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わたしの本棚

私が棚に並べるのは、古風な日本人からたまたま譲りうけた古書ばかりで、元の持ち主が亡くなった方も少なくない。要は私の本棚で一時期お預かりしているだけに過ぎない。そのような絶版ばかり…
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2024年7月の記事一覧

『街の書店が消えてゆく』月刊「創」編集部

 過日は私が理事長を務めるNPO法人読書普及協会の総会であった。冒頭、私は次のようなことを会員の皆様にお話しした。  2024年3月時点で無書店市町村が27.7%に至った。書店が1軒しかない市町村を含めれば、47.4%になる。無論、閉店が決まった街の書店が地域住民やファンの声に後押しされ、店が存続したという事例は他の業界より多い。それだけ本の大切さを皆が本能的に理会しているのかもしれないが、本屋の灯は今にも消えそうな気配はますます濃くなっている。それもそのはずで、書店に平均

『日本語原學』林甕臣著  | 講談社

 親の偉業を子が編集した本は少なからずあるが、群を抜いて絶品なのが本書であろう。古書店でであったなら、ぜひお持ち帰りしていただきたい一冊である。なぜなら、ほんのアジールに入れたい最たる本であり、日本を読み解く上で、必須の名著になるからだ。  父の名は甕臣と書いて、「みかふみ」と読む。甕は水や酒を貯蔵した大きなかめを指す。今、「読む」と書いたが、昔は「呼び見(む)る」と云った。「読む」を身につけるのに、旧字体は「讀」で、それを白川靜がどう視たなどとやっていても、一生わからない