過日、茶室のまえに椿が落ちていた。石に白がよく映えた一輪で、衒いのないのがよかった。椿の潔き散り方を武士は愛でたというが、少しその氣持ちがわかった氣もする。花は散るから美しい。昔は何氣なく流していたその言の葉も、身に沁みる時節になってしまった。願わくば白く清く散りたいものである。