ヤングケアラーってどんな子ども?全国実態調査と実体験から解説
ヤングケアラーってこんな子ども、ヤングケアラーを国をあげて支援する、が連日報道されるようになりました。
わたしも亡き妹が重度知的・身体障がいがあり、元ヤングケアラーとしてNHKに取材頂き、首都圏ネットワーク、おはよう日本でも報道頂きました。
つい半年前まで、わたし自身も自分がヤングケアラーだったとは、つゆほども思わず暮らしていたので、この急展開に「すごいな・・」と思わずにはいられません。
今までヤングケアラー、ケアラー支援に尽力してきた方々のおかげで、成果がここで一気に広まっているんだと思い、とても感謝する気持ちです。
わたし自身もヤングケアラーが知られ、今のヤングケアラーが置かれる環境が良くなるように出来たらと思うので、とても嬉しいです。
ヤングケアラーに誤解?ヤングケアラーが広まるその一方で
報道を見た方から、「ヤングケアラー、今問題になってますよね」とお声掛けいただくことも増えました。
これって、もしかして、「ヤングケアラー」が一人歩きしていないだろうか?ヤングケアラー=問題、ヤングケアラー=かわいそう、になっていないだろうか?
ヤングケアラーが誤解されてしまっていないだろうか?
ヤングケアラーをそもそも、わたしもちゃんとわかっているだろうか?
ふと疑問に思いました。
わたし自身の過去を振り返っても、ヤングケアラーの悩みが具体的にどんなものか、外側からわかるのは至難の業なのではないか、と思ったのです。
ヤングケアラーの全国実態調査と自分自身がどうだったかも踏まえて、解説していきたいと思います。全国実態調査にわたしの個人的なエピソードが加わることで、皆さんのイメージを助けになればと考えました。
ヤングケアラーの支援に向けた福祉・介護・医療・教育の連携プロジェクトチーム資料より進めていきます。
「ヤングケアラー」とは?
「ヤングケアラー」とは「本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っていることにより、子ども自身がやりたいことができないなど、子ども自身の権利が守られていないと思われる子ども」
(令和2年度 ヤングケアラーの実態に関する調査研究時の定義)
ヤングケアラーにはまだ法律上の定義付けがなく、今回は調査研究時の定義で考えていきます。
(一般社団法人日本ケアラー連盟「こんな人がヤングケアラーです」より引用)
中高生のヤングケアラー全国実態調査の解説
中学二年生と高校二年生に向けたヤングケアラーの全国実態調査(厚生労働省、令和3年4月12日発表)を追ってみていきます。
世話をしている家族がいる18歳未満のヤングケアラーは
中学生 17人に1人(5.7%)
高校生 24人に1人(4.1%)
学校のクラスに2〜3人いるということですね。
わたし自身は中高生時代に妹に障がいがあることを話した記憶がなく、妹が亡くなった時に一部の教師が知った程度で、まさかクラスメートに同じ境遇の人がいるなんて考えもしなかったです。
ヤングケアラーの自覚はあるか?認知度は?
ヤングケアラーと自覚している子どもは約2%、わからないとした子どもが1~2割程度。ヤングケアラーの認知度は低く、「聞いたことはない」と回答したのは、8割を超えています。
わたし自身もヤングケアラーを知ったのは成人してからどころか、つい半年前です。ほとんどの人はヤングケアラーを知らないし、当事者も気づいていない、のが実態のようです。
世話を必要としている家族については?
きょうだいが最も多いです。
「ヤングケアラー〜幼き介護〜」という報道もあり、わたし自身もヤングケアラーに高齢者介護のイメージがありましたが、実際には「きょうだい」が最も多いことがわかります。
ケアの内容とは?
「家事をしている」が1位
「幼いきょうだいの世話をしている」が2位
「家族の通訳をしている」が3位
介護、というと直接的なケアがイメージされますが、実際は家事が最も多く、世話、通訳となっています。実際のケアの内容はもっとあるようにわたしは感じました。
ケアをしているために、やりたいけれどできていないことは?
特にないが1位になっています。
その他は
自分の時間が取れないが2位
友人と遊ぶことができない3位
宿題や勉強をする時間がない、と続いています。
わたし自身はケアをしているために、やりたいけれどできていないことは?と聞かれても、特にない、と答えたと思います。
なぜなら、家族に病気や障がいのある兄弟姉妹がいて、彼女たちが生活の中心であり、自分のやりたいことを我慢するのが当たり前だったわたしは、ケアすることで自分自身がやりたいことができていない、とは全く思っていなかったからです。
それって、やりたいことを言い出す以前に、子どもの権利が守られている状態かな、と思うのです。
ヤングケアラーの支援に向けた福祉・介護・医療・教育の連携プロジェクトが始まる
この全国調査を踏まえて、ヤングケアラーの支援に向けた福祉・介護・医療・教育の連携プロジェクトチーム報告も厚生労働省と文部科学省が協働で取り組みます!と掲げていて、国をあげて、今まさにヤングケアラーへのサポートが進んでいこうとしています。
今後取り組むべき施作として
1早期発見・把握
2支援策の推進
3社会的認知度の向上
が掲げられています。
立ち上げの背景には
ヤングケアラーは、年齢や成長の度合いに見合わない重い責任や負担を負うことで、本人の育ちや教育に影響があるといった課題があるが、家庭内のデリケートな問題、本人や家族に自覚がないといった理由から、支援が必要であっても表面化しにくい構造となっている。
この記述にはまさに、と思いました。
わたしがヤングケアラーだった中高生の頃は、表向きは優等生的で、学級委員や生徒会もやり、成績もそこそこ良くて、部活にも参加していました。人と揉めたり、いじめたり、いじめられたり、非行に走る、明らかに孤立している、不登校といった、表立った要素もない子どもでした。
しかし、家庭では両親ともに、病気や障がいのある兄弟の通院や入退院付き添い、フルタイムの仕事、一家7人分の家事などに追われて、両親ともに精一杯な状況でした。
なのでわたしのヤングケアラー時代は
・わたし自身の素直な思い、やりたいことは言い出せない
・これ以上迷惑をかけるのは申し訳なく、困ったり悩んでも相談できない
・楽しい食生活体験、休養の必要性や身体のケア、家族との気軽な行楽など家庭で生活経験が希薄
・家事などをしていない自分は価値がないと感じる(あるがままで居られない)
という心理状態でした。
様々な分野が連携してヤングケアラーの支援につながっていくことを期待しています。
ヤングケアラーの解説はいかがでしたか?
ヤングケアラーが皆同じ状況では決してないからこそ、ヤングケアラーという言葉に捉えわれず、目の前のその子どもに寄り添っていくことが大切に思います。
わたし自身もヤングケアラーに対してどんなことができるか、考えていきたいと思います。
ヤングケアラーやきょうだいを知り、たくさんの方に知って頂けることで、わたし自身、とても救われています。
誰にも言えなかったヤングケアラーやきょうだいとしての思いを人に伝えることができた、わたしにとってのきっかけは、障がい者のきょうだい映画「ふたり〜あなたという光〜」でした。
ヤングケアラーやきょうだいにご関心を持っていただけましたら、ぜひご覧いただけると嬉しいです。
お気持ちをありがとうございます!あなたの健康に寄与できるように、書籍、講座、メニュー試作に投資して、還元に努めます。