テレビを観てて思い出したこと

年始でたまたまコンビニ商品がプロに認めてもらえるか?という内容の番組を観て、自分の新卒時代のことを思い出しました。

私も商品開発の部門で研修を少し受けたことがあります。先輩方がいろいろなお弁当やお惣菜を考えて、自宅で作って持ってきて食べてもらっていたことなど思い出しました。

「ちょっと味見してみてー」
と白身魚のフライを食べさせてもらいました。美味しいとは思ったけれど白身魚のフライが好きではなかった私が、好きに変わるほどではありませんでした。そりゃそうですよね。先輩が自宅で作ってきた家庭料理ですから。ここから商品化するためにいろいろな部分を決めていくわけです。

先輩が気軽に持ってきてくれたので、自分の意見として「こんな難しい名前の料理を商品にしたりするんですねー」みたいなことを言った記憶があります。先輩は「そうそう、こんなのもたまにはね」と返してくれました。今思い出せば私は自分の意見をあまりはっきりと言えないところがあって、なんとなく相手の気持ちに反しないようにしていました。

ある日会議でお弁当の試食会をした時に、上司から感想を求められた時、美味しいと思うほどではありませんでした。さすがにそのまま答えられないので
「少し味が薄いような感じもします」
と必死に言葉を選びながら答えました。メンバーの中で新入社員なので一番目に当てられたのでみんな私を見ていたように思います。そして上司は私の意見に対してすぐに反論したのです。
「そうかな?俺は美味いと思うなあ。ちょうどいいと思うけどなあ」
そう言われるともう「すいません」としか答えられませんでした。

そこで、私より10歳くらい年上の先輩が、
「味は若い子には確かにちょっと薄いかもしれないぞ。まあ、ターゲットが年配者ならこれくらいでもいいかもしれないなあ」
とフォローしてくれた時には本当に感謝しました。こんなに気を遣っている私は当時は「小生意気な娘」として面倒な社員と思われていたのが笑えます。やみくもに反抗してるわけでもなくても、上司の意見と異なる発言をしただけで「小生意気」と噂される時代だったのです。

大切なひとつの意見も年功序列で消されてしまう世の中だったことは後になってわかる訳です。今の世の中なら年下上司もたくさんいるでしょうし、若者の意見も聞いてもらえるようになりました。だから社会はどんどん変化し上昇していったことが多かったのだと思いました。

昔のように上司や年配者が「神」であれば上司も相当勉強し努力していかないといけなかったでしょう。若者が追い抜き、ひっくり返していくことが許されない時代が続いていたらどうなっていたのでしょうか。

私の社会人時代はまだパソコンはありませんでした。ワープロを社内で交代で使う時代でした。ほとんどの社内文書は手書きコピーか、ワープロの使える女性社員に清書してもらって作成していた時代です。この頃からの社会の急成長は、若者の意見を取り入れてもらえるようになったからこそあるものなんだなあと思いました。優秀だったり変わっていたりする社員の意見を踏み潰すことなく受け入れてくれた上司や先輩社員に改めて尊敬の念が生まれました。

小生意気だった私は私なりに気遣いもしていたけれど、気づいてもらえることも少なかったので不平不満をよく口にしていました。でもそうではなかったんですよね。あらためて感謝申し上げます。そして私も若者の気持ちを汲み取ることを忘れないようにしようと思います。新しい者の成長を妨げれば、自分も成長できないということを番組を観ながら思った次第です。

私は自分が入社した会社を誇りに思っています。上司のことも愛おしく尊敬しています。
このような気持ちや真実に気づくまでに私は退社してから30年もかかってしまいました。まだ遅くないので残りの人生は今日のこの発見を生かして過ごしていこうと思います。

#ありがとう #若者#上司#テレビ番組#バブル#小生意気

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