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読み切り小説

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【連載小説】境界線の白き狩人たち #01

-序-  そいつは、どちら側の人間でもなかった。  俺たちを飼う<ジンク>の側でも、俺たちを殺す<スラウバー>の側でもない。人外でもない。もう随分と昔の話―― ジンクの街に連れてこられる前の話だが、俺は一度だけ人外を見たことがあった。ザバロッグの砦を襲った人外は、誰がどう見たって人外で、例外だった。  だから俺は、どちら側でもないその人間を見たとき、俺のように遠く離れた地から来た別の人間なのだろうと思った。  その人間は、暴虐の限りを尽くした冬嵐がそろそろ飽きて他所へ