悲しき男子校

週刊文春が面白い記事を書いていた。

『「女性に対する偏見を育てる」という批判も…男子校は時代遅れなのか? “御三家”の校長に聞いてみた 」
https://bunshun.jp/articles/-/41778?utm_source=twitter.com&utm_medium=social&utm_campaign=socialLink


私は男子校出身だが、女性に対しての偏見はない。
と言うか母校(男子校)にとって女性と言うのは『女性である』と言うだけで、崇拝し、崇め奉る存在だった。
もう、街中が邪馬台国で卑弥呼がウロウロしているようなモンである。
勿論、同級生に恋人がいる奴もいたが、そう言う奴は『裏切り者』と言う事で距離が置かれていた。

女性は『女性である』と言うだけで崇拝する。

そう言う意味で女性に『ブス』『美女』と言う区分けは無意味となり『カラマーゾフの兄弟』のカラマーゾフ氏ではないが

「女性は全て美女」

と言う事になった。

そんなワケで勿論、童貞である。
童貞は光り輝いた。

男子校時代、授業中にエロ本や煙草が回って来ていたが、あれは後にライブハウスでジョイントが回ってくるようなモンで、男子校と言うのは有る意味、パンク・ロックでありポリコレであり、リベラルであり、サマー・オブ・ラブなのである。

だが、童貞。


我が母校、そして全校生徒達の悲願と夢は

『モテる』
『童貞喪失』

の二点であり、将来の就職や進学など取るに足りないモノだった。

しかし、思春期を男子だけで過ごすってのは今だと想像もつかないが、やはり辛いモノがある。

それが嫌すぎて、クラブに通いつめた。
それでは芸がないのでジェームス・ブラウンのステップをVHSで録画して習得した。
それでも芸がないのでDJをやった。
それでも芸がないのでtrumpetを吹き始めた。

私の芸は全ては男子校と言う女性崇拝装置からである。


そして、卒業後は進学。

進学すると女性と共に学ぶ日々で緊張する日々。

そんなワケで相変わらずモテないし、童貞。

それを打破する為に福岡県で初のノイズ専門誌(フリーペーパー)を発行するが相変わらずモテない。

それを打破する為にノイズ作品を作るが相変わらずモテない。

それを打破する為にMODS系となるが相変わらずモテないし。

それを打破する為にアングラ演劇をやるが相変わらずモテない。

それを打破する為に暗黒舞踏をやるが相変わらずモテない。

それを打破する為にインプロ・ロックをやるが相変わらずモテない。

それを打破する為に上京して劇団に入団するが相変わらずモテない。

それを打破する為にフリージャズをやるが相変わらずモテない。

それを打破する為にディジリドゥを吹くが相変わらずモテない。

それを打破する為にアパラチアン・ダルシマーと言う民族楽器を演奏するが相変わらずモテない。

それを打破する為にベースを買って弾くが相変わらずモテない。

それを打破する為にウクレレでノイズをやるが相変わらずモテない。

それを打破する為にクラブDJでDUBばかり流すが相変わらずモテない(まだ、DUBは最先端だった)。

それを打破する為にtrumpetを吹くが相変わらずモテない。

それを打破する為にtrumpetにエフェクターを繋ぐが相変わらずモテない。

私、そして母校の悲願であり夢である「モテる」は何時になったら叶うのだろうか。
我ながら努力してんだけどなぁ。

望み叶わぬ。

山は死にますか。
山は死にますか。
春は死にますか。
秋は死にますか。
愛は死にますか。
心は死にますか。

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