見出し画像

”実家じまい”の第一歩。両親と老後について話してみよう

実家を処分し、利便性のいいコンパクトな住まいに両親が住み替えたことで、実家の片付け問題、遠距離介護問題、高齢者ドライバー問題、お墓の問題etc.を一気に解消した実話コミックエッセイ『両親が元気なうちに“実家じまい”はじめました。』から、抜粋記事をお届けします。

実家じまいをして東京に移住する。
それは、長年大分で暮らしてきた両親にとっては当然ながら大きなことでした。

マンガ(註:『両親が元気なうちに”実家じまい”はじめました。』)の中では割とスムーズに決意したように見えるかもしれませんが、本当に決心して行動に移すまでには様々な葛藤があったのです。

お金や仕事の不安はもちろんですが、それ以上に両親が言っていたのは「子供たちの帰る場所がなくなること」への心配でした。

それでも、弟が言った「お父さんとお母さんには、俺たちを気にせず、2人の人生を歩いてほしい」というひと言が後押しになり、両親は実家じまいと移住を決意したそうです。もちろん、私も弟と同じ気持ちでした。

両親は、生活費だけでなく、私たちの教育費や祖母の介護にかかるお金を稼ぐために、ずっと働いてきました。自営業でしたから、朝から晩、土日も祝日も関係なく働いてきた姿を私たちは見てきました。

自分たちがやりたいことも贅沢したい気持ちもきっとたくさん我慢してきたにちがいありません。

でも、今は、私も弟も自立し、それぞれの人生を歩んでいます。
だから、もうこれからは両親にもやりたいことを存分にやってほしい。住む場所も、暮らし方も、生き方も、好きなように選んでほしい。心からそう思ったのです。

両親は本当の思いにフタをしているかも


自分の親は実家にいるのが当然と思っている人、実は多いかもしれません。

もちろん、長年住み慣れた場所だから暮らし続けたいという親御さんも多いと思います。

でも、もしかしたら本心では「どこか景色のいい場所でゆったりと暮らしたい」とか「都会のマンションに住んでみたい」と思っているかも。
うちの両親と同じように「離れて暮らす子供の近くで暮らしたい」と考えているかもしれません。

にもかかわらず、子供たちに迷惑をかけたくないから、歳をとってから夢みたいなことを言っていられないからと、ご両親は自分たちの本当の思いにフタをしてしまっているかもしれません。

それなら、子供である私たちの方から、ご両親の思いを引き出してみませんか?

ご両親と日頃から直接話す機会が多く、割となんでも相談しているような関係性であれば、

「いつかは子供と同居したいと思ってる?」
「実家はいつか処分するの? 私たちに戻ってきてほしいと思ってる?」
「老後、子供と離れて暮らして不安なことはない?」
「免許を返納した後、今の家だと大変じゃないかな?」

など、単刀直入に聞いてみてもいいかもしれません。

両親にも両親のこれからの人生がある


いきなりそこまで話すのが難しい……という人なら、例えば、近所の分譲マンションのチラシなどをきっかけにして「10年後はどこか別の場所に住んでいたい?」とか「マンション住まいに憧れる?」という話をしてみるのもありかも。

そこからご両親の将来の理想の暮らしを探ってみるといいかもしれません。

日頃、あまりご両親と直接話す機会がなく、具体的な思いや不安なことを聞きにくいのであれば、お正月やお盆など家族みんなが集まっている場で「10年後、どんな生活をしていたいかみんなで言い合おう」と将来の理想の暮らしを語り合ってみるのもおすすめです。

例えば「人生ゲーム」など、未来の暮らしをイメージさせるようなゲームを家族で楽しみながら話すのもいいかも。ただ、こういった場ではそれほど具体的な話はできないかもしれませんが、ご両親の思いや考えに触れることで、今後どのように両親とコミュニケーションをとるべきかを考えるきっかけになると思います。

子供たちが自分の人生を歩んでいるように、両親にも両親の人生があります。
子供の都合で縛られる必要はありません。
一度、実家で暮らすご両親に本音を聞いてみてはいかがでしょうか。