Fingertip spectacle!~はじまり

F150号キャンバスの木枠を桐にするか杉にするかで画材屋さんと相談している。
私としては杉ですでに発注しているつもりなのだが、高額なため画材屋さんは発注するのに躊躇しているようだ。
高額といっても6万円くらい。布を合わせると10万くらい。
今回の作品は仕上げるまでにへたをすると20年描き続ける可能性があること。それに対する耐久性やメンテナンス等の話を少しだけ切り出すと具体的なメンテナンスの方法はさておき発注に踏み切って良いと思い至って頂けたようだ。
前回少し話しをした時に、私が発表はしないと、のたまったので、「もったいない」と言われていたが、今回少し話をして納得して頂けたと思う。

私は発表は大嫌いだ。なので画材屋さんには発表は大嫌いだと告げている。
油絵の発表先とは埼玉だと県展、全国区だと日展、新制作、独立展などの公募を想像される方は多いと思う。申し訳ないが私にとってはどれもクソだ。これらはすべて茶番だ。人生をかけて20年かけて制作した作品をまともに評価できる公募は存在しない。
コンテンポラリー系のコンクールもくだらん都合、事情、琴線にそのタイミングで触れるかなど考えればそのような、いっときの判断に任せるような発表はクソなのでとてもではないができない。

油絵には世の中に知られていない未知の可能性がある。
それを評価できる公募や評論家や御えらいさんはいない。
アートの内部では既得権益があるので私の考えは受け入れられない。
そのため外から認知されるように活動する。
公募などは私は中の全員ポンコツだと考えているし、まあいいか・・・。

今回の作品の値段はもう決めている。
価格は100,000,000円
これまでの経緯や内容を考えれば妥当だと思う。
基本的に私は作品を売買することには反対なので基本的に売る気はないのだ。
なのでこの値段なら売ってもいい。

私は美術市場はポンコツだと考えている。
忘れもしない今から23年前東京芸大に入ったらすぐに描き始めようと温めていたイメージで制作に入った素描があった。1日3時間をルーティーンにして毎日半年間加筆し続けた。必ず評価される確信はあった。東京芸大でもこれを続ければ作家になれると講評で言われ、他の先生も否定のしようはない。画廊もすぐについた。ほどなく個展をして作品は完売した。でも、それが、その時見えた光景が私の舵を切り替えさせるものとなった。
私の想像以上にコレクターはポンコツ。画廊も。市場がつける価格もポンコツ。
改めて具体的に書くつもりだが、今、一言でいうと、市場は作家の作品を安く買い叩くために都合のよいシステムになっている。
私の半年かけて描いた作品の販売価格はたったの8万円。自分の利益は4万円だった。こんなものなのだからこんな市場で作品なんてそうやすやすと売るものではない。
それからというもの、自分の絵を描くために、絵で収入を得るのではなく、一度起業し、確実に制作が続けられる環境を手に入れるために動いた。人知れず筆を置いてこれまで時期を待ってきたのだ。一瞬も絵を描くことを忘れたことはない。

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