成田護

成田護さんの舞踏公演を観に行った。

2500円払ってクソだったら嫌だなぁ・・・と思いながらも痛む足を引っ張り50分かけてラピュタ阿佐ヶ谷へ。
ラピュタ阿佐ヶ谷には唐組時代の友人の公演を何度か観に行っている。

道すがらは居酒屋。

思えば何年か前に佐藤行衛さんと飲んでいて「マスター、『くさや』はありますか?」と佐藤行衛さんが頼んで、食べたのだが「うっぐぅ!臭い!臭い!臭い!」と悶絶した覚えがある。
坂本美蘭さんは「美味しいですね」と食べていて、隣の席の人も「お、くさやですか。僕の地元の名物なんですよ・・・美味い!」と言っていたが
「出されたものは喰う!」
が信条の私が挫折した珍しい食べ物だった。

そんな事を思い出しながらラピュタ阿佐ヶ谷へ。

入り口では検温と手洗い(消毒)とかで並ぶ。
因みに気温は高いが風が凄くて、中央線快速電車は運転見合わせとなっていた。

風が強いので寒く感じる。

コートだけで良いかな?と思ったがジャケットを着用して良かった。
で、開演・・・だったが中央線が遅れているので10分押しとなった。


感想は「素晴らしかった」の一言しか浮かばない。


もう、こう言うのは言葉で表現出来る範囲を超えている。

観客は30人か25人かな。
コロナ対策で客席が間引かれていて、観やすかった。
2009年に観た時も凄かったのだが、成田護さんはSNSをやっていないし、WEBがあるだけ。

だから、普段は10人も呼べない『売れない舞踏家』である。
だから、25~30人と言っても成田さんは終演後に「こんな大勢の前でやるのは初めて」と言っていて面白かった。

成田護さんは正直、素晴らしいダンサーである。

だが、知名度もSNSもやっていないし、告知しても『知る人ぞ知る』人しか来ないので10人も来ない。

だから、自分よりも明らかに『格下』の音響OPをやったりしている。
または、明らかに『格下』と対バンみたいな感じだったり。

本来はSOLOでも出来る人なんだけども。

私もFacebookの告知をシェアしている人がいなかったら分からなかったモンな。
「告知って大事だよな」
と思った。SNSの弊害は叫ばれているがSNSを使わないとライブの告知すらママナラナイと言うか。
逆に言えばSNSと言うのは、そう言うメディアとして使えるよな、と思う。
同時にSNSを使わなくては『天涯孤独』と言うか、素晴らしい才能があっても『知る人ぞ知る』『誰も知らない』と言う事になる。

成田護さんはテクニックも、身体もシッカリしているし、客観性もある。
『魅せる』と言う事はバッチリ。
あとは、顔が中性的って事もあるし、その姿にエロスや美しさ、暴力性すら感じる。

立ち見が出ても良い公演だった。

成田さんが10人も呼べないダンサーだ、と言う事を知ったのは公演が終わってから知人に聴いた話で、私は「予約しないと埋まっちゃうかも」と思って予約した程である。

私にとって『成田護』さんは、そのくらい凄い人なんだけども、現状はSNSをやらないし、今だにyahooメールなんぞをメインで使っているし。

でも、行って良かった。

最後に成田護さんは音響も自分で作っている。
それはジャンク金属ノイズのようなモノだったりするのだが、ラストに「CDも売っています」と言うのだが音楽家としては面白い音でもなかったので買わなかった。
金属ノイズは誰もが一度は通る道で殊更、おもしろいワケでもなかった。
ただ、舞台と音楽の相性は、ダンサー自身が作っただけに完璧だった。

久し振りに素晴らしい舞踏を観た。

足が痛くなったけど、素晴らしい一日だった。


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