【天下繚乱】サンプル紹介⑦ 蘭学の探究者
「見せてやるぜ、新時代の夜明けってやつをな!」
昔、日本人は海外の国々と五分につきあっていたという。堺や博多、新潟の港には外国人があふれ、商人や冒険者たちはルソンやシャム、太平洋を越えてメキシコ、はるかローマの地までにも足を伸ばしたという。
今はそうではない。“蛮社の獄”と呼ばれる弾圧で、海外に憧れる蘭学者の多くが投獄された。子供の頃から蘭書に親しんできたキミに、それは耐え難い苦痛だった。
そんな時、キミは幕府の要人から誘いを受けた。蘭学の力で、妖異と戦い、異変を収める力“村雨丸”を求めるのだ。蘭学を戦いに使うのは気が引けたが、すぐにキミは考えを変えた。蘭学の力で妖異を倒し、国を救えば、人々も蘭学のすばらしさを認めることだろう。
蘭学(らんがく)。それはヨーロッパの科学である。
『天下繚乱』世界では、蘭学をめぐりふたつの派閥が戦っている。老中・田沼意次(たぬま・おきつぐ)を中心に、蘭学を積極的に受け入れて日本を進歩させようとする派閥と、老中・水野忠邦(みずの・ただくに)を中心に、蘭学の受け入れは最小限に留め、国家を安定させようとする派閥である。
鎖国している日本の外ではアメリカ独立戦争、フランス革命、吸血帝国ロシアの躍進など、様々な変化が訪れている。蘭学を巡る戦いは、そうした戦いをどう受け入れ、どう解釈するかという戦いなのだ。
●クラス解説~蘭学者(らんがくしゃ)~
蘭学者こそは、西洋諸国から流入した最先端の学問を修めた知のエリートたちである。彼らは最新式の科学兵器や医療技術を仲間のために役立てるだけでなく、実戦の場においてその威力をみずから試し、改良を重ねるのだ。
蘭学とは、和蘭(オランダ)より伝わった学問、の意である。当初は禁制とされていたが徐々に規制がゆるめられ、キリスト教の布教に関わらない内容であるならば、翻訳・研究が許可されている。
これは身分に限らなかったため、武士でなくとも、豊かな庶民の間にも蘭学を学ぶ者は多い。彼らは老中・田沼意次を中心とした一種のサロンを研究し、身分を越えて、日本がどうあるべきかという議論を重ねている。
彼らの扱う道具は専門的すぎて蘭学者のクラスを持たないキャラクターには扱えない。だが、いつかはそれらの道具が一般化する日がやってくるだろう。もしかしたらそれは、身分秩序を崩壊させ、社会を変化させるのかもしれない。
●次回予告
次回は人の世に影として存在する、“妖怪”を紹介しよう!
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