見出し画像

銀河英雄伝説を一気見したので魅力を語り尽くしたい

おはようございます。
伊達と酔狂だけで生きてきた男、こぶちです!

そう、今日のテーマはこちら。

じゃじゃーーん!(オーケストラ風に)

いやー…新年一発目のネタがこれとはね。銀河英雄伝説。
と言いますのも、正月休みに入ったときにまとまった時間ができたので、「なんか長編アニメを一気見したいなあ…」なんて思い、今まで手を出せそうで出せなかった銀英伝についに手を出したのです。

まあその結果…は言うまでもないですね。はい。案の定ドハマりしました。

結局のところ正月休みでは見終えることができず、暇を縫ってついにここまで漕ぎつけましたよ。いやあ、それにしても長いようであっという間でしたね110話!

今まで私のNOTEでは基本的にゲーム制作、もしくは創作に関わる話を届けて来たのですが、今回に限ってはもうただただこの感動が冷めやらぬうちに後世の歴史家(ほぼ私)のために記録を残そうという所存であります。
(今日はやたらと言い回しがくどいかもですがこれも銀英伝の影響故、どうかお許しください陛下…!)

まず最初に言っておきたいのが、この作品が最初に世に出たのは1988年。今から約30年以上も前にスタートしております。なので正直古臭い場面も所々ありますが、びっくりするくらいほとんど違和感なく見れます。
その理由は、この物語が人類の歴史そのものを表現しているからではないか、と私は思います。わずか30年ごときでかすむようなメッセージではないということですね。
もしまだみたことがない方は、ぜひ一度見て頂きたいです。1話でも見てしまえば、築けば110話まで行くと思うんで。ぜひ、PrimeVideo等でもみれますので、まずはぽちっとトライしてみていただきたい!

さて今回は多少ネタバレは含んでおりますが、核心的な部分はなるべく触れないように頑張りますので、どうぞ最後までお付き合いください!

1.主役の2人が……とにかくカッコイイ

基本的な物語の立て付けは、専制政治による統治をなす銀河帝国と、民主共和制を敷く自由惑星同盟という二国間の闘争の歴史です。そして帝国側にラインハルト・フォン・ローエングラム、同盟側にヤン・ウェンリーという主人公がメインに立ち、この物語の牽引役となります。

画像1

そのため、壮大な歴史物語でありながらもそれぞれの主人公の視点で追いかけることができるので、とてもわかりやすくそして感情移入できるつくりになっています。

ラインハルトは若くして秀でた才覚を持ち、高潔にして野心があり、かつどこか脆さを感じさせる危険な魅力があります。かたやヤンは飄々としており一見頼りなさげだが「戦場の魔術師」と呼ばれるほどの知才の持ち主で、これまた逆境から成果を上げ続けることで自身の望みとは裏腹に国家の代表として周囲から持ち上げられていきます。その対比がとても面白く、どちらも応援したくなるのですが、一方でいずれは雌雄を決さねばならない、という状況が見る側を常にハラハラドキドキさせるのです。

2.どこもかしこもおっさんだらけ……でもカッコイイ

この手の群像劇といいますか、歴史物は演出が固くなりがちなのですが、この二人の主役をとりまくキャストがまた個性豊かで、その物語を親しみやすいものへと消化してくれています。

そして…見た人ならわかると思いますがとにかくおっさんが多いです。これも時代なのでしょうね。今ならキャストにもっと女性を出さないと批判を浴びたりするでしょうが…
ただこの作品に関していえば、軍人や政治家に男性が多い方が人類の歴史を描くうえではリアリティを感じます。

画像2

あっちもおっさん。こっちもおっさん・
でも何が一番ショックかって、みんなわいより年下なんやで…

3.言い回しがいちいちオシャレ

そしてその魅力的なキャラクターたちを伝えるうえで最も欠かせないのがこの会話劇。特に銀英伝の会話はアニメ史上屈指の語彙と比喩…そして皮肉!

こんな動画が作られるぐらいですからね↓

上記の動画にもたくさん出てきますがコンビの会話劇というのが特に銀英伝の魅力のひとつです。私の好きな組み合わせはベタですがこの辺。

・ロイエンタールとミッターマイヤー (熱き友情!)
・ヤンとユリアン (頭良い人同士の会話ってこんなんかーぽわわーん)
・ポプランとアッテンボロー (不毛な争いw)
・キャゼルヌ夫妻 (こんなできた妻に私はなりたい)

あたりですかね。聞いているだけで何だか賢くなった気分になるような言葉の応酬には毎話楽しませてもらいました。

そしてさらにここで私のお気に入りの銀英伝フレーズもいくつか挙げておきます。

・「御意」 (かしこまりました、だけでなく『陛下のご意見』という意味合いで使われてたのが新鮮だった)
・「これも給料のうち」&「年金暮らし」(ヤンの決めセリフ!)
・「伊達と酔狂」 (なんだかよくわからないけど粋な雰囲気だけは伝わった!)
・「後世の歴史家」 (自省の念を込めて使うのが通)
・「●●さえ生きていれば」(たらればだって…わかってるんだよ…でも…言いたくなるんだ…!)
・「それがどうした」 (汎用性高し)
・「銀河の歴史が、また1ページ」 (これさえあれば何事も締まる!)

4.耳でも楽しませてくれる!

さらにさらに! 目だけでなく耳でも楽しませてくれるのが銀英伝の素晴らしいところ。

まず、上記の気の利いたセリフをしゃべる声優陣の…なんたる豪華なことか!

豪華さもさることながらその物量も半端ない

決して声優には詳しくない方ですが、そんな私ですら声を聴いた瞬間「アナゴさんや!」「まる子の父さんや!」とすぐ気づくような名優ぞろいなのもこの作品の贅沢なところ。そんな名優に上記の選りすぐりの言葉たちを華麗に並べられた日にゃ……もうそりゃヨダレものですねはい。

個人的には堀川亮さんが出すラインハルトの凛々しくも鋭い声、若本規夫さん演じるロイエンタールの気迫が籠った声、そして屋良有作さんによる事実を淡々と述べるはきはきとしたナレーション、どれもこれも個性が際立っていて好きでした。他にも挙げたらきりがないのですが、みんなすごく癖があるので近年のアニメでは味わえない独特の雰囲気がやっぱりあるなーと思います。

そして音楽もそそるものがあります。至る所でクラシックの名曲がかかり、アニメとは思えない壮大さを引き立ててくれます。オープニングも全編英語の歌詞(決して発音がいいとは言えませんがそこはご愛嬌)で一線を画す雰囲気を冒頭から醸し出していました。

そして何よりも私の心を震わせたのは、エンディングテーマ、小椋佳さんの歌たちです。あの歌詞にあの声質、そしてメロディがとにかくたまらない!

毎回激動の1話が終わって頭の整理をするための余韻に浸りたいときに流れるので、そんなときにあの優しい歌声がすっと心に染みわたっていくんですよ。
中でも私は3シーズン目の「歓送の歌」が大のお気に入りです。エンディングテーマはシーズンごとのメッセージをさりげなく表現してるんですが、特にこの3シーズンめのEDは……ああ……もう思い出すだけで泣けてきそうや…

このユリアンの表情が…たまらなく心をえぐるのです…わかりますよね?

…取り乱しました。次行きましょう!

5.組織マネージメントについて考えさせられる

戦争が落ち着いていくにつれ、特に帝国側の人事にクローズアップする展開が増えるのですが、これもまた地味ですが面白いです。

私自身の境遇と帝国の皇帝を比べるのも大変おこがましいのですが、私も会社に長く勤めておりますと、まあチームでメンバーを率いたり、会社で後輩を指導したりする立場も少なからずあります。

そうなったときに初めて理解できる…「ラインハルトの苦悩」。

画像3

いやね、私とラインハルトを比べることなど月とすっぽん、どの口が言ってんだと総ツッコミを銀河の星数ほど受けること承知の上なんですが、あえて言わせてください。

どんなに優秀な人間であっても、全てを自ら直接管理することはできません。誰かに仕事を委ねる必要があります。そして部下はひとりひとりに個性があり、みなそれぞれ一長一短があります。
それ故に誰をどこに置き、何をさせるかというのは組織の存亡に関わります。その判断の何たる悩ましき…そして未知たることか! 下手な人事をすれば部下の士気が下がるようなこともざらです。「オーベルシュタインの下なんかで働きたくねえ!」でおなじみのヤツですね。

作中ではラインハルトはあの若さにも関わらず、結構うまく適材適所で采配をしていたように見受けられました。本当さすがです。帝王学とかで学ぶんですかね?「ラインハルト式マネージメント術」とかあったら絶対本買っちゃうんですけど。

でも、そんな中でもやっぱりこう人格に癖があるオーベルシュタインとか、絶対に悪だくみしかしてないとしか思えないラングとか、そういう人間も置かにゃならんですよ。それが現実社会。誰もが知る会社の中間管理職の悩みを映し出したような展開が帝国内でも繰り広げられていたりして、そこに注目して見るとさらに楽しめるんですよね。
過去にアニメを既にみたという方も、当時の自分では気づかなかった魅力に出会えるかもしれません。二十代の頃は部下目線で見ていた方も、三十、四十となると上司的な目線で新たな発見があるはずです!これも銀英伝。

6.歴史・政治そしてマネージメントの勉強になる!

この作品のメインコンテンツたらしめる戦争であり、政治であり……人間社会の描写。そこには人類史に関する知識がふんだんに詰め込まれています。
そして至る所にそれこそ学生の頃に社会の授業でなんとなく耳に入ってきたものの、なんとなくかすんで消えていった言葉たちが数多く登場します。

代表的な事例を下記にいくつかあげます。(にわか仕込みの知識故多少の拡大解釈があるやもしれませんがご容赦ください^^;)

「戦略」と「戦術」

「戦略」とはいわゆる大局における策略であり「戦わずして勝つ」ための知略であり、政治的な対応とも言い換えることができます。
一方で「戦術」とはいわゆる局所的な攻略法を指します。我々は日常でなんとなくこの言葉を使ったりしますが、結構意味が異なる言葉だったんですね。
特に「戦略的な勝利」とか「戦術的な勝利」とかいう言葉をこの作品ではよく耳にします。戦術的勝利を得たところで戦略的勝利にはつながらない、みたいな揶揄に使われたりもします。しかし局所的な勝利が大局を打開することもあるのが戦いの面白いところです。特にヤン・ウェンリーはまさにこの戦術をもってして戦略とする男でした。この快進撃も銀英伝においてとても痛快な展開です。

一方のラインハルトは強大な戦力を有するが故に強者の戦略を取ることが展開としては目立つものの、困難な局面に立たされることが多く、ヤンに煮え湯を飲まされ続けます。
また戦略的な勝利こそが彼の求めるゴールなはずなのですが、例えばオーベルシュタインが突きつける正論に対し、素直に悩んだりする。割と人間ぽい反応をすることが多いのもラインハルトの魅力的なところです。どんな優秀な人物であっても、だからこそ美しく勝つ、フェアに勝つ、といったエゴにこだわったりしてしまうので、人間とは不可思議な生き物なのだなあとこの作品をみているとつくづく思います。

米ちなみにここまで読み進めた人には蛇足かもしれませんが、こういう戦略とか戦術の理論に興味がある人は「ランチェスターの法則」とかを調べてみるともっと楽しめると思います!

「テロが歴史を動かすことはない」

 テロ。これは現代においても色あせない、センシティブな話題ですね。故に取り上げるか悩んだのですが、どうしてもこの作品を語る上で外せないので勇気を出して触れることにしました。

この言葉はその意味以上に深い意味を持ちます。なぜなら作品の中では自戒の意味も込めてこう発せられているからです。
作中でテロはたびたび起き、そして人々の命を奪い、大きな哀しみをもたらします。作品の中の大きな転換点にも関わります。ですが一方でそれを受けた人々または国家が復讐心のみ侵されてしまえば、その不幸の連鎖を断ち切ることができなくなってしまいます。憎しみと戦いながらも、世界の秩序のために故人の遺志を掬って次の未来へつなげる、といった決意のリレーのようなものが、この長編作品の中でとても胸をうつメッセージのひとつとなっています。

「民主政治」と「専制政治」

はっきり言って今の時代でこうして平和に生きている我々にとって、この対比ってピンとこないと思うんですよ。そりゃあ今、地球上に帝国なんてもうどこにもないですからねえ。民主主義ってフツーのことでしょ?選挙ってフツーやるもんでしょ?みたいな。

でもこの作品に出会ったことで、私はあらためてこの「民主政治」というものは当たり前にそこにあるものではなかったのだなと、我に返りました。
自分は今、自分自身で未来を選び取ることができる環境にいるが、それを勝ち取ることは簡単ではなかったのかもしれないと。そのために過去に戦った人々の歴史が今の我々を形作っているのだ、と感慨深い気持ちになります。

一方で、今日の私たちは果たして民主主義だから幸福に暮らしていると胸を張ってい言えるのでしょうか? あまり過激な話をしたくはありませんが、みんな普通の生活をしている中でも、決して手放しで幸せでーす!安泰でーす!と言える人はきっと少ないと思うんですよね。そして銀英伝はその警鐘すらも未来を予測するかのように、鳴らしています。

例えば自由惑星同盟側では、たびたび私利私欲にまみれた政治家が、国家そして民衆をよからぬ方向へと導いてしまう様が描かれます。あるときクーデターによって軍部が政治中枢を乗っ取る展開が描かれますが、ヤンはそこに対して同調しません。なぜなら軍隊とは厳密には民意を代表する組織ではないからです。
またさらに物語が進むと、今度は腐敗した政治家たちの失政により国家が帝国侵略の危機によりいっそうさらされるのですが、ヤンは皮肉を吐くことこそあれ、最後まで国家の決定に従い背くことは決してありませんでした。戦争に勝てるかもしれない、となったその直前ですら彼は国家に従い進軍を止めました。それらは、政治家の判断とはすなわち国民の判断であるという強い信念を持っていたからです。それこそが民主主義なのだと。
ですがヤンはその民主主義を守ろうとするも、民主主義によって選べれた政治家によって、自らの立場を追い込まれていってしまいます。
一方で独裁制ともいえる銀河帝国を統べたラインハルトは誰よりも民衆のための政治を行い、その支持を得ていました。つまり独裁でありながら、民主的であったのです。すごい皮肉ですよね、これ。
ヤンはその状況に対してジレンマを語るシーンがいくつかあるのですが、これもとても考えさせられるシーンでした。

我々が社会で勉強した「この国は●●主義だよ」、とかいう情報。上辺だけとればそういう考えの人達なのねーと思うだけなのですが、人民と国家、つまり心と体は常に人類の歴史上一心同体ではないのです。心も体も常に変化し続ける中で、国家が存続し続けることがいかにギリギリのバランスで保たたれているかがわかり、貴重な学びでした。

そして何より30年前のアニメが、その時代の変遷、人類の歴史を捉え、学びに替えるメッセージを孕んでいたことに、私はとてつもない感動と衝撃を受けています。
ヤンがいつも自分は歴史家になりたかったと(後にユリアンも)言うのですが、後世にこの歴史の変遷を伝えること自体が、人類の未来に最も寄与する事業であると信じて疑わなかったことに、私は尊敬の念を禁じ得ません。

だからこそ私はたまたまにせよ、今回このタイミングで「銀河英雄伝説」を見たことに感動を覚えたのだと、大げさながら思っています。

最後に

「サピエンス全史」というベストセラーを書いたユヴァル・ハラリという社会学者(ある意味ヤンの憧れたような現代の歴史家!?)がいます。そのハラリ氏の言葉に人類の最大の発明は「フィクションを作りあげ、それを信じ、他者と共有できる」ことだ、というものがあります。

まさにこの「銀河英雄伝説」はフィクションであるもの、我々の生きて来た「現実」から導き出された物語なのではないでしょうか。そしてあらためてエンタメというものは下手な教科書より学びになることがあるのだな、と思いました。

さて……長々とお付き合い頂いてありがとうございました。自分でも見返して想像以上の字数に自分でドン引きしております。最後の方はなんかもう何の活動家やねん、ていうメッセージになってますがw

何はともあれ、私の感動はみなさんに伝わったと信じたいですね。繰り返しになりますが、作品を見たことがない方、これを期に視聴してみて頂ければ幸いです。
私はまだ銀英伝ロスが止まらないので、外伝とかにも手を出しそうな気配です笑(PrimeVideoが全外伝対応してくれればいいのになー)

また今後もこういう銀河の星の一粒のような感動的な作品を掴み取ることができれば、時折紹介できればと思います。そのときはまたどうか見放さずお付き合い頂ければと思います!
あとこんな私にハマりそうな作品など、おすすめあったらぜひ教えてくださいね。

それでは、最後はこの言葉で締めくくります。

Noteの歴史が、また1ページ…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?