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【ジャーナル】[Part 2]こうち100人カイギ vol.10 小野加央里(日高村地域おこし協力隊)/溝渕恵理(土佐市地域おこし協力隊)

2019年1月よりKochi Startup BASEにて始まった「こうち100人カイギ」。
高知の様々な分野で活動するゲストを、毎回5人お呼びして、生き方やその思いについて語っていただいております。全部で100人になったら、終了なこの企画。
今回は、2019年11月13日(水)に開催された、vol.10に登壇いただいた5名、1人1人の話にフォーカスを当てています。

記念すべき10回目の今回は、「地域おこし協力隊」として働く5名、それぞれの想いについて語っていただきます。

参加したくても参加できなかった方、この方のお話が聞きたかった、など様々な方に読んでいただければ幸いです。


<こうち100人カイギ vol.10の登壇者>
5名それぞれの話をもっと深く知りたい方は、こちらの記事もチェック!
※お名前をクリックすると、その記事に飛べます。

高瀬 あおいさん(Part 1掲載)

小野 加央里さん(Part 2掲載)
溝渕 恵里さん (Part 2掲載)

田中 誠一さん (Part 3掲載)
小野 義矩さん (Part 3掲載)

2人目の登壇者は、日高村地域おこし協力隊の小野 加央里(おの かおり)さん。

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名古屋市出身、1981年生まれ。
ビジュアルに特化した東京の広告制作会社在籍中に東日本大震災を経験。それをきっかけに全国のボランティアに参加。ボランティア先の一つであったNPO法人日高わのわ会の活動に共感し、人口5000人の高知県日高村に拠点を移す。村内初の交流拠点”Eat&Stayとまとと”を産学官民&東京のメンバーを織り交ぜながら実現中。交流拠点は2019年11月にオープン予定。日高村役場公認の大人の部活動「とまけん部」主宰。学生の頃は、旅行ガイドブックや旅行エッセを好んで読んでは、海外に想いを馳せていたタイプ。年齢層問わず誰とでも友達になりやすい。

自分の幸せってなんだろう
はじめに、自分は地域おこし協力隊になるつもりもなかったし、移住する気もなかった、と言い放った小野さん。元々は、都会生まれ、都会育ちで、東京で広告関連の仕事をしていましたが、そこで東日本大震災を経験。当時、勤めていた会社が海に面していたこともあり、地震に被害はなかったものの、震災を目の当たりにして「自分の幸せってなんだろう」と考えるようになりました。東京という最前線の場所で仕事をしながらも、自分の携わっている消費社会に疑問を感じ、「消費よりも地域に根差した何かができたら」という気持ちが芽生えました。しかし、そう思いながらも地域のことを全く知らなかった小野さんは、ボランティア活動で全国を周るようになりました。


日高村との出会い
ボランティア活動を通して、大阪のフォーラムで知り合った方から、高知県の日高村にある『NPO法人日高わのわ会』が、素晴らしい活動をしているので是非行ってみては、と勧められました。それまで、四国にすら行ったことのなかった小野さんですが、その方の言葉に興味を持ち、「日高村ってどこ?」とグーグルマップで検索。実際にボランティアに訪れたことから、小野さんと日高村の関係が始まりました。
日高村での体験は、都会っ子だった小野さんにとって初めての連続。「うなぎを獲りに行こう」「イノシシ獲ったから飲もう」といった気軽で心地よい“高知の暮らし”に楽しさを覚えたと言います。また、多様性の中、地域づくりを行なっている『NPO法人日高わのわ会』の活動や、そこで暮らす人々の価値観に触れ、「こういう生き方、考え方があるんだ」ということを学び、自分にとって魅力的に感じたと話してくれました。


自分の泊まる宿が欲しい
小野さんが感じる日高村の人々の魅力は『素』。村で暮らす人々の性格はさっぱりしていて、自然が豊かで飾らない日常があること。そういう部分に憧れを持ち、ボランティアが終わった後も、東京でフリーランスの仕事をしながら月1回、日高村に遊びに来る生活を続けました。日高村に通うことで自分がデトックスされていることを実感。移動距離は遠いものの当時、その生活を続ける上で、日高村に移住しようという選択肢はありませんでした。東京での暮らしも楽しく、広告業もやりがいがあったからです。しかし、一つだけ問題がありました。それは、日高村には宿泊施設がないこと。「日高村に自分の泊まる宿がほしい」そんな自身の願いに対して、日高村の地域おこし協力隊になれば、リソースが作れるかもしれない、と話があり、小野さんは地域おこし協力隊になりました。

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とまとと共に
協力隊になり、企画書を100回以上書いたと話す小野さん。足かけ4年、たくさんの人々に協力していただき、2019年11月9日念願の宿泊施設がオープンしました。日高村はとまとが有名なので、with トマトの意味をこめて、名前は『とまとと』。そう名付けられた宿泊施設は、「私たちは常にトマトを中心とした生活をしていく」「トマトのフラッグシップ店になりたい」といった思いが込められています。
施設の1階はカフェで、2階はホステル。カフェの照明は、トマトの栽培をイメージし、カフェにある大きな本棚には、世界中から集めたトマトの本が並んでいます。ホステルの部屋の壁は仁淀ブルーを意識した青色を塗り、トマトと仁淀川を意識した作りになっているそうです。仁淀ブルーを始め、ここを拠点に半径20キロ以内での観光も紹介できるように考えており、「とまととが日高村のブランディングを担う場所、情報を発信する場所にしたい」と話してくれました。

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今後の展開
「自分が泊まりたい」から始まった活動は、やがて都会と田舎の多拠点構想へと変わりました。それは自身が4年間、東京と高知を行き来したことで見つけた幸せの形。近い未来、2拠点で生活する人が増えてくることは、楽しい、幸せな生活になるんじゃないかと考えています。
とまとと』を今より更にブランディングすることを始め、小野さんの次なる挑戦は、都会と田舎のよいところ両方をうまくとりながら、違う価値観が吸収できる構想をたちあげること。その前段階として、集落を活用したキャンプ、日高村の広報活動強化、大人の部活「とまけん部」など、現在活動されているプロジェクトについて話してくれました。



3人目の登壇者は、土佐市地域おこし協力隊の溝渕 恵里(みぞぶち えり)さん。

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1990年6月5日生まれ。
高知県香美市生まれ、育ち。
京都造形芸術大学情報デザイン学科を卒業後、大阪の広告会社へ就職。4年間務めたのちに退社し、憧れだった地域デザイナーになるべく、協力隊という道を選択。
そして、 2017年度より土佐市地域おこし協力隊デザイン担当として着任し今年で3年目を迎え、独立に向けて奮闘中。

地域デザイナーの存在
今回ゲストの5名の中で唯一の高知出身者の溝渕さん。京都の造形芸術大学を卒業し、大阪の制作会社で働いていた溝渕さん。携わる仕事は、大阪駅に掲示されるポスターや、和歌山県にある南海電車の観光列車のデザイン、芸能人のポスターなど華やかで大きな仕事。しかし、平日は終電で帰ることや日付が変わる頃の帰宅も多く、やりがいとは裏腹に心身ともにどんどん疲弊していきました。そんな生活を続け、ふと「こんな日々が一生続くのかな」と思うように。そんな時、『ソトコト』や『デザインノート』という全国紙で、梅原真さんという高知で活躍する『地域デザイナー』の存在に出会います。地域をデザインで盛り上げている特集を読み、都会でなくともデザインはできることを知った溝渕さんは、「小さい仕事でもいいから人と人とが関わり合ってデザインをしたい」と、高知にUターンする決意をしました。

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土佐市に決めた訳
大阪の会社を退職し高知に戻り、「梅原真デザイン事務所」の採用試験に挑戦。しかし、結果は不採用。途方に暮れていたところ、たまたま土佐市の地域おこし協力隊のデザイナー枠の募集を見つけました。特に土佐市に思い入れがあった訳ではない、と笑う溝渕さん。正式に応募するにあたり、既存している土佐市のパンフレットやポスターがオシャレじゃなかったことが決め手となった、と言葉は続きました。他地域のものはデザイナーが関与し綺麗に作られているなか、土佐市はコピー用紙に役場の人々が自分たちで考え印刷していて、他地域と比べると目劣りしてしまうようなものばかり。「これでは移住者も来ない」と思う反面、デザイナーさんが入ってないからやり甲斐がありそうと、土佐市を選ぶことにしました。


デザインを通して
土佐市の地域おこし協力隊として配属され、まずは自分のことを知ってもらうおうと地域のお祭りに参加したり、飲み会に参加したり、と地域の人たちと関わることに重心を置きました。その行動もあって信頼を得ることができ、少しずつ仕事がもらえるように。協力隊として初めての仕事は、土佐市の和紙会社「株式会社モリサ」さんで和紙の見本帳を作らせてもらいました。それを皮切りに、色々な業者さんから声をかけていただくことに繋がりました。土佐市内のポスターやチラシ、自動販売機のデザインなども手がけました。しかし、いろんな仕事をしていく中で、地域においてデザインの認識、価値が低いことに気づきます。多くの人は、デザインにお金を払う、という感覚がない為、「すぐできるだろう」と言われることも多く、落ち込むこともあった、と話してくれました。

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卒業後の進路
デザインの価値の低さを痛感しながら、あっという間に3年が過ぎましたが、来年3月には地域おこし協力隊を卒業しなければなりません。卒業を間近に控え、卒業後の進路について考える時期が訪れました。過去に地域おこし協力隊を卒業された方は、起業される方が多く、「起業しないといけない、就職するのはあんまり良くない」と、とても悩んだと言います。「悩みすぎてタロット占いに導いてもらいました。」とかわいらしい一面も。
悩んだ末、選択したのは起業の道。卒業後はフリーのデザイナーをやっていこうと決めたそう。「食べていけるかわからないけど、人生一度きりなのでやりたいことをやって、ダメだったら就職します。」と言いました。


一緒に形にしていく
溝渕さんのデザイナーとしての屋号は『Design2.0』。仕事をしながら沢山のクライアントと話していく中で、どうしたらいいかわからないという悩みを持った人が多いと感じました。この『Design2.0』には、溝渕さんのチャームポイントである眼鏡の視力とかけており、「ぼやっとしている案件を一緒に焦点を合わせて、くっきり見えるものにしていきたい」という思いが込められています。
現在は、個人のデザイン業に加えて、友人とあるプロジェクトを行なっています。それは、『chuu!』というインスタマガジン。地域おこし協力隊のように、県外から来た人が高知を盛り上げているように、「高知に住んでいる私たちも高知を盛り上げたい。高知を好きになってもらえる媒体を作りたい」という思いを胸に作っていると紹介してくれました。


【総括】
都会生まれ、都会育ちの小野さん。高知生まれ、高知育ちの溝渕さん。二人に共通することは「高知が好き」ということ。高知に住んでいる私たちは「ない」ものばかりに目を向けがちですが「ある」に目を向けるとお二人のようにまた違った視点で高知を見ることができるかもしれません。


(レポート:時久 あすか)



 100人カイギとは 
一般社団法人INTO THE FABRIC 高嶋 大介氏が「同じ会社に勤めていても、1度も話したことがない人がいる」と気づいたことをきっかけに、会社、組織、地域の"身近な人”同士のゆるいつながりを作るコミュニティ活動を始めました。 2016年六本木で「港区100人カイギ」スタートさせたのを皮切りに、渋谷区、新宿区、相模原市、つくば市、雲南市など全国各地へ広がっています。
100人カイギの一番の特徴ともいえるのが、「ゲストの合計が100人になったら会を解散する」ということ。100人の話を起点に、肩書や職種ではなく、「想い」でつながる、ゆるやかなコミュニティを作ります。

お問い合わせ
Kochi Startup BASE®️
住所:〒781-0084 高知県高知市南御座90-1 高知 蔦屋書店3F
運営:エイチタス株式会社 高知支社
Mail: ksb@htus.jp
Webサイト:http://startup-base.jp/



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高知 蔦屋書店内に開設された高知県初の共創型スタートアップ支援施設です。新規事業創造セミナーや起業家育成プログラムのほか、ワークショップの開催、貸しスペースの提供等を行っています。また自分らしい生き方や働き方を実現できるきっかけづくりを目指した様々なプロジェクトを展開しています。