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アイドルを通ってこなかった男が乃木坂46のライブに参戦した話

この記事は僕が乃木坂46のライブに参戦した体験談と感想である。

今までの人生で、アイドルに興味を持つことがほとんどなかった。

はじめに、僕のアイドルとの関わりと、乃木坂46のライブに行くことになった経緯。
その次からはライブの感想、出来事、カルチャーショックなどを、ライブ前、ライブ本編、その後、と分けて書いていこうと思う。

僕とアイドルとの関わり、ライブに行くことになった僕の経緯は読み飛ばしても構わない。
感想だけなら目次の【ライブ前から浮いている】くらいから読んでくれれば、問題なく読み進められると思う。

今回はどのライブだったのかを明確にするため、ライブの名前のみ正確に記載しておく。
ライブ名は【乃木坂46真夏の全国ツアー2021宮城セキスイハイム スーパーアリーナ】である。2daysで僕が行ったのは1日目だ。
僕がどれだけアイドルを知らないかを実感してもらうために、あえてメンバーの名前やセトリなどは調べないで書いていこうと思う。なので、名前や曲名などは間違えて書いてしまうかもしれないし、後述するが、ロクに曲を覚えることができなかったので、ライブ中の時系列も無茶苦茶になると思う。

アイドルファンの方はどうか気を悪くしないで欲しい。僕がいかにアイドルを知らないままライブに行ったのか、率直な僕の体感を実感して欲しいと思う。


僕とアイドル

アイドルを認識し始めたのは小学生の頃だったと思う。当時はおはスタを見てから登校するのが習慣になっていて、ミニモニからモーニング娘を知った。

思春期でもなかったので、ミニモニの四人が歌って踊る姿には楽しい、という感想しか抱かなかった。耳馴染みも良く、なにせ歌詞が「ミニモニテレフォンだ リンッ リンッ リンッ」である。
ちょっとおかしなことを言うが、かわいいという言葉の意味や感覚が解らなかったのかもしれない。
なんとなくかわいい、と思ったのは同級生がミニモニの格好をして中高で言う文化祭で披露していた姿だった。
年が近い方がかわいいという感覚を抱きやすいのかもしれない、もしくはその姿を見たのが思春期の始まりだったのか、正確な時期も思い出せない。僕の小学生の頃の記憶はそんなものである。

こんな感覚だ。アイドルには本当に興味がなかった、モーニング娘の曲もラブレボリューションしかパッと思い出せない。

中学生の頃はラジオを聞き始め、バンドが好きになったこともあって、アイドルの記憶が抜け落ちている。当時、流行っていたアイドルはどんなグループなのだろうか、もしかしたらモーニング娘が息長く続いていたのかもしれない。

高校生のときは、AKB48が凄かった。曲も知っているし、ポニーテールとシュシュなんかは、カラオケで歌うこともあった。
友人もライブに行くくらい熱心だった。大人になってからそんなこともあったなと懐古しながら友人と話していると、彼曰く握手会には行ってなくて、ライブでコールをするのがとにかく楽しかったらしい。
変わっていると思う。

友人がライブに行っただけで、やはり僕は興味を持てなかった。この頃には可愛いという形容はとっくにわかっているし、神7という存在も認識していた。

試しに名前を挙げてみよう。

前田敦子、大島……、篠田麻里子、さかもと……、高橋みなみ、峯岸みなみ、柏木由紀!

と、本当にこんな感じなのだ。当時は覚えていた気がするが、正解は後で見ようと思う、峯岸みなみは神7ではなかったような……。

軽音同好会に入っていたこともあって、アイドルの音楽にはあまり触れていなかったような気がする。

大学生のときは、多分だけれど、乃木坂が少しずつ勢いを増していたのではないだろうか。あと、ももいろクローバーZ。いや、ももクロは高校生のときか……?
大学は理系でレポート、教員免許も取得しようとしていたので勉強時間も多かった。加えてサークル、更にはバイト、普通に友人と遊ぶなど、休む間もなく忙しくしていたから、アイドルどうこうじゃなかった。
忙しさの中、夏期休暇で高校の同級生と即席バンドでライブをした記憶はあるので、アイドルに興味を持つきっかけも時間もなかったのかもしれない。

そんな感じで、今は乃木坂なのだろうか。
それとも、けやきざか? 日向坂? とにかく、ライブに行こうとも、冠番組を見たり、誰かを推したりということもなかった。

僕はアイドル、及びアイドル好きを斜に構えて見ているわけでは決してない。

赤いスイートピー、年下の男の子、まじで前奏やってんなおいの異邦人など、それぞれ色の違う昭和のアイドルの曲は素晴らしいと思っている。
先述したラブレボリューション、ポニーテールとシュシュ、乃木坂のインフルエンサーだって知っている。欅坂のサイレントマジョリティだって知っているのだ。
特にインフルエンサーやサイレントマジョリティに関しては、サビだけなら歌えるし、歌詞も格好いいし、良い曲だと思う。
もちろん、大前提としてアイドルは見ているだけで、可愛いなあ、なんて気持ちも芽生える。

僕はかなり飽きっぽいのか、趣味が続かない性格だ。なので、定期的にお金を使う生活、推しがいる生活に憧れている。
その人やキャラクター、対象は人のみならず、趣味全般の為にお金を貯めて、様々な方法でお金を落とし経済を回す。
高校の友人は乃木坂46にハマっているし、大学の先輩は鬼滅の刃の煉獄杏寿郎に夢中だ、定期的に芸人の劇場に行く人もいる、サッカーチームの熱心なサポーターもいるし、そいつ自身も身体を動かして、フットサルに毎日行っているようだ。

どうも僕は趣味にお金を落とすことが、あまりできないようなのだ。

僕の趣味は大体無料で解決する。
ラジオ本体、もしくはスマホやパソコンを買う必要はあるが、radikoは無料でずっと使えるし、芸人はテレビで見られればいい。
音楽はSpotifyを使えばよい。ライブに積極的に行くことはなく、行ったとして、友人に誘われて行くことがほとんどだ。
もしかしたらライブは友人に誘われて行ったことしかないかもしれない。
そんなわけで、僕の趣味は家で解決してしまう。基本的にインドアな人なのだと思う。

僕は推しがいればどんなに人生が充実するのだろうかと、いつも考えている。その推しのために、お金を貯めるモチベーションも上がると思うからだ。
だからこそ、アイドルが好きで、推しているメンバーがいて、積極的にライブに行って、グッズを買って、推しを見に行くという行為自体が羨ましいのだ。


乃木坂46のオールナイトニッポン

僕の唯一継続している趣味がラジオだ。

乃木坂46のオールナイトニッポンも聞き流す程度に、ちょくちょくは聞いている。
リスナー歴はそれなりに古く、新内眞衣が一人で二部を担当し、午前3時スタートで放送していた頃から聞いていた。
現在二部は「オールナイトニッポン0」と名付けられている。新内さんが一人で二部を担当していた当初は「オールナイトニッポンr」だったような気がするが、この辺の記憶は曖昧だ。初期はLINE LIVEでも配信していたのは覚えている。
AKB48の後に放送していた記憶がある。AKBに関しては聞いていた記憶があまりなくて、二部に放送していた乃木坂の方がどちらかというと記憶に残っている。

最初に聞いたときに、新内さんの自己紹介が「ニッポン放送の系列会社で働いているOL兼任アイドルです」という旨で、そこで少しだけ興味を持った。

「へぇ、働きながらでもこんな深い時間にラジオを担当して、しかもアイドルもしているのか」

新内さんは比較的落ち着いた声を出していて、流し聞きくらいで心地よかった。
眠れない日にラジオを付けると、新内さんの声が聞こえる。という具合で聞いていて、ほとんど内容は覚えていない。スタッフ、たしかADの女の子が、アイドルのようにタワレコを埋めた話とかはなんとなく思い出せるのだが。

やがて、番組の改変期が訪れた。
当時のオールナイトニッポン二部では、改変期直前の放送当日、放送直前に番組終了だとパーソナリティに嘘をついて、実は終わりませんよ。というドッキリをよく仕掛けていた。アルコ&ピースもそれにかけられていたような気がする。

その回をたまたま聞いていた。そうだ、そういえば改変期だったな、とOL兼任の新内さんの番組が終わるのかどうか、というのも気になっていたので、そのまま聞き続ける。

ドッキリは決行された。新内さんがスタッフから手紙を受け取り、読みだした。

テンションが低く、悲しそうに、突然の手紙に戸惑うように読み続けていたが、読み進めていくうちに、新内さんは涙声になり始めた。
「4月からも新内眞衣が担当する乃木坂46オールナイトニッポンは継続します」という旨の手紙を読みながら、新内さんは泣き始めた。
「なんでえ? なんでこんなことするの?」
と、涙声で不満を言う新内さん。その後も、スタッフに不満を言っていた気がする。
それから新内さんはこう言ったのだ。

「いや、やりますよ、やるけど。ラジオ好きだし、ニッポン放送大好きだから」

この言葉で、新内さんに惹かれ始めたのかもしれない。

僕も殆ど同じなのだ。
僕もニッポン放送が大好きで、ラジオが大好きだった。

新内さんは二部という午前3時から4時半までの深い時間で、OLも兼任して、アイドルもやっているのに、ラジオをやりたいと言ったのだ。

僕はいつからか、仕事を積極的にやりたいと思うことはなくなっていった。新卒の頃はどんなに残業をしても気にならなかった、熱心に仕事に打ち込んでいた。
それでも、それがどんなに好きな仕事だったとしても、あの燃えるような勢いで仕事をしたいという熱意は失いつつある。

新内さんのOLとして働く時間、アイドルとして働く時間はどれだけなのかはわからない。ただ、アイドルとしての仕事とはいえ、あの深い時間にラジオを1時間半以上放送していたことだけは分かる。
素晴らしい姿勢、メンタリティだと思う、もちろん体力勝負でもあるだろう。その忙しさに、新内さんが泣いていた回もあったような気がする。

そんなわけで、すべての放送を聞いているわけではないが、新内さんは僕にとってアイドルというよりは、オールナイトニッポンのパーソナリティだった。


ライブに行こう

時は流れ、乃木坂46の人気が高騰、いつの間にか乃木坂46のオールナイトニッポンは一部に昇格していた。
最初の頃は新内さん一人で放送していたと思うのだが、現在は新内さんがレギュラーパーソナリティ、ゲストとして毎回乃木坂メンバーを呼んで放送している。
その頃からはあまり聞かなくなったような気がする、毎回ゲストの方にスポットが当たりがちだ。
結局、新内眞衣というラジオパーソナリティが好きだったのかもしれない。

最近になって、霜降り明星のオールナイトニッポンで、霜降りが乃木坂と5分か10分の番組で共演している縁で乃木坂が話にあがり、乃木坂のメンバーを幾人か知ることになった。そんなわけで、有名どころ、エースの名前はなんとなくわかるようになる。

後で知るが、乃木坂46の公式お兄ちゃんはバナナマンだ。友人曰く、乃木坂が本当に無名の頃、ライブハウスを満員にできなかった頃から支えていたらしいので当然だと思う。
しかし、僕の印象は霜降りと乃木坂なのである。どちらもオールナイトニッポンパーソナリティだからだ。

推しのいる生活に憧れていたこと、霜降りのおかげで少しだけ乃木坂のメンバーを知っていたこと、この二つが今回のライブに行くことになったきっかけである。


高校の同級生数人が乃木坂ファンだ。
ライブの配信を一緒に見たことがあったのだが、家なのにペンライトを振り出す、ハンドタオルを掲げ出す。この時点で凄い世界の片鱗を見た気がした。

プライベートでは乃木坂ファンである雰囲気すら出さない二人だ。
それは二人が多趣味であることの裏返しだとは思うし、良く集まるメンバーでは話題に挙げる必要が別段ないのだと思う。


ある日、乃木坂好きの友人の一人が、同級生グループのLINEに投げかけた。最初は予定空いてるか、という感じだったと思うのだが、最終的にはこうだ。

「誰か一緒にライブに行かないか」

おそらく、乃木坂好きの友人とは予定が合わなかったのだと思う。予定は未定だが、ライブ日は土曜日。しっかりと休みも取れる。

名乗りを上げた。
「新内眞衣さんしかほとんど知らないけれど、いけますか」

ここで言う「いけますか」は「楽しめますか」という意である。友人からは「余裕」という旨が返ってきた。
そんなわけで、僕は定期的に金を落とせる、アイドルという新たな趣味が作れるかもしれない、推しがいる生活になれるかもしれない。
そんな希望を持って、ライブに行くことに決めた。

ライブ名は「乃木坂46真夏の全国ツアー2021宮城セイキスイハイム スーパーアリーナ」

遠い。と思った。


さて、準備をしよう。
乃木坂の曲をほとんど知らなかった僕は、二週間前に友人に頼み込んで、友人に聞いておくべき曲を送ってもらった。ニ十曲程度だったが、この曲数自体はそこまで多くはないと思う、ベスト盤なんて、三十曲を超えるのがざらだ。

Spotifyを使って二週間、乃木坂を聞き込んだ。
「インフルエンサー」はもちろん知っていたが、その他の曲は「I see...」が良い曲だなと思った。フィンガークロスドはラジオで流れていたので知っていた。

しかしながら、どうもほとんど同じ曲に聞こえる。
ソロパートはなかった気がするし、サビが耳に残る程度で、なぜかよく覚えられない。僕自身の歳や世代的な問題もあるのかもしれない。

そんな状況を友人に連絡すると「アイドルは愛嬌を見るものだから、曲というよりは番組とか配信とかでメンバーの可愛さとか個性とかを見るのが良いと思うよ」

曲を頼んだのは僕だが、だったら最初からそう言え。

ライブの数日前である。そんな時間はほとんどなかった。


ライブ前から浮いている

別の乃木坂好きの友人にペンライトを借りて、できる限りの準備を終える。

ライブ当日を迎えた。
昼前くらいから新幹線に乗る。友人はもう少し早めに行って、卒業してしまう橋本桃呼さんのタオルを買いたかったそうだ。僕が昼前まで眠っていたせいである。
これはすまん、ズボラな僕が悪い。

そんな具合で、会場に着いたのは十五時くらいだったと思う、桃呼さんのタオルは売り切れてしまっていた。友人は買いたかったなーという程度で、そこまで落ち込んでいる様子はなかったが。
軽食をコンビニで買って、会場付近で座れることが保証されていなかったので、コンビニの近くで立って済ませた。周りはライブに来たのだろう、乃木坂Tシャツを着ている人々が沢山居た。

いざライブ会場へ向かう。
十分程度歩いていると、道中の様子がおかしくなってきた。
どんどん人が増えていく、皆乃木坂Tシャツを着ている。中には後ろにメンバーの姿がガッツリ描かれたマントを着ている人もいた。
僕はバンドやアーティストライブのTシャツやタオルなどは、普段でも使うことがある。

なんだこれは、普段使いできないじゃないか。

会場に着いた頃にはもう沢山なんてものじゃなかった、人が溢れかえっている。ソーシャルディスタンスなんて取るのは不可能だった。もちろんマスクはしているし、よく考えたらアイドルライブ以外でも不可能だと気が付いたが。

乃木坂タオルを首にかけている人類全員が、ここに集まったのかと錯覚させる。あのマントも同様だ。

とりあえず、グッズを買おうということになったので、僕は新内さんのハンドタオルを買うことにした。ここでグッズ一覧を見て、あのマントはタオルだったことが分かる。
あー、なるほど。タオルという用途があるのか……。

いや、タオルだとしても普段使いは無理だ。

あのマントを購入する勇気は湧かなかった。
あと、メンバー毎に数字が振り分けられている手間がかかりそうなグッズ売り場に、スタッフも大変だとは思ったが、あのコロナ防止用のビニールマットが邪魔でなかなか声が届かないし、店員も不愛想だし良い印象は抱けなかった。

なんとかハンドタオルを受け取り、購入が終わって振り返ると、友人は何を買うか迷っているようだった。
スタッフが混雑防止なのか、コロナへの配慮なのかはわからないが、グッズ売り場からの早めの退出を求めていたので、外で待っている、という旨を友人に伝えて売り場を後にする。
出口からそんなに離れていないところで友人を待つ、スマホを適当にいじっていたが、やがてそれも終わり周囲を見渡した。

僕の前を過ぎる人たちは皆ハンドタオルを首にかけている、乃木坂Tシャツ、そして背中にでかでかとアイドルが描かれた、メンバータオルを着た人々。
僕の装いを見た。シャツは無地の藍色。浮いている。
なんだこれ、一番目立たない格好なはずの僕が、逆に目立っているような気がする。

なんだか恥ずかしくなってしまった。

帰ってくる友人に開口一番、地味な恰好なのに浮いている、という旨を伝えると、友人は笑っていた。

乃木坂Tシャツを着て。


会場の入り口付近にメンバーの名前が入ったのぼりがあるのだが、そこでハンドタオルを掲げ、写真を撮るのがファンの中で定番らしい。たしかに、ちらほらと、のぼりに並んでいる人がいた。
友人は生田絵梨花さんのタオルを買ったようで、生田さんの前にタオルを胸に掲げ、写真を僕が撮った。
せっかく新内さんのタオルを買ったので、僕も写真を撮ってもらった。やっぱり乃木坂Tシャツを着ていないと見劣りするような気がした。でもこれはいいんだ、せっかく遠くまで足を運んで新内さんを見に来た記念だ。

その後、友人は来られなかった友人に推しのタオルを買ってあげようと、ショップに戻っていった。
周囲の人々や、友人が買っていたTシャツはそれなりに普段使いできるようなデザインだったので、買おうかとは思ったのだが、着替える場所もなさそうだったので諦めてしまった。
友人は久保しおりさんのタオルを買っていた気がする。別の友人の推しだ、正直彼の推しのメンバーも曖昧だ。

入場しようと、会場入り口に向かっている途中に凄い集まりを見た。
メンバーのハンドタオルを全身に纏っている人が三人集まって、腕を組んで写真を撮っていた。
「単推しは格好いいんだよ」
という友人曰く、あれはすべて特定のメンバーのタオルらしい。もう数えきれない枚数だった、なんなら服だ。一人のアイドルのために、大量のタオルを購入するのは凄い熱量だと思った。
友人はいろんなメンバーを推しているから自身は浮気者だと言っていた。実際プライベートでもそういう節のある奴ではある。


コロナ防止のためのココアのアプリ画面の確認、荷物確認、検温を終えてようやく入場。
「そういえば、席どこだったっけ?」
という友人がここで初めてチケットを確認した。そういえば、僕も確認していなかった。

「あ、アリーナ席だった」
と、半分笑いながらこっちを向く友人。

僕はバンドやアーティストのライブになら行ったことがある。アリーナ席なんてそうそう取れるものじゃないのは知っている、ましてやアイドルファンならその席の近さに歓喜するのではないだろうか。
眠っていて遅刻したのはズボラな僕のせいではあるが、前言撤回だ。こいつの方がズボラである。


満員の会場だった。MCで言っていたのだが、ここはアイドルとファンの距離がかなり近い会場らしい。
僕たちのアリーナ席はランウェイから一番近いグループの席だった。友人曰く「6メートル先にはアイドル」その代わり、ステージは遠かったが。

周りの客を見ると、ほとんどは乃木坂Tシャツやマントを着ていたのだが、左前には女子高生らしき制服を着た女の子二人組がいた、となりのグループの端にはワンピースを着た女性もいた。
なるほど「乃木坂は女子人気、意外と高いよ」と言っていた通りだった。そして、私服や制服で着ている人がいたので、少しだけ安心した。
よかった、そんなに浮いていない。


ライブが始まる。

乃木坂46真夏の全国ツアー2021宮城セキスイハイム スーパーアリーナ

ライブ前の注意事項はメンバーが務めていた。
なんと、新内さんがたまたま担当していて「これはハマる運命だよ」と友人に言われた。たしかに、ライブ前にパーソナリティの声が聞けたのは嬉しかった。
新内さんは噛み倒したまではいかないが、ところどころ噛んでいて、友人は「これがオールナイトニッポンパーソナリティの実力か」とからかっていたが、僕は「オールナイトニッポンでもこんなもんだよ」と返しておいた。


前座なのだろうか、会場が宮城だったので東北出身の四人がスクリーンに映り、余興を始めた。
クイズに答えて正解者には萩の月がプレゼント、という内容だったと思う。その内一人は多分久保しおりさんだ、東北出身の中で唯一宮城県の出身だったような。
そして前座は終わる、全員が萩の月をもらっていた気がする。

そして、ライブ開始。
少しだけアイドルの予習をしておいたので、最初にover tureという登場曲があるのは知っていた。over tuneではないのかな。
まず、開始直後から驚いた。曲が始まった瞬間、軍隊のように同じタイミングで皆席を立った。
慌てて立つ。
あぁ、ペンライトを持っていない。

最初は何人登場していたか……。全員だったような気もするし、選ばれたメンバーだったかもしれない。ステージに登場したのだが、ほとんど誰が誰かもわからないくらい遠かった。もちろん新内さんを見つけることもできない。
バンドやアーティストなら殆ど決まった位置にいることが多いし、席が遠くだったとしても、誰がどこにいるかわかりやすい。
大所帯のグループで、同じ格好をしている、そして遠いとなると、誰がどこにいるのかまったくわからなかった。

曲が終わり、秋元真夏さんが大きな声で挨拶をしてライブは始まる。

まず、ペンライトだ。これは凄く良かった。
ギターを担いだバンドやアーティストには似合わない気がするが、一人で歌うソロアーティストや、可愛い曲調の女性バンド、歌とダンスパフォーマンスに重きを置くアーティストとかなら導入しても良いのでは、と思った。僕が知らないだけで、もう導入されているのかもしれない。
綺麗なのだ。乃木坂のライブでは、意識しているのかわからないが、客席は暗く、人はほとんど見えないが、ペンライトは見えるのだ。振られるペンライトでその熱量も伝わる。
そして、曲によっては色が統一されるのだ。記憶に残っているのは赤い光で埋め尽くされたステージに呼応して、会場全体のペンライトが赤くなるのは迫力があったし、ファンの一体感も凄まじい。

そして、このアリーナ席はとにかくランウェイに近かった。「6メートル先にアイドル」という表現は本当に間違っていない。ランウェイにアイドルが来てくれたときは、顔も一人一人認識できるし、詳細な表情も見られる。
恐らくメンバーの名前と顔が一致していたら僕も楽しめるだろうし、ファンなら嬉しくて仕方がないだろうと想像する。

そして総じて言えるのは皆とにかく顔が小さい!
お人形が歌って踊っているみたいだった。テレビでは伝わらない可愛らしさがあった、目を引き付ける華があった。そのせいで、どこに目を向けてよいのかがわからなかった。

とにかくアイドルが踊って、歌っているのを見て、聞いていた。
時系列はぐちゃぐちゃだが、印象に残っている出来事を書いていこうと思う。

とりあえず、特に印象に残っている二つの出来事を書く。
タイトルを付けるのならば【タオル】と【彼女らはアイドル】である。

【タオル】

タオルを購入する義務はないはずだが、ファンがタオルを持っている前提の曲が始まる。まあでも、どんなライブだろうがタオルは買うと思うのでそこは問題ない。

歌っている途中に齋藤飛鳥さんが煽っていた。
「タオル掲げて~」
みたいな。

そんなわけでサビに差し掛かったところでリズムに合わせてタオルを頭上に掲げるのだが、これはなんだ。
ただでさえステージは遠く、アリーナ席でステージに上がるメンバーを見ることも困難なのに、タオルを掲げたらまったく見られない。僕も参加はしたが、横のファンが大きく掲げるものだから、縦にしか広げられなくなった。
これがバンドのライブのように手を挙げるのだったら、もちろん見にくくはなるとは思うが、ここまでにはならないだろうと思う。

もういいや。
僕はタオルを広げることを諦めた。

辛うじてスクリーンは見られた。基本的に人気のメンバーが映っている、僕でさえ顔を良く知っている、齋藤飛鳥、生田絵梨花さんがよく映っていた印象だ。それ以外に映っている人ももちろんいたし、顔だけはわかる。という人も何人かいた。あとは高山一実さんもよく映っていたかと思う。

そんなわけで、新内さんが映る時間は少ない。
人気メンバー以外を推している人は大変だなあ、と思っていたが、どっかのタイミングでオペラグラスを持った女性がいるのを見つけた。なるほど、これで推しを見るのか、と思った。

そういえば、アリーナ席のファンは段ボールや画用紙に「指ハート」「撃って!」など書いておいて、アイドルにいわゆるファンサを求めていた。事実、その通りにやってくれたアイドルもいたわけで、アリーナ席だったらそういうことを期待し、準備するのも頷ける。
会場に入ってから席を確認するような友人だ、当然ながらそんな準備はしていなかった。浮気性なので様々なメンバーのタオルは持っていたが。

タオルについてはまだまだある。
齋藤飛鳥、星野みなみの二人で歌うときがあった。しかもランウェイだ。右斜め前、まさに「6メートル先には齋藤星野」状態だった。
あぁ、これなら近くで見られるし、目線をこの二人に注げばいいので、楽しめるだろうと思った。

思っていた。

僕と二人のアイドルの間に、おそらく齋藤飛鳥のファンがいた。
僕とアイドルとの線分の中点にそのファンは存在していた。そのファンが齋藤飛鳥のタオルを頭上に掲げるのだ。
自分を見て欲しい、ファンサをしてほしい。という心理なのだろうが、それはわかる、ファンだったら確かに欲しいだろうと思う。
しかし、僕の立ち位置を考えて欲しい。彼は中点に存在している。そうすると、僕の間には齋藤飛鳥のタオルがあるわけだ。

邪魔。

アイドルの姿が見られない。せっかく二人で背中合わせになってパフォーマンスしているのに、その表情が、その姿が見られない。
一体何なんだ。彼はそんなことも意にせずに、タオルを動かしたり、広げたり、掲げ直したり。
そもそも、二人のパフォーマンス時にファンサなんてするものなのだろうか。
大人数のときなら、多少ダンスの振りが崩れたとしても、問題はないように思う。
少人数の場合、一人のファンのためにファンサをしたら、他のファンからしたら顰蹙を買うものではないのだろうか。
そもそも齋藤飛鳥というアイドルはファンサをする性格なのだろうか。

曲が終わる。まともに見られなかったが、ファンサはしていなかったと思う。
とにかく、満足に楽しめたとは言い難かった。ライブ後に友人に問うと、ファンサを要求するタオルは胸に掲げるのがマナー。とのことだった。


【彼女らはアイドル】

芸人ラジオを聞いていると、ある程度笑いの仕組みが分かった気になってしまう。

ユニット曲の投票かなにかで齋藤飛鳥、生田絵梨花、梅澤(名前が思い出せない)さんの曲が1位になったそうで、感謝を込めて歌います! という具合になんか食べ物みたいな曲を歌っていた。変な表現だとは自分でも思う。いや、でも説明すると食べ物の曲としか言えない。

曲の途中で歌が止まり、ファンのみんなに感謝を伝えるコーナーなるものが始まった。ルーレットでどんなファンサービスをするか、その後くじを引いて当たった人が行う。大体こんな感じだったと思う。

スクリーンにルーレットが現れ、まず「10秒間キス顔」という罰ゲームにも似たお題が出題される。
ここで、齋藤飛鳥が異様に嫌がっていた。彼女はこういう恥ずかしいことをやりたくない性格なのだろうと思う。
これはフラグ、齋藤飛鳥に当たったら面白い。
さて、くじを引く。

当たった。齋藤飛鳥だ。

俄然盛り上がり、声を出すことを自重している会場でも歓声が漏れる。
齋藤さんは本当に嫌がっているようでかなり渋っていた。そしてこう言い出した。

「だって、10秒間みんな無言じゃん!」

たしかに、コロナ禍でなければ、きっとこの状況は生まれない。しかし、バラエティ的には、素晴らしい展開だと僕は思ったのだ。次は梅澤さん。

「じゃあ、キス顔している10秒間、ファンの皆に齋藤飛鳥大好きという気持ちを拍手してもらいましょう!」という旨の発言。
フリである。

ここで会場にいる人々が応えるべきは、拍手をしないのが正解だと思う。
齋藤飛鳥が無音に我慢をしながら10秒間キス顔を途中でやめて怒りだすか、10秒間しっかりやって「やってくれないじゃん!」みたいな新たな笑い、可愛らしさを引き出せる。

そんなこんなで、齋藤飛鳥のドアップがスクリーンに映し出された。カウントダウンでキス顔が始まった気がする。無音が会場を包むと思った。

万雷の拍手だった。

思わず「なんでやねん!」という言葉が関西人でもないのに口について出てしまった。

たしかにフリは弱い。
「絶対拍手するんですよ! 絶対ですよ!」
くらいやっていれば、あるいは、とは思った。
実際、僕のお笑いをわかった気になってしまっている個人的な感覚なので、無音だったとて正解だったかはわからないし、そもそも彼女らは芸人ではなく、アイドルであることに後で気が付いた。
ファンからしたら拍手しないのは、好きではないと表明することなのかもしれない。
そんなことをファンは望んではいないだろうし、繰り返し書いておくが、彼女らはアイドルで芸人ではないのだ。
これは僕が個人的に求めすぎた、ツッコミが出てしまったのは失態である。

キス顔中、ファンは大歓喜。その後、恥ずかしながら歌っている齋藤さんも可愛らしかったので、これで大正解なのだろうと思う。


以下はちょっとした出来事を書いていく。

誰かの誕生日サプライズが行われた。メンバー全員でハッピーバースデーを歌っていたが、名前を呼ぶところで呼称が統一されていなかったように聞こえた。思わず「合わせろよ」という言葉が漏れた。

高山さんの髪型について。後頭部がラーメンマンみたいだった。誰かがこの髪形の開祖だったらしいが、それは置いといて、あれは可愛いのだろうか。
でも、高山さんは華があって、人気もあるのだろう。スクリーンによく映っていたし、ランウェイに現れたときも、僕の目を惹いた。
僕が考えた肩書は「世界一かわいいラーメンマン」
いや、本当にかわいかったし、華がありました。

ギターの弾き語りがあった。ギブソン系の音がした気がするが、メーカーはわからなかった。二人で演奏していて、一人は桃呼さんだった。演奏は、なんというか、頑張っている。という印象だった。もう一人は名前も顔も思い出せない。うーん、誰だったのだろう。

ペンライトの色を変えるのはその都度ボタンを押さなければいけないし、大変だった。
二色でメンバーの色を表すというのは凄い文化だ。たしか一つのペンライトにつき10色だったと思うのだが、そうなると組み合わせは100通りあるのでメンバーの色が被ることはない気がするのだけれど、友人によれば被っているらしい。
なんでや。流石に全員合わせても100人はいないだろう。

ステージから登場したり、後ろから登場したり、ランウェイ途中から登場したりと身体が忙しい。その都度、身体の向きを変えなければならないので、足元に置いた荷物が邪魔だった。

アリーナ席からだと少し遠く、しっかりと顔は見られないと思うのだが、アリーナ席を半周回り、ステージまで動くアイドルを乗せたゴンドラを見て、嬉しそうに破顔する前方の男性。
隣の友人らしき人から肩を叩かれて目線をゴンドラに向けていたので、おそらく推しが乗っていたのだろう。本当に見分けは付くのだろうか。

アイドルがランウェイでアリーナ席に向かって踊っているときがあった。
必死にファンサを求めていたメガネの男性が後方にいたのだが、そのアイドルがファンサをしてくれたようで、その瞬間「うおうっ!」と肩を窄め、飛び上がっていた。
曲が終わった後「絶対俺にしてくれた!」と興奮気味に話していた。
推しがファンサを自分にしてくれた、という事実は心内には収めきれない程、嬉しさが全身に行き渡り、感情を豊かにするのだなあ。と思った。

「I see...」をやってくれたのは嬉しかった。「インフルエンサー」がなかったのが残念だ、好きな曲なだけに。
20曲くらいは聞いていたので、聞き覚えのある曲もあったのだが、歌えるレベルまでには達していなかったし、聞いたことがない曲も多くあった。なんか聞いていると転調エグイ曲もあった気がするのだけれど、気のせいだろうか。


最後は新内眞衣さんの話になる。

ライブも終盤のときに、ランウェイを満たすようにアイドルが踊っていた、何の曲かは覚えていない。
ここで、ランウェイの両脇を固めるような形でアイドルたちは踊り出した。そして奇跡的に、新内さんが僕の目の前に現れ、スクリーンを通さず、直接僕の視覚に飛び込んできた。

近い、かなり近いのだ。

友人が僕の方に振り向き、肩を叩く。
ああ、僕も気が付いている「6メートル先には新内」状態だ。

僕の手は肩にかかった新内タオルに伸びた。こちらに目線をくれている新内さん、ここでタオルを掲げれば気が付いてくれるかもしれない。

その瞬間、僕の脳裏に先ほどの齋藤飛鳥ファンが過った。
胸で掲げるのがマナーだと知ったのはライブの後だ。機転を利かせ、胸で掲げられればよかったのだが、新内さんがいつまでこっちを向いてくれるかはわからない、頭が回らない、時間に追われていたのだ。
ここでタオルを頭上に掲げてしまったら、さっきのファンと同じだ。他のファンがアイドルを見られなくなる、邪魔になってしまうではないか。

葛藤。

何度もタオルに手が伸びては、手を離す。
新内さんはまだこちらを向いて踊っている。アリーナ席、新内さんが目前。もうこんなチャンスは一生訪れないかもしれない。

僕は首にかけたタオルの両側をぎゅっと握りしめた。
そして、僕の脳内は、興奮状態から緩やかに理性的に変わっていく。

そして、僕は固く握りしめた手をゆっくりと緩めていった。
新内さんは目の前で歌って、踊っていて、きらきらしていた。

僕の6メートル先で踊り、歌い、笑顔を振りまいている新内さんを眺めることしかできない。
タオルを掲げてしまえば、きっと他のファンが悲しんでしまうのだ。


やがて、新内さんは逆側のランウェイへと消えていった。

そのまま曲が終盤に差し掛かり、ステージへと向かう途中、新内さんと高山さんがアリーナ席の誰かに気が付いたようで、二人で身を寄せ合って、手を振っていた。
名前を掲げたファンがいたのかもしれない、有名なファンなのかもしれない、芸能人かもしれない。

いずれにせよ、タオルを掲げられなかった僕にとっては、もうどうでもいいことだった。


ライブは終わる。

新内眞衣

凄い文化に触れられたと思う。
アイドルがプリントされたマントを背負う人々。タオルを服のように纏った人。ペンライトで感じるファンの一体感。終始どこに目線をやっていいのかわからないライブ。「指ハート」「撃って」と書かれた画用紙、タオルなどを掲げてファンサを求める人々。嬉しそうに推しを見つめる人。ファンサをされて身体を飛び上がらせて喜ぶ人。

コロナ禍でなければ、コールというものもあるのだろう、曲に集中できるのだろうか。
しかし、ライブが終わって思ったのは、アイドルというのは曲を聞いて楽しむものではないのかもしれないということだ。
友人の言った通り「愛嬌」を見るのである。


これはライブ前だったと思うのだが、オールナイトニッポンに松村沙友里さんが来たときがあった、松村さんはその時点で卒業することが決まっている。新内さんとは仲が良いらしく、一緒に海外旅行へ行く仲でもあるらしい。
その回でこんな感じの会話が繰り広げられた。リスナーから、シャケの皮か唐揚げの皮かを新内さんが松村さんにあげているエピソードメールが届く。

新内「本当だよー」
松村「そうだねー」
新内「えー、これから私は誰にシャケの皮をあげればいいのー?」
松村「えー、そんなこと言うなら私はこれから唐揚げ誰にもらえばいいのー?」

そして、新内さんが泣き出した。シャケの皮で泣くのは史上初だとSHOW ROOMのコメントが騒ぎ出した様子を、松村さんは少し笑いながら伝えていた。

たしかに、これは可愛らしいというか、笑えるというか、癒されるというか、僕の所感では面白いが断トツだったが。

その放送では序盤でのやりとりでも泣いていて、放送の終盤には松村さんが卒業コメントで新内さんのことに触れたせいか、新内さんはまた泣いていたように思う。
こういうキャラクターや愛嬌を見たり、聞いたりするのがアイドルの楽しみ方なのかもしれない。


楽しみ方はなんとなくわかった気がするが、現在乃木坂にハマっているかと言われれば、答えは否となってしまう。

僕は結構単純なのか、基本的にライブは爆音だから楽しい。
彼女らの名前や個性を知っていればもっと楽しめたとは思うが、時折入るMCも齋藤飛鳥のキス顔コーナーも楽しかった。そういえば、曲前にアイドルが光を使う演出と共にパフォーマンスをしていたのも凄くよかったな。
新内さんにタオルを掲げることができなかったことだけは悔やまれるが、間近で歌って踊る彼女を見られただけでも、足を運んで良かったと思えた。満足はできた。
ただ、この子が可愛かったから調べてみようとか、曲をもっと聞いてみよう、とまではならなかった。

ツイッターで呟いたところ、友人からリプライがあった。
僕の性格的に、努力で得たかわいさは、僕には馴染まないかもしれない、という旨だ。
なるほど、と思った。彼女らはアイドルである。ダンスを綺麗に見せるため、自分を引き立たせるために身体を作る。トーク、リアクション、バラエティ適応能力を高める、華を持たせる表情を模索して実践する。下手をすれば自分のキャラクター、番組での立ち位置も考えているのかもしれない。
いずれにせよ大変な努力の上に成り立つ可愛さだ。

その努力で研鑽された可愛さではなく、僕はその人が持つ、元来の人間性から自然に滲み出るかわいさに惹かれるのかもしれない、ということだ。
英語「idol」には、偶像という意味もある。ライブのとき、お人形が踊っていると感じた僕の直感は、アイドルはどこか遠い存在で、作り物のように感じてしまったからなのかもしれない。

……まあ、こんな深く考えなくても、もう少しシンプルに楽しめればいいのだけれど。

趣味の範囲で、毎週乃木坂46のオールナイトニッポンは聞くようになった。アイドルのラジオは送るメールの力加減がわからないので、ほとんどタイムフリーで視聴しているが。

ラジオでは音声のみだ。
彼女らの魅力や愛嬌はテレビや配信を通して、可憐な容姿を伴って、そのキャラクターを深く知った上でこそ、楽しめるのかもしれない。乃木坂工事中やYouTubeも時間が合えば見てみようと思う。

ラジオが、そして今回のライブが入り口になって、アイドルに熱中できるかもしれない。きっかけは作ってもらったので、あとは自分の嗜好が変わっていくのを待つばかりだ。


ライブから数週経ったラジオで、新内さんがこんなことを言っていた。

「お客さんに対してさ、レスしてとか、新内タオルがないと、あんまできなくて、なんか私からもらっても……って思っちゃって」

新内さんは二推しの女と呼ばれていて、たしか二番目に推されるアイドル、みたいな意だったように思う。

乃木坂最年長。今もオールナイトニッポンパーソナリティを務め、お姉さんのような雰囲気を纏って、ゲストを毎回温かく迎えている新内眞衣。
ライブでは、ラジオパーソナリティ新内眞衣ではなく、アイドル新内眞衣がきらきらしていて、僕の目の前で踊って、歌ってくれた。

私からもらっても……なんて言わせてしまうなら、尚更タオルを掲げればよかった。

新内さんにはこう言いたい。


あなたが一番の目当てで、乃木坂のライブに遠くから足を運んで、新内タオルを掲げられなかったファンも、ひっそりといたりするんですよ。


挿入画像


おまけ

そういえば、ライブに関してはアンコールでまさかのテレビ配信があった。
曲が終わって、最後に安住アナの写真を掲げていた女性が一瞬スクリーンに映されたのが面白かった。


おまけなので、ここからは本文の答え合わせや間違い探しをしていこうと思う。

まずはAKB48の神7から。
僕の解答。

前田敦子、大島……、篠田麻里子、さかもと……、高橋みなみ、峯岸みなみ、柏木由紀。

まず、AKB48の神7は神8になったり、メンバーの卒業などと共に変わっていっていったりしているようだ、たしかに当然のような、別の言い方を考えてもよいというか。

とりあえず、覚えているのは初代神7だったはずなので初代のメンバーを記載する。

前田敦子、大島優子、篠田麻里子、渡辺麻友、高橋みなみ、小嶋陽菜、板野友美。

フルネームでの正答率は3/7である。苗字だけでも4/7だ。酷すぎる。
柏木由紀さんはその後、神8として入ったらしいので、まぁ、誤答してしまったのは分からないでもない。
峯岸みなみはたしかに違う気がしていたが、今のテレビ露出を考えてしまった。けれど、その観点で答えるならせめて指原莉乃だろうと後で思った。
そして渡辺麻友を忘れていたのは信じられない、まゆゆだ。板野友美を坂本と答えたのも酷い、漢字が似ているだけじゃないか。小島陽菜はいたなあ、って感想だった。

単純に、自分の記憶力が心配になる。今までの興味のなさが招いた結果であると信じたい。


どのアイドルがいつ全盛期だったのか、というのを調べるのは止めておく。全盛期なんて曖昧だし、熱心なファンならいつでも全盛期だと考える人もいるだろう。

とりあえず、アイドルのグループ名は大丈夫そうだが、欅坂に関してはかなり複雑だった、まだ完全には理解できていない気がする。
まず「欅坂46」が誕生。たしかに平手友梨奈さんは知っている、本文で触れたサイレントマジョリティでもセンターだった気がする。
そしてアンダー? 二期生? という形でメンバーが追加加入。そして二期生のみのメンバーで通称ひらがなけやきとして「けやき坂46」が誕生。
もうこの時点でややこしいが、結局「日向坂46」と名前を変えてデビュー。もう無茶苦茶である、なんでこんな複雑なことになってしまったのだ。

ちなみに、日向坂は影山優佳さんだけ知っている。
サッカー番組をちょくちょく見るのだが、下手すればテレビで解説するような人を超えてしまうくらい豊富な知識、内田篤人が学生を指導する企画の際になぜかフィールドで手伝っているし、学生が良いクロスを上げたときや、ゴールを決めたときの「オウェイ!」みたいな声がガチ勢過ぎてとても好印象だ。

あと、モー娘。のラブレボリューションは恋愛レボリューション21という曲名だった。これはできれば、間違えたことに文句を言わないで欲しい、だってラブレボリューションって歌ってるもん。

以下もアイドル、曲名の書き間違いなど。

久保しおり→久保史緒里。宮城県出身だったので余興時、スクリーンにはきっと映っていたはずだ。

松村沙友里→松村沙友理。これはニアピン。予測変換で出てきたのですっかり里だと思ってしまった。

フィンガークロスド→ごめんねFingers crossed

橋本桃呼→大園桃子 凄い勘違い。我ながら酷くて笑えた。
調べると橋本桃呼はラストアイドルの二期生だった。霜降りのラジオで話していたのだと思う。
それにしても丁寧にこの「こ」の字を丁寧に「呼」にできたのは何だろう。ラストアイドルガチ勢でもなければわからないレベル。ラスアイは霜降りを通じて過酷なことを毎回やっている話を聞いているので、頑張れ、という気持ちはあるのだが。

梅澤→梅澤美波。名前を聞いてもピンとこなかったが、顔は知っていたので覚えておこう。

齋藤飛鳥、生田絵梨花、梅澤美波のユニット→生田絵梨花ではなく山下美月。
これはメンバーに自信はあったのだが、間違えていた。食べ物みたいな曲だと本文で記載した曲名は「ファンタスティック三食パン」タイトルわかっても意味がわからん、どういう趣旨でこの曲を作ろうと思ったのだろう。


余談として、友人の購入したタオルは生田絵梨花さんではなく、筒井あやめさんだった。個人的に撮っていたショップ前での動画で「あやめちゃん推しになります!」と言っていた。やっぱり浮気性の節がある。そういえばライブ中にファンサも受けていたが、あれは誰だったのだろう。
また、ライブ当日の写真を見返すと、過去のライブの大園桃子タオルを持ってのぼりで写真を撮っていた。ここまでくれば浮気性も青天井である。

そして、別の友人にあげるお土産として生田絵梨花さんのタオルを買っていたのだった。
宮城でしか売ってないらしい、久保史緒里さんの萩の月を友人へのお土産として買おうとして、結局なかったから普通の萩の月を買ったという帰宅時の経緯があって、どうも記憶がこんがらがっていた。


とこんな感じで、細かいところを詰めていけばキリはないだろうが、おまけだ。この辺にしておこうと思う。

無理に興味を持つ必要はないとは思ってはいるが、まずはせっかくライブに行った乃木坂か。
オールナイトニッポンは現在の趣味の範囲で聞いているので、新内さん以外にも名前と顔を一致させるところから、と思っている。

次点、霜降りルートでラストアイドルとしておこう。霜降りのラジオでラスアイの曲を使ったコーナーがあったのと、なぜかせいやがMVに出ていて、曲はちょっとだけ知っている状態だからだ。橋本桃呼と書けたこともある。


ちなみにライブ中、僕の目をよく惹いた高山一実さんは、先日卒業発表をしていた。

前途多難である。

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