジャスレイヤー。粘りからの、形勢逆転。やがて互いに真っ向勝負。命を削りながらのニンジャ対決。ラストの一撃。
なんだよクソッ。6000%ニンジャスレイヤーだ。めちゃくちゃ面白いじゃないか。

2巻も最高だな。

かつて第1部から第2部に突入した際、連続性のある長編エピソードの多さにチビったワシだったが、第3部は短編をイイ感じにまぜてくるのがイイ。ネオサイタマにニンジャスレイヤーが帰ってきた。この後、本格的に物語がドライブするにつれ変わってゆくのかもしれないが、今はこれでイイ・・・そう感じた。


【おしまい】

※この後、ワシの野球ツイートを読んだセンパイたちが口を揃えて「マグロ、マグロ。あとはマグロだよ」「岡山も」と仰っていたので、そのあたりでまた感想を書くかもしれない。何巻に掲載されているのかは不明だが・・・ひとつの楽しみにしておこう※

いただいた支援は、ワシのやる気アップアイテム、アウトプットのためのインプット、他の人へのサポートなどに活用されます。