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10年やって、やっと1人前

「保育士はね、10年やってやっと1人前。」
「子どもを産む前と、産んだ後じゃ保育が変わるの。」

大学の先生と、園長先生から言われた言葉だ。
保育という仕事は、子育てだ。正解もなければ、個別対応必須の仕事だ。
できるだけ、その子に合わせて幼児期を楽しく過ごせるように一緒に過ごす。いろいろな遊びを提供したり、一緒に創り上げたりしながら。

ところで、なぜ10年だったのか?
17年、保育士をやってきてわかったことがある。それはクラス経験数。
10年あれば、全部の学年の担任を経験できている可能性が高い。
0・1歳、2歳、3歳、4歳、5歳の5クラスをそれぞれ2回ずつやれば、ある程度のことはすんなりいくようになる。保育園によっては、フリーというどこにでも入ることが可能+事務作業担当の先生もいる。そこのポジションにつけば全体の流れが見えてくる。
これは、理想のパターンだけど。保育士によっては結婚出産が間に入り10年たっても、5歳児クラス(年長組)だけはやったことない……という人もいる。クラス担当もその年の職員と園長の意向が入る、運だから。

子育て経験の有無に関しては……これは自分が出産したからこそ保護者と共有できることが多いし、話しやすくはなったというメリットはあった。そのメリットはあるけれど、子どもを産んでいなかった20歳の新人保育士の頃の保育を思い出してみると、そこまで悪くなかったのではないかとも思う。一生懸命で、真剣に子どもと向き合って、毎日毎日クラスの子の事を考えていた。母親としては、あれだけ真剣に我が子の事をおもってくれるのならば、保育が拙くとも、愛情がこなれてきたベテラン保育士よりも強いのが伝わってきてよかったのではないかとも思う。

保育士にも不妊治療中で子育てしたくともできない先生だっているし、子どもは好きだけど、結婚は考えていない人もいた。現実を見て子育てしながら仕事は無理だと決断し辞めていく先生も多かった。私はたまたまお義母さんに助けてもらいながら続けれこれただけだ。ありがたかった。ただ自分の子育てをしながらの保育は正直しんどかった。でも恩返しも含めて、育休を3年いただいた分、復帰後3年は絶対辞めないと心に誓っていた。誰かが働かないと、誰かが休めないから。
子育て経験のある保育士かどうかは正直どっちでもいいと思う。結局先生の質は、年齢や子どもの有無とかじゃない。ただ、保育が変わるのは事実だ。自分の体験が増えるから。我が子を育ててみる、それこそが一番の勉強になるから。母親の気持ちを理解しやすい。そういう事だろう。

「保育士はね、10年やってやっと1人前。」
「子どもを産む前と、産んだ後じゃ保育が変わるの。」
これを、一般的にいうならば、
どんなことも、たくさんやってみれば誰だって上手になる。

ビジネス書なんかでよく言われるのが1万時間。(エリクソン博士)

ジョシュ・カウフマン TEDより

でも実際は、最初の20時間でいいようだ。
ここら辺で継続のイライラの壁を超えるらしい。

ジョシュ・カウフマン TEDより

どんなことも、たくさんやってみれば誰だって上手になる。
この「たくさん」を数字でいうなればとりあえず20時間やっとけばOKだ。
1日が、24時間だとしたら1日でできる!いや、睡眠とかご飯とか日常のもろもろがあるから、2日~3日か。いや、忙しい人は1日2時間だけ頑張るとするなら10日間ぐらか。

何にしても、一人前になるまで10年は長すぎる。でも、10日ならいけそうな気がする。この「いけそうな気がする」レベルまで、ものごとを自分に近寄らせれば、どんなことだってできるようになる。
この動画では、ウクレレを始めて20時間のジョシュさんがいた。

ジョシュ・カウフマン TEDより

そんなこと言っても、どうしても経験できない事もある!時間もお金もないから無理だ!って声が聞こえてくる。わかるよ、たとえ20時間だって日常から捻出するのは無理な人も多い。しかし、これはあなたの人生の優先順位の問題なのだ。

今、あなたは何を優先したいのか?」ただ、それだけだ。家族のためにご飯をつくることなのか、その30分を何かで代用して、自分のウクレレの練習のために使うのかを選択するだけだったりする。物事はシンプルだ。

10年やってやっと1人前は、嘘ではなかった。実際保育士として働いてそんな実感はある。ただ、保育士は10年やっても半人前でどこまでも正解がない職業でもある。人の育ちはコントロールなんてできやしない。私が初めて受け持った年長の子どもたちは、今頃社会人だ。今できるのは、幸せに過ごしてくれているの祈るだけだ。もし、彼らが社会人になって忙しくて大変な毎日を過ごしているのなら「とりあえず20時間」自分のために使ってみなよって言えるぐらい。自分のスキルをあげたいことに集中投下の20時間。さぁ、ガンバレ!って。未来は明るいよって。

どんなことも、たくさんやってみれば誰だって上手になる。
これは、読者のみんなにも言えること。

さぁ、私も書くぞ~。今の所、しばらくは専業主婦だけど、この活動がそのうち何かに繋がるかもしれないから。「こどものえがお」があふれる世界になるように。少しでも知恵と希望のタネを未来に残せるように。

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