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感情のない曲「Love for sale」の変遷

2年くらい前の再投稿のようになりますが、宜しくお願いします。コールポーターの曲について再び語りたくなりました。特にこの曲です。耳タコなのですが、最高です。


この曲を、シンガポールのCD屋さんで聴いて、ソフィーミルマンのファンになった話はすでにお話をしました。もう少し詳しくお話すると、この曲には、少し引っ掛かるところが多く、マイルスのカインドオブブルーでも聞いていましたので、知らないわけもありません。コールポーターの曲で、有名で、セシルテイラーも取り上げております。タイトルから分かるように、発表当時は、放送禁止になったいわくつきのものです。ビリーホリディでの歌もよく聞いておりましたが、タイトルから想像するような、貧民層の悲壮感もありません。また、怒りというものも感じることもありませんでした。でも、何か引っ掛かるものがありました。そんな時に、異国の地で聴いたのがこの曲でした。無神経で何故か醒めたものでした。それがかえってひきつけられていくものでした。先回の時に「ジャズで学ぶ英語の発音」中西・中川共著で英語の勉強の話をしましたが、その中に解答のようなものがありました。「感情のない曲」というものでした。感情がないからこそ、最も恐ろしく、最も悲痛に響くものであると。益々この曲が好きになりました。また、この本には次のようなものの記載もあります。Love for saleで「売り物の愛」です。Love on saleとは言っておりません。on saleとすると、将に売り出し中ですという、躍動感や今商売をしていますという人間の動きやお金への欲望というものが見えてきます。しかし、for sale であり、売るための、売り物の、としか言っておりません。冷たく静止画的な表現です。動きがなく、時が止まった現実を垣間見るようです。また、Who wants to sample my supply?ではなく、Who would like to sample my supply?という表現になっています。素直な直接的な表現ではなく、一歩引いたために余計に相手を誘惑しているような、ギスギス感がない表現です。but true loveという表現が、「真実の愛以外は」と言う意味であることも勉強になりました。こんな聴き方が出来るのもJazzの素晴らしいところだと思います。


最後にジャケットが好きなのでセシルテイラーも聴いて下さい。

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