Vtuberによる科学技術コミュニケーションの可能性

はじめに

学術系Vtuber (以下、学術Vと呼称する)という
Vtuberの1ジャンルが、盛り上がりつつある。

直近の出来事としては、
高遠頼さんらによる「夏休み科学Vtuber相談室」
という学術Vの大型企画が話題を呼んでいる。

また、にじさんじ所属のバーチャルライバー
渋谷ハジメさんが数名の学術Vとコラボし、
その専門分野を視聴者とともに勉強する
「渋谷ハジメの知らない世界 with 学術V」
も好評を博し、その第2回目も先日、配信された。


学術系Vtuberとは、
はっきりとした定義があるわけではないのであろうが、
ピクシブ百科事典には

自身の専門を売りに活動する、特定ジャンルの専門家として活動するバーチャルYouTuberのこと。 

博士のような立場の人から趣味で勉強している人まで様々なタイプの活動者を含む。専門を生かした動画や配信で活動する者が多いが、主な活動はゲーム実況など別にあって、サブ活動としてこちらのジャンルを取り扱っている学術系VTuberも存在する。 
(ピクシブ百科事典-学術系Vtuber より)

とある。

つまり、博士号を持った研究者から
趣味で勉強している方まで
レベルには幅があるものの
特定の分野の専門家として活動するVtuberである。
 ※趣味でも素晴らしい活動をされている方も多い。

私は、学術系Vtuberを名乗ってはいないが、
1Vtuberとして、また科学技術コミュニケーターとして
学術Vの可能性を
科学技術コミュニケーションの観点から
考察してみようと思う。

Vtuberである意義はあるのか?

知識や学術的内容をわかりやすく伝えること"だけ"
目的とするなら、
Vtuberである必要性は薄いと思われる。

実際に顔だしを全くしないで、
色んな知識を解説するYouTuberさん
(両学長 リベラルアーツ大学 さんなど)は、
たくさんいらっしゃって
YouTuberとして成功されている方も多い。

また、ニコニコ動画などでよく見られる
VOICEROIDなどの機械音声を使用した解説動画
(ゆっくり解説など)も、人気コンテンツの一つである。

もちろん、そういったコンテンツも大変価値があるものではある。

ただ、科学技術コミュニケーションでは
そういった科学や知識の面白さを伝えること以外に
科学技術をめぐる課題を伝え、共に考えること
大きな目的の一つとしている。

この目的を達成する上で、
Vtuberは、非常に有効なのではないか?
と考える。

科学技術コミュニケーションの目的について

科学技術は、社会に対して大きな影響をもたらす。

・大型の地震が数十年の間に起こると言われている日本で、原子力発電所を今後どうしていくのか?
・ウイルスの感染拡大を抑えつつ、どう経済を回すのか?
・環境保全に配慮しつつ、持続的な経済活動は可能か?

これらすべて、科学技術が密接に関わっている課題だ。

では、それらの意思決定を、
専門家だけに任せて良いのだろうか?

いや、専門家でない一般の方こそ、
生活に直接影響を受ける立場であり、
そういった課題に関心を持つべきである。

また逆に専門家も、一般の方の意見や感覚に
耳を傾けるべきである。

こういった考えの元、科学技術コミュニケーションでは
専門家と一般の方の双方向的なコミュニケーション
を重要視する。

そして、その双方向的なコミュニケーションを
円滑に行う上で、専門家と一般の方が
近しい関係であることが望ましい。

例えば、
科学技術コミュニケーションの活動の一つである
サイエンス・カフェというイベントでは、
お呼びする講師の専門家を「〇〇先生」とは呼ばずに、
「〇〇さん」と呼ぶ。

これは、専門家が一般の方と同じ目線に立ち、
共に科学技術について考える場を演出するためである。

双方向的なコミュニケーションの観点から考えるVtuber

そういった観点から考えると
Vtuberという自分自身をコンテンツにできる手法は、
視聴者にとって専門家を身近に感じさせ、
気軽な交流を促すことができる

実際に、ゲーム実況や雑談、カラオケ配信など、
あまり専門とは関係のない
個人の趣味の範囲として配信を行う
学術Vの方もいらっしゃる。

こういった活動も専門家と視聴者との
一体感や親近感を生み出し、
双方向的なコミュニケーションを
促すことができるだろう。

Vtuberと視聴者によるコミュニケーションの問題点

ここまで、
Vtuberと視聴者はコミュニケーションしやすい
という話をしてきたが、
もちろん、問題点も存在する。

例えば、現在のVtuberの多くは
画面の向こうにいる存在であり
視聴者からVtuberへの発信は
コメントなどのテキストによるものが、
ほとんどである。

テキストと音声による
コミュニケーションの取りやすさは
発信者や受け手の向き不向きにもよるが、

音声によるコミュニケーションの方が
圧倒的に情報量が多いため、
やはり、音声によるコミュニケーションの方が
伝わりやすい。

身近さという部分においても
やはり、実際に会って話すことで
相手の存在を強く感じながらするコミュニケーションには
及ばないものもある。

また、配信でVtuberが意見を発信することは
映像として残り、切り抜きもされるため、
炎上するリスクを伴う。

ただ、最近ではTwitterスペースのような
アーカイブには残らないような配信の仕方も
増えてきており

YouTubeのメンバーシップなどの
有料コンテンツを使用して
比較的閉じたコミュニティで行う
という手段も有効であろう。

また、今後のVRやAR技術の普及・発達と共に、
視聴者とのコミュニケーションの双方向性が
より加速することも予想されるため

上記した問題点は、
時間と共に解決していくのではないかと思われる。

じゃあ、お前はどうすんねん?

先だって申し上げたように、
私は学術Vを名乗ってはいない。
一応、地学系の分野で大学院の修士号までは
取らせていただいてはいるが
その分野の発信は、あまりヤル気はない。

それよりも、もっと学術Vと視聴者さんを巻き込んで
科学技術コミュニケーションを活発にさせたい
という想いが強い。

そんなわけで、裏で、とある学術Vの方と
企画を練っているところである。

というか、これに関しては、
私の作業の進捗を待っていただいているので
ただでさえ、お盆のクソ忙しい時に、
noteなんて、書いてる場合ではない←

ごめんなさい、許して・・・
進捗は、もう少し待ってください・・・

合掌

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