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「JRが乗り入れてない羽沢横浜国大駅」について:駅メモ!の路線データの話④

横浜市神奈川区に羽沢横浜国大という駅があります。この羽沢横浜国大駅は2019年11月に開業した非常に新しい駅。神奈川県のみを走る鉄道会社「相模鉄道」(通称:相鉄)の列車が東京都内に進出するべく、JR東日本や東急電鉄といった他の会社に乗り入れるために作られた「相鉄新横浜線」の駅として開業しました。相鉄新横浜線を走る列車は、ここ羽沢横浜国大からJR東日本の線路に乗り入れ、東京を代表する大ターミナル駅である渋谷、新宿へと進んでいきます。

将来的には羽沢横浜国大から、東海道新幹線などが接続する新横浜駅まで相鉄新横浜線を延伸し、新横浜から先は現在建設中の「東急新横浜線」へ乗り入れ、東急電鉄を経由して東京都内へと向かうという別ルートができる予定です。このルートが開通するのは2022年度下期予定。2年以内には、羽沢横浜国大はJR線方面と東急線方面との分岐駅となります。

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写真は2021年現在の羽沢横浜国大駅の駅名標です。左側の「武蔵小杉」はJR東日本の駅、右側の「西谷」は相鉄の駅です。現時点における羽沢横浜国大駅は、相鉄の「相鉄新横浜線」とJR東日本の「東海道貨物線」(※)の純粋な境界駅となっています。

※ JR東日本側の路線名はややこしく、羽沢横浜国大から先の区間は「東海道本線」を走ります。ただし、この区間は「東海道貨物線」と呼ばれる貨物列車がメインに走る線区です。実際の駅や車内での案内では「相鉄線直通」「埼京線直通」などと呼ばれています。JR東日本の公式プレスリリースでは、羽沢横浜国大駅前後の区間を総称して「相鉄・JR直通線」という名称となっています。このように、羽沢横浜国大からJR線方面を指す路線の呼び方は全く統一されていません。詳細は後述します。

日本全国の鉄道路線、駅を扱った位置情報ゲーム『ステーションメモリーズ!』(通称:駅メモ!)には、羽沢横浜国大駅が収録されています。駅メモ!上では、羽沢横浜国大から先のJR線方面の路線は何と呼ばれているのでしょうか?

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「JR」の「J」の文字すら見当たりません。そもそも駅メモ!において、羽沢横浜国大駅は相鉄新横浜線しか乗り入れていない駅という扱いとなっています。

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すなわち駅メモ!における相鉄新横浜線とは、西谷から一駅だけ分岐して羽沢横浜国大という行き止まりの駅に向かう盲腸線という扱いです。……そうはならんやろ。

羽沢横浜国大駅にJRの路線情報が無い理由?

羽沢横浜国大駅が駅メモ!において実装されたのは、実際の駅開業から1ヶ月前。2019年10月31日のことです。

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このとき、複数の路線が乗り入れている阪急電鉄の「大阪梅田駅」が、駅名改称と同時に新駅として収録されています。それと同時に羽沢横浜国大駅も収録されたわけですが、このときから相鉄新横浜線の単独駅という扱いとされています。

駅メモ!に収録されてから現在に至るまで、相鉄新横浜線以外の路線情報が羽沢横浜国大駅に付与されてない理由として、JR側の路線をどう呼ぶか曖昧なのが影響していると考えられます。

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こちらの画像は、2019年9月6日に公開されたJR東日本のプレスリリース「2019年11月ダイヤ改正について」から抜粋したものです。JR線と相鉄線を直通する運転系統の総称として「相鉄・JR直通線」としています。それと併せて、羽沢横浜国大と武蔵小杉の区間には「JR東海道貨物線」と但し書きがあります。

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羽沢横浜国大駅の一駅隣にある「武蔵小杉駅」の案内表示です。「相鉄・JR相鉄線」が絡む運転系統の案内として「埼京線直通」「相鉄線直通」が書かれています。

このように、羽沢横浜国大と武蔵小杉以北を結ぶJRの路線については、明確な名称が公式でも定まっていないのが現状です。

路線の名前は定まってないけども……

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とはいえ、現に1時間に2本以上の列車が行き来し、運賃表や路線図にもその線が堂々と描かれている路線が、開業から2年近く経っても『駅メモ!』に収録されてないことには強い違和感を覚えます。そもそも単一の特急列車がなぜか路線として扱われているのに、どうして武蔵小杉の手前から同じ線路を走る列車は存在を無かったことにされているのでしょうか。

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JRの線路を相鉄の列車が走る姿は、駅メモ!の運営の方も認識しているはずです。モバイルファクトリーのオフィスの最寄駅はJRだと五反田駅。相鉄線へ直通する列車が毎日毎時間通過しているところです。いくらリモートワークが進んで、オフィスへ出社する機会が大幅に減ったとはいえ、これを見逃し続けるのは非常に残念なことだと思います。

最後に

未来の鉄道路線を救おうとする前に、現在の鉄道路線をちゃんと見てほしいです。

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