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わたしの本棚

私が棚に並べるのは、古風な日本人からたまたま譲りうけた古書ばかりで、元の持ち主が亡くなった方も少なくない。要は私の本棚で一時期お預かりしているだけに過ぎない。そのような絶版ばかり…
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2024年4月の記事一覧

『禅という名の日本丸』山田奨治著 | 弘文堂

 昔、作務衣で或る航空会社に乗った際、空の景色を窓から眺めていると、客室乗務員が手紙を渡してきた。他の客にバレぬよう、靜かに最後尾まで来て欲しいとのことであった。暇だったので、足を運ぶと、客室乗務員たちがお茶をしており、その輪に加われという。茶や禅の話を尋ねられ、適当に答えていたら、紅茶とケーキにありつけた。似非和尚ぶりも、ここに極まれりだ。  ところで今、第三の哲學が西欧では流行っており、日本の禅も人類の存亡を握る叡智としてさらに注目されている。西欧が東洋にようやく追いつ

『ハレとケの超民俗学』高橋秀元・松岡正剛 | 工作舎

 プラネタリーブックスは私が生まれる半年前、『存在から存在学へ』(松岡正剛)が出版され、今回の『ハレとケの超民俗学』はシリーズ2冊目になる。もちろん生まれたばかりで読書はまだできないから、それから三十年後、古書店に足を運んでは、宇宙の欠片を集めてきた。おそらく異様なプレミアがついている本以外は、ほぼ凡て集まったのではないか。せっかくだから、欠けたまま私の宇宙はとっておくことにする。  ちなみに、現在はプラネタリーブックスのうえに、或る動物の頭骨がのっている。「或る」などと氣