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連載小説/【デビルハンター】ジュディ婆さんの事件簿(完結)

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この世に悪魔は存在する。そしてそれらを屠るハンターも。 現代のアメリカを舞台に悪魔を狩り続ける老練のデビルハンター ”ジュディ” とその仲間を描く、ハードボイルド・パルプ小説。
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2019年1月の記事一覧

目次)【デビルハンター】ジュディ婆さんの事件簿

いらっしゃい。 -ジュディ- 【第1話】ロッキー山脈 # 01 # 02 # 03 # 04 【第2話】ウォルデン # 05 # 06 # 07 【第3話】ゴールデン # 08 # 09 # 10 # 11 # 12 【第4話】シティ・パーク # 13 # 14 # 15 【第5話】日本 # 16 # 17 # 18 # 19 【第6話】米/日/米 # 20 # 21 # 22 # 23

【デビルハンター】ジュディ婆さんの事件簿 #17(第5話:2/4)

ヴィクターはバカだけど利口。 -ジュディ- <前回のジュディ> 日本に到着したヴィクター。イタルの一件に関係している少女… ナツと名乗るハンターと穏便に話を進めようと思っていたのだが…… (前回(#16(第5話:1/4)) (目次) …………… ■#17「あ? もっかい言ってみ? ジジイは耳が遠くてのう」 耳に手をあてたヴィクターがトボケ顔で聞き返した。 「……貴方の四肢を粉々にし、悲鳴をあげさせ、この近くに潜んでいる例の男に助けを求めていただく、と申したのです」 一瞬

【デビルハンター】ジュディ婆さんの事件簿 #18(第5話:3/4)

外見はあてにならないよ。 特にこの家業に於いては。 -ジュディ- <前回のジュディ> 賢いヴィクターが長話をしながらそれなりに善戦した結果、イタルが追っていた ”仇” が姿を現した。そしてイタル本人も―― (前回(#17(第5話:2/4)) (目次) …………… ■#18―― 2006年:コロラド州 ゴールデン孤児院 青白い月の光が窓から差し込む2階の寝室。 力なくベッドに横たわる女が手を伸ばし、傍に立つ幼い息子の頭を優しく撫でながら消えそうな声で言った。 「どうかこの

【デビルハンター】ジュディ婆さんの事件簿 #19(第5話:4/4)

生きるべきか死ぬべきか。 -ジュディ- <前回のジュディ> イタル vs. 老婆。ヴィクター vs. 少女ナツ。それぞれの戦いにケリがついたと思われたが―― (前回(#18(第5話:3/4)) (目次) …………… ■#19「分身? いや、二人……?」 膝から崩れ落ちたヴィクターは、冷たいアスファルトに突いた手の甲に滴るオノレのドス黒い血を見つめながら呟いた。 数秒前に交わされた敵二人の会話を頭の中で再生する。 ”「ナツ姉さん」「ごめんなさい、アキ」” ……そうか。

【デビルハンター】ジュディ婆さんの事件簿 #20(第6話:1/4)

Mmmmm~♪ Mm... Mmm......♪ -ジュディ- <前回のジュディ> 日本で発生した戦闘から遡ること25時間、デンバー。シティ・パークで獲物を確保したジュディとゴードンは車を走らせ、ジュディの家に到着していた。 (前回(#19(第5話:4/4)) (目次) …………… ■#20「さて、さて、さて……」 紫煙を燻らせながらハミングしていたジュディは煙草を揉み消し、おもむろに口を開いた。デスクチェアの背もたれに背中を預け、目の前の猿を見下ろす。 床に敷かれた

【デビルハンター】ジュディ婆さんの事件簿 #21(第6話:2/4)

躓く石も縁の端。 -ジュディ- <前回のジュディ> ジュディはトレバーと愉快なゲームをし、重要な情報をいくつか得た。時はふたたび先へと進み、日本。イタルは手紙を頼りに四谷へと向かっていた。 (前回(#20(第6話:1/4)) (目次) …………… ■#21渋谷の戦いから2時間。 慣れぬ土地を歩いたイタルは、どうにか四谷の三丁目に足を踏み入れた。人目を避けるように大通りから外れ、細い路地に入る。 しばらく歩き、左手―― 建ち並ぶ大小のビルがとつぜん途切れた一画にふと目をやる