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Cheek to Cheek

ジャズが面白いのは、その曲をクラッシックとは違い、色々な楽器で奏でたり歌があったり、色々な編成でやったり、色々なリズムでやり、その自由度がかなり広いところもあると思います。また、ジャズには、クラッシックと同じように対象とする曲が決められているということもあります。例えば、流行歌だとその歌手しか唄わないとか、流行りすたりも激しく、懐かしい曲ということで懐メロと言う位置ずけになってしまいます。その点、ジャズには、スタンダードというものがあり、ある程度の共通認識があり、そのうえで、アドリブがあり、また、少し原曲を崩してやったりして個性を発揮できたりします。
 では、スタンダードとは一体どのような曲を言うのでしょうか。一番、ポピュラーに使われているのは、ジャズの世界でミュージカルの中で唄われた曲などが多くスタンダードとして広く伝えられています。そのように、一般的にジャズのスタンダートと言われている曲を一曲一曲取り上げてみたいと思います。
 
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 今回取り上げる曲は、Cheek to cheek です。
この曲は、ポップス界のカリスマのレディガガと、ジャズ界のレジェンドであるトニ―ベネットが、ジャズのスタンダ―ドを集めたアルバムを最近発表致しましたが、そのアルバムタイトルになった曲です。レディガガが、ジャズを唄わせても上手であることにちょっと驚きました。

 そんな曲ですが、最初にこの曲の生い立ちについて紹介します。
この曲は、1935年に公開された「Top Hat」と言うミュージカル映画の中で最初に唄われたものです。1930年代は、映画がトーキーの時代にとなります。ブロードウエィのミュージカルが映画の世界に進出されはじめます。では、その原曲をご覧下さい。


アステアとロジャースの共演のミュージカル映画で二人で優雅に、チークダンスを踊っております。ちなみにチークダンスというと、おじさんたちは大変懐かしく、またドキドキ、ちょっとすっぱい思い出で少なからずあると思います。ゴーゴークラブあるいは、ディスコで激しい曲を踊っていると中休み的にチークタイムがあります。この時にチークダンスを踊ります。勿論、当時はペアでそのようなところに行かず、グループ交際です。ですから誰とペアを組むかと言うことが若いながらもかなり神経を使うところで勝負所でもありました。そんなチークダンスという言葉は、和製英語で、正しくは、cheek-to-cheek dance あるいは、slow dance と言うそうです。
  さて、この映画のあらすじですが、勿論ミュージカルですから複雑なスト―リ―はありません。ラブコメディーです。偶然ホテルで一緒になり、一目ぼれするのですが、既婚と勘違いをしてしまい、他の人と結婚してしまうのですが、結婚も司式の牧師が偽者であるために不成立となり、ハッピー・エンドとなります。アステアとロジャースの共演作中最高の評価を得、興行的にも大成功を博したそうです。1990年には、「文化的・歴史的および審美的にみて重要な映画である」として、アメリカ国立フィルム登録簿に登録されたそうです。また、2011年にイギリス国内ツアーで初演されて以降、ウエスト・エンドでも上演される等、世界中で多くの人から人気を集めています。 
 次に、作曲家について紹介いたします。

アーヴィング・バーリンです。作詞および作曲です。恐らく名前を聞いてもなかなかピンとこないかもしれません。しかし、「ホワイト・クリスマス」「ショーほど素敵な商売はない」「ゴッド・ブレス・アメリカ」等を作曲した人と聞けば、名前は知らなくても、曲は知らない人はないと思います。アメリカを代表する作曲家です。ジョージ・ガーシュウィンをして「アメリカのシューベルト」と言わしめた人物でもあります。
  歌詞の紹介に入る前に、ジャズで楽しく唄っているJane Monheit でのcheek to cheekを聴いて下さい。


 それでは、歌詞をご紹介いたします。

Cheek To Cheek
by Irving Berlin

Heaven, I'm in heaven
And my heart beats so that I can hardly speak
And I seem to find the happiness I seek
When we're out together dancing cheek to cheek

Heaven, I'm in heaven
And the cares that hung around me through the week
Seem to vanish like a gambler's lucky streak
When we're out together dancing cheek to cheek

Oh I love to climb a mountain
and reach the highest peak
But it doesn't thrill (boot) me half as much as dancing
cheek to cheek

Oh I love to go out fishing in a river or a creek
But I don't enjoy it half as much as dancing cheek to
cheek

Dance with me, I want my arm(s) about you
Those charms about you will carry me through...

To heaven, I'm in heaven
And my heart beats so that I can hardly speak
And I seem to find the happiness I seek
When we're out together dancing cheek to cheek

  天国、天国だね
  ドキドキして、声も出ない
  探している幸せが見つかりそう 
  ふたりでほほ寄せ踊っていると

  天国、天国だね
  1週間ずっと離れなかった
  気がかりは
  消えそう、勝ち続きの
  ギャンブラーみたい
  ふたりでほほ寄せ踊っていると

  山に登るのが好き
  頂上に立つのが好き

  でも、スリルは半分にも及ばない
  あなたとほほ寄せ踊るのに
  比べると
  魚を釣るのが好き 川釣りが好き
  でも、喜びは半分にも及ばない
  あなたとほほ寄せ踊るのに
  比べると

  踊ってよ 私の腕をあなたに
  まわしたい
  あなたの魅力は私を夢中にさせる

  天国、天国だね
  ドキドキして、声も出ない
  探している幸せが見つかりそう 
  ふたりでほほ寄せ踊っていると

歌詞および訳は、「ジャズで学ぶ英語の発音」中西・中川共著から引用しております。またこの本で、英語も勉強致しました。何故、歌詞がtalkでなく、speakなのか。talkは、楽しい会話であるけれども、ドキドキで言葉を発することが出来ないcan not hardlyのでspeakを使っているとか、同じ「周り」という言葉で、aboutを使わず、aroundを使うのは、恋心で彷徨っておりグルグル感を出している。heaven に冠詞がないのは、天国のイメージが固定してしまうので、好き勝手に想い浮かべるイメージのためとか、I want my arms about you.とあるが歌い手さんによっては、わざと単数形にして歌うこともあるそうです。そのような微妙な感覚をこの本で学びました。

次に曲について見てみましょう。
この曲の原曲のキ―は、Cです。
極めつけの、エラとサッチモでは、サッチモはA♭、エラはFだそうです。


現代のジャズボーカル女王はCです。


今回は、Cheek To Cheek でした。次回をお楽しみに。
ジャズって本当に楽しいですね。


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