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わたしの本棚

私が棚に並べるのは、古風な日本人からたまたま譲りうけた古書ばかりで、元の持ち主が亡くなった方も少なくない。要は私の本棚で一時期お預かりしているだけに過ぎない。そのような絶版ばかり…
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2024年6月の記事一覧

『枕頭問題集』ルイス•キャロル著 | 朝日出版社

 『枕頭問題集』は文字通り、ルイス•キャロルが枕頭で解いた数學の問題ばかりを集めた一冊になる。原書は本名で書かれている。  アリスのキャロルが数學?と思われるかもしれないが、彼は数學から言語學まで視えてたひとであった。そのキャロルの鬼才ぶりも極めて魅力的なものの、本書に限っては訳者の才能が凄まじく、キャロルが霞んで映る。個人的には、これまで読んできた中でダントツの訳者あとがきなのだ。このようなわけで、表題をキャロルの本にした。  さて、パスカル、キャロル、津田一郎と時を経

『パースの哲学について本当のことを知りたい人のために』コーネリス・ドヴァ―ル著 | 勁草書房

 出版業界は連日、お通夜の情態であるが、過日は珍しく書店に足を運んで、心が明るくなった。懐かしい良書が幾冊も復刊されており、「書物復権」の帯とともに平積みされていたからである。十の出版社が読者からのリクエストを基に、共同復刊する。このような姿勢を眺めていると、まだまだ日本も棄てたものではないと感じる。私は以下の三冊を求めた。 『パンセ』 パスカル著 白水社 『虚構世界の存在論』 三浦俊彦著 勁草書房 『パースの哲学について本当のことを知りたい人のために』 コーネリス・ドヴァ