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【ジャーナル】[Part3]こうち100人カイギ vol.14 吉岡 亮さん(合同会社 空中八策 代表)/和田 栄治さん(土佐塾中学高等学校 教員)


2019年1月よりKochi Startup BASEにて始まった「こうち100人カイギ」。
高知の様々な分野で活動するゲストを、毎回5人お呼びして、生き方やその思いについて語っていただいております。全部で100人になったら、終了なこの企画。

今回は、2020年10月27日(火)にオンラインにて開催された、vol.14に登壇いただいた5名、1人1人の話にフォーカスを当てています。

参加したくても参加できなかった方、この方のお話が聞きたかった、など様々な方に読んでいただければ幸いです。


<こうち100人カイギ vol.14の登壇者>
5名それぞれの話をもっと深く知りたい方は、こちらの記事もチェック!※お名前をクリックすると、その記事に飛べます。


大鳥 愛さん(Part 1掲載)

陶山 智美さん(Part2掲載)
竹村 俊斗さん (Part 2掲載)

吉岡 亮さん (Part 3掲載)
和田 栄治さん (Part3掲載)



4人目の登壇者は、合同会社 空中八策 代表の吉岡 亮さん。

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1989年(平成元年)1月31日生まれ31歳。 高知市生まれ高知市育ち。高知商業高校卒業後、兵庫県の大学へ4年間、岡山の建設業へ就職し6年間、合計10年高知を離れるも、2018年8月に高知へ帰りドローン専門会社 空中八策を設立。理念は「感覚の奥にある感動を引き出す集団」主にTVCMなどの映像制作、ドローンライセンス発行、ドローンによる点検業務、農業用ドローン販売などを行う。仕事では、まだ理解度が浅いドローンを駆使し、とにかく何でもチャレンジする事を心がけて生きるようにしている。趣味はドローン、カメラ、車バイク、音楽、家電、旅行、お酒、ゴルフ、みんなで何か作り上げる事。最近子供(現在1歳)が生まれ、溺愛中。


数字の奥にある感動を引き出す

かの有名な坂本龍馬と同じ学区内である、高知市上町で生まれ育った吉岡さん。学生時代は野球や柔道、ラップやスイミングなど様々なことに挑戦してきました。卒業後は岡山県の建設会社に勤め、ゴルフに明け暮れる日々。大学、就職と10年間を県外で過ごした後高知帰省し、現在はドローンを専門に取り扱う会社、『空中八策』の代表を務めています。「感覚の奥にある感動を引き出す集団」をコンセプトに、日々心に刺さることをする意識を持って仕事をしていると話しました。
『空中八策』では、ドローンを用いた映像制作や撮影業務はもちろんのこと、ドローンを用いたソーラーパネルなどの点検業務や、農業用ドローンの使用、体験会の実施など、ドローン専門職として、日々たくさんのお客様に向き合っています。
仕事以外にも『高知ドローン協会』を立ち上げたり、様々な経営者団体に所属したりなど、高知の未来についても考える日々を送っています。
今回は、普段吉岡さんがどんな気持ちを持って仕事をしているかということにフォーカスを当てて話してくれました。

どんどん飽きる大切さ

まず吉岡さんが挙げたのは、「飽きろ、目移りしろ」ということ。
「飽きる」という言葉は一般的にネガティブワードとして使われがちですが、『飽きる』という感情は、クオリティーを上げるための自然な感情であると吉岡さんは話しました。
飽きることは成熟したことの証明であり、余裕ができている状態。その状態に執着して、飽きているのにも関わらず続けることは惰性であり、良いものを生み出しているとは言えません。むしろ、飽きて目移りしながら、どんどんと新しい情報を入れていった先に、いつか飽きない何かに出会うことができると考えています。
吉岡さん自身も、今はドローンに関する仕事をしているものの、来年同じことをしているかはわからないと話し、自分自身もどんどん新しい情報を取り入れるようにしていると言いました。

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『1.1の美学』

次に、「嘘つきになりましょう」という衝撃的な一言に続けて、大事だと話したのは、「適度な背伸び」をすることの大切さです。
嘘つきになる、というのは、誰かを騙すことや、信用を失うことを推奨しているわけではなく、見栄を張って口にしたことでも、実現させることができれば嘘ではなくなる、という意味です。ある意味で恐怖のレッテル、ハッタリを自分で自分に課すことで、より上を目指して行動する原動力に繋がります。見栄やハッタリをうまく使い、達成するには、今の実力ではすこし厳しいと感じるくらいの、少し背伸びした挑戦が人生には大切だと言いました。
吉岡さんは、この少しの背伸びのことを『1.1の美学』と呼んでいます。1の力でやることを普通とすると、普通の状態から0.1力を抜いて行うのと、0.1背伸びをしてみて努力を重ねるのでは、最初は僅かな誤差であっても、10回繰り返すと、前者の値は9になるのに対し、後者は11と大きな差になります。できるかできないかの境目にある物事に取り組むには勇気も必要だという吉岡さん。多少の無理もありましたが、それ以上に大きく成長することができました。

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常に新しい景色をみるために

次に話してくださったのは、失敗についてです。
吉岡さんは、失敗には過失などのヒューマンエラーによる「怠慢による失敗」と実力不足や様々な試行錯誤をした上で上手くいかなかない場合の「挑戦が上手くいかなかった失敗」の2種類があると話しました。
この2つの失敗の違いは、見る人が見ればすぐにわかります。だからこそ、「挑戦が上手くいかなかった失敗」、すなわち、よい失敗をどんどんして、挑戦していくことが人生の醍醐味である、と言葉は続きました。
吉岡さんが今最も大事にしていることとして、「今に満足しない」ということ。「このくらいでいいや」という妥協で培ってきたものが、すべて崩れていきます。だからこそ、常に新しい情報や知識、経験を取り入れ、少しずつ背伸びをしながら常に新しい景色を見ていきたい、と力強く話してくれました。



5人目の登壇者は、土佐塾中学高等学校 教員の和田 栄治さん。

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1977年生まれ。高知県高知市出身。
東京の私立大学を卒業したのち高知に戻り、高校教諭として高知県立学校の教員を19年務めたのちに昨年度退職し、現職に至る。前職では「文科省指定のSGH(スーパーグローバルハイスクール)事業」の指定校にて研究主任をしながら、高知県国体成年男子バスケットボール競技のコーチとして指揮をとる。昨年度より「Tosa Educators Guild(TEG)」の共同代表として学校外での教育活動も開始している。

オマーンの正装をした先生

高知市出身で、学生時代は県外の大学で学び、卒業後は県立高校の教員として19年間働いていた和田さん。現在は、土佐塾中学高等学校で教鞭をとり、土佐塾まなび創造室の室長も務めています。
本題に入る前に身に着けている、あまり日本では見慣れない、特徴的な衣装について紹介してくれました。和田さんが身につけている衣装は、中東にあるオマーンという国の正装で、そのあまりのかっこよさと着やすさに惚れ込んでしまい、現地で3着も購入。今回のような登壇の機会だけでなく、普段学校で授業をするときにも、この服を着ていることが多いそうです。
そんな個性あふれる和田さんが設立から関わる、土佐塾高校の新しいコース、『まなび創造コース』は、令和3年度より新設され、新学習指導要領に掲げられている「主体的・対話的で深い学び」の場を提供します。


高知から日本の教育を変える

「高知から日本の教育が変わります」というタイトルを復唱し、本当に高知県から教育が変わると思っていてください、と力強い言葉から始まった和田さんのお話。
土佐塾中学の新しい『まなび創造コース』は入試からすでに、これまでの一般的な学校とは大きく異なっています。通常、入試というと、学力を測るものがほとんどですが、新コースでは受験時点の学力は問わず、自己PR動画の提出と面接を行います。動画の内容は、伝え方、理念、論理性、想いといった観点で評価します。
このような特殊な入試形態をとった背景には、「たった一回のテストの学力で子どもたちを測りたくない、むしろ、入試自体からも学んでほしい」という強い思いがありました。学校に入学してから学ぶのではなく、学校に入る前から学んでほしい、と言葉が続きました。

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自分で稼ぐことを学ぶ

授業のカリキュラムでは、特に『デザイン思考』という考え方を大切にしており、今まで言われていた学びの形や、学校という概念を壊していくような内容となっています。
例えば、これまで学校内部で完結することが多かった授業を、民間企業の方と一緒にプロジェクトとして行うことも企画されています。
特に和田さんが期待しているのが、4人目の登壇者である吉岡さん率いる『空中八策』と一緒に開催する『映像クリエイター育成プロジェクト』です。
このプロジェクトでは、ドローンなどを使った撮影や、動画の編集など、授業の中で映像クリエイターの育成をその道のプロが行います。将来的には、動画編集の技術を持った生徒が直接企業にPR動画を売り込み、お金を稼ぐ、ということも可能になります。
子どもたちがお金を稼ぐことは一般的にはタブー視されがちですが、お金を稼ぐとはどういうことかを知らないまま、社会に送り出すことはあまり良いことではない。だからこそ、民間企業の方が身を削って、子どもたちを育ててくれることは、本当に素晴らしいことだと和田さんは感じています。

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「だったらいいな」をすべて詰め込んだ学校

入試からカリキュラムまで、これまでの学校とは大きく異なっている『まなび創造コース』。卒業後の進路も様々で、海外大学への進学や、起業しそのままビジネスの世界へ進出する生徒が生まれる可能性も想定されています。
これまでの話を総括して、「学校がこうだったらいいな」と感じていた仕組みを全部のせしたのがこの新しいコースだと話しました。
理想は、6年間の学費をすべて自分で稼いだり、大学進学時点で副業を持った状態で卒業することなど。入ってきた学生が卒業する6年後に、僕がどんな顔をしているか、楽しみにしていてください。と笑って話を締めくくりました。



【総括】

ドローンを通じて、様々な企業や行政と関わりながら高知を盛り上げている吉岡さん。学生や他分野の組織とも連携し、その知識や能力をどんどん周りへと還元していく姿がとても印象的でした。最後に語ってくださった「今に満足しない」という心がけには、そんな吉岡さんの信念が現れていて、尊敬の念をいだきました。
和田さんは、これまでの教育に対する課題意識を持ち、高知から教育を変えていこうとする、力強い意志を感じました。そして自分自身がまさしく、常に学び続けているからこそ、「まなび創造コース」のような、これまでの常識を塗り替える取り組みができるのだと思いました。和田さんや、新しいコースの生徒たちがどんな活躍をするのか、とても楽しみです。

どちらも現状に満足することなく、常に変化し、学び続けることを忘れない意識を持って活動されているように思いました。今後もどんどんと進化し続けるお二人に目が離せません。


(レポート:檜山 諒)


100人カイギとは 
一般社団法人INTO THE FABRIC 高嶋 大介氏が「同じ会社に勤めていても、1度も話したことがない人がいる」と気づいたことをきっかけに、会社、組織、地域の"身近な人”同士のゆるいつながりを作るコミュニティ活動を始めました。 2016年六本木で「港区100人カイギ」スタートさせたのを皮切りに、渋谷区、新宿区、相模原市、つくば市、雲南市など全国各地へ広がっています。
100人カイギの一番の特徴ともいえるのが、「ゲストの合計が100人になったら会を解散する」ということ。100人の話を起点に、肩書や職種ではなく、「想い」でつながる、ゆるやかなコミュニティを作ります。


問い合わせ
Kochi Startup BASE®️
住所:〒781-0084 高知県高知市はりまや町3-3-3 GAIAビル2階
運営:エイチタス株式会社 高知支社
Mail: ksb@htus.jp
Webサイト:http://startup-base.jp/


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