ヴェール

私と世界がうまくやっていくためには、
擬態していく必要がある。

受け入れられるために少しでも、
自分を魅力的なものにしていく。
体重、髪型、服装、性格、顔、笑い方まで

自分らしさを求めては、無意識に理想を形作って、
ロールモデルとか、親に言われたとか、
言い訳をして、自分を見つけられないことに気づいてないふりをして普通が一番と、どこかで普通を探してしまっている。

目立たないようにはみ出ものにならないように、
好きでもないものの話題で盛り上がったり、
興味のないものを好きなふりをしたり、
上部だけの人間関係やその場しのぎの会話をする。
本当に全員が同じ気持ちではないのに、共感して話し続ける。過半数に合わせるように、あたかも自分が正常であるかのように。

この人はああいう人だから、って勝手に人のイメージを作る。あの人はもっとこうすればいいのに。
その人たちの奥深くまで知らない他人目線でみんな人のことをああだこうだ言っている。
人はみんな、勝手に人のこと決めつけて、
人にまで理想を作ってる。

自分というものをつくれていないほどに負担は大きくなっていき、代償とでもいうのであろうか、自分の本当の姿はもうどこかへ消えかかっていって、もがきあがいても見つからない。
どこにでもいる子になりたくない子がどこにでもいるように、自分というものを作ろう、見つけようとしていけばいくほど、いつのまにか自分というものの理想像がつくられて、もう自分には戻れなくなって、どこにでもいる取りあえ可能な存在になってしまうのだろう。

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