ハヴ・ア・グレート・サマー・ヴァケイション
真昼だというのに、その峠道を走る車は無かった。皆無だった。・・・先ほどまでは。
峠に轟音が響き、羽を休めていた鳥たちが一斉に飛び去ってゆく。一台のオプティマスめいたキャブオーバー型牽引車が唸りをあげ、いくつもの殺人カーブを猛スピードでクリアしてゆく。そのたびに黒塗りの防弾コンテナが左へ、右へと揺られ軋む。
----コンテナ内部----
「なあ、楽しい旅行、って言ってたよな?」
覆面マッチョのH・Mが誰に対してでもなく口を開くと、汗だくのR・Vが「ああ」と頷いた。汗を吸って