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縦割り・分業症候群

症状

関連部署が非協力的
担当未決定。誰かがやると思い込んでいる
各自のKPI達成のためだけに行動している。自分の部署のことしか考えていない
プロジェクトの評価指標や求める品質が、所属する部署のものと異なる

症状の概要と症状が招く結果

プロジェクトは本質的に領域横断的です。複数の専門家や部署が協力して取り組むことになりますが、この複数の専門家・部署間の「調整」が問題を生み出します。このサイロシステムは本質的に包括的なプロジェクトを、専門分野別に切り刻んでしまいます。
分業して磨いてきたのは専門知識だけではありません。業務習慣や評価基準、価値観なども培ってきています。異なる業務習慣や評価基準は、専門家・部署間の意見交換や相互理解を難しくし、プロジェクトの進め方や評価基準についての合意が困難になり、プロジェクトが滞ってしまいます。また、まったく新しいプロジェクトの場合、それまで培ってきた習慣や基準が適していないことが多いですが、メンバー自身が元居た部署の習慣や基準のまま活動したり、その認識合わせを怠ることで、活動しているのにやっていることはバラバラで、プロジェクトの目標達成にすこしも貢献しないということが起きてしまいます。最悪の場合、専門家・部署間での対立も起こります。

問題の全体像

縦割り・分業症候群


随伴症状

コーディネーション問題(コミュニケーション・情報・イメージの共有不足で時間、思考、作業、材料がムダになる)
何もしない時間、待ち時間が多い

本症候群が原因となって発生・強化される症状、症候群

プロジェクトの死

原因

高度に分業が確立した業務に慣れ過ぎている
部署横断プロジェクトの経験が少ない

予防のためのお勧め図書

社会的合意形成のプロジェクトマネジメント
ダム建設など利害関係や人々の想いが複雑に絡み、一筋縄ではいかない事例を交えながら、「厳しい意見を出しつつ、笑顔も見える」話し合いの場づくり、「開かれた場」での合意形成の方法を学ぶことができます。正しい答えやあるべき答えなど、ひとつの結論に導こうという姿勢ではなく、より良い答えを一緒に作るという姿勢を促してくれます。


合意形成学
異なる部署・メンバーが集まるプロジェクトでは、その進め方や採用する手段について全員一致させることが難しいです。しかし意見の相違や他者と違っていることに目をつぶり、最大公約数を見出すことは、プロジェクトの失敗の温床になってしまいます。違いを削ぎ落とす平準化ではなく、可能なかぎり違いを認めたうえで、それらを関係づけてまとめる方法を学べる一冊です。


コンセンサス・ビルディング入門 -公共政策の交渉と合意形成の進め方
まちづくりや地球環境問題など、公共政策の現場で導入がはかられつつある「コンセンサス・ビルデイング手法」。アサインすべき人物の特定、その人物の関心・懸念の把握などの「アセスメント」の方法、合意形成の場に参加する人々にルール、絶対に妥協できないという人物がいた場合の対処法などを学べます。

坂の上の雲
日露戦争の旅順攻略を題材に、陸軍と海軍の間、陸軍内の前線と司令部の間、陸軍内の異なる専門領域の間のディスコミュニケーションや認識のズレが、いかにいたずらに被害を甚大なものとしたかを学ぶことができます。読んでいて身につまされる人は、文庫本第二巻だけ読めば十分。

その他の問題症候群はこちらからご覧ください。



未知なる目標に向かっていくプロジェクトを、興して、進めて、振り返っていく力を、子どもと大人に養うべく活動しています。プ譜を使ったワークショップ情報やプロジェクトについてのよもやま話を書いていきます。よろしくお願いします。