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「人間の条件」考察

この本は、アンナハーレントの代表作である「人間の条件」である。
この本にはドイツ語版への焼き直しを翻訳されたものもある。
最初は英語版で出たが2年後にドイツ語版にしたものである。
最初に文庫本になっている英語版のものを読んだが良く理解できず、翻訳が悪いのだろうと思いこのドイツ語版を読んでみたが、やはり同じように分からなかった。
翻訳が悪いのではなく、自分の下地がないことが原因であることが色々と解説本を読んだりwebで調べたりして少しずつ理解が進み始め、それで英語版やドイツ語版を読んで見ると少しは理解できるようになってきた。
翻訳のせいではなかった。

今回改めてこの英語版をもう一度読み直そうと思った。


序論から入ったのではあるが、序論には、今まで気がつかなかった、エッセンスが相当散りばめられているのが理解できた。
序論が相当濃密であり、思わせぶりなどが味わえることが多いに分かったことは面白かった。
序論というものに著者の個性が物凄く出ることがわかり楽しかった。

さて、序論の書き出しは、科学技術の進歩についての記述から始まる。
これは恐らく人間の根本活動の内、制作もしくは仕事のカテゴリーに入ることを暗に示している。

序論なので労働、仕事、活動についての区分は明確にはのべられてない。
ただ、人間は人工的世界を根拠として、生物界との距離をとっていると述べている。
この科学技術をどのようにするかは科学者の問題ではなく、政治の問題としている。

人間の行いが経験し知る事柄が有意義であるのは、それらについて語る限りであるとしている。
しかも人間が複数形にて置いて存在する限り、語る事において何かしらの意味を生み出すものである。

次に近代社会が労働社会になったことをほのめかす。
この労働社会は人間の多様な能力を回復させない。
労働からの解放が労働社会へと推し進め労働がなくなってしまう労働社会の前途を嘆くことで問題の提起をしているように思える。

そこで本書で提示しようとすることを述べる。
われわれが知る限りこれまで人間が生活する際の条件なってきた当のものについての一種の省察としている。
そして活動しているときわれわれは何をしているかが、テーマといい放つ。

ギリシャ時代からの考察を行うが、人間の基本的能力はそう変わったりはしないとも宣言している。

そして、活動の分析として労働、制作、行為に分けて説明するとしている。
もう一つ、ギリシャの哲学者たちが真理を求めて行っていた思考については述べなく、活動について述べるとされている。

本書の内容が分かっていると序論もワクワクしながら読むことができる。

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