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わたしの本棚

私が棚に並べるのは、古風な日本人からたまたま譲りうけた古書ばかりで、元の持ち主が亡くなった方も少なくない。要は私の本棚で一時期お預かりしているだけに過ぎない。そのような絶版ばかり…
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#林甕臣

『日本語原學』林甕臣著  | 講談社

 親の偉業を子が編集した本は少なからずあるが、群を抜いて絶品なのが本書であろう。古書店でであったなら、ぜひお持ち帰りしていただきたい一冊である。なぜなら、ほんのアジールに入れたい最たる本であり、日本を読み解く上で、必須の名著になるからだ。  父の名は甕臣と書いて、「みかふみ」と読む。甕は水や酒を貯蔵した大きなかめを指す。今、「読む」と書いたが、昔は「呼び見(む)る」と云った。「読む」を身につけるのに、旧字体は「讀」で、それを白川靜がどう視たなどとやっていても、一生わからない