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日本絵画(近世まで)

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#古寺巡礼

大名茶人 織田有楽斎 /サントリー美術館

 有楽斎こと織田長益(ながます)は、織田信長の13歳下の異母弟。  さしたる戦功はないもの…

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いざ北鎌倉 〜宝物風入(かぜいれ):1 /円覚寺・建長寺

 金沢文庫の駅から乗車し、逗子でJRに乗り換えて、北鎌倉を目指した。11月3日、文化の日のこ…

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廃墟とイメージ ─憧憬、復興、文化の生成の場としての廃墟─ /神奈川県立金沢文庫

 18世紀のヨーロッパでは「廃墟画」と呼ばれる絵画が流行した。古代ギリシャ・ローマの昔に思…

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あの世の探検 ー地獄の十王勢ぞろいー:1 /静嘉堂文庫美術館

 静嘉堂所蔵の仏教美術を一堂に展示する、丸の内移転後としては初の展覧会。  タイトルにあ…

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国宝「黄不動明王像」 里帰り特別公開 /京都・曼殊院門跡

「曼殊院(まんしゅいん)といえば黄不動」というくらいに著名な尊像であるが、そういえば、…

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鹿島と香取:3 /茨城県立歴史館

(承前)  かねてより拝見したいと思っていた作品にも、出合うことができた。  香取神宮が…

蟹と応挙のまち・兵庫県香美町:8

(承前)  応挙らの襖絵が客殿に戻されたのは、神戸新聞によると「原物を配した客殿の仏教空間を超高解像度のデジタルデータで記録する」ためとのこと。きょう3月16日からはもう、収蔵庫におさめられてしまう。  同じ記事中にある、副住職の言葉が重い。  この一節から「これは行かないとまずいな」と悟ったのであった。そしてこのとき、同時に「もしかすると……」という予感もしていた。  大乗寺客殿は、当時の建物と障壁画がまるごと現存するのみならず、その完成度がきわめて高い。現在、襖と壁貼

蟹と応挙のまち・兵庫県香美町:7

(承前)  大乗寺客殿の2階は、オプションでの公開だった。  2階へたどり着くには、人ひと…

蟹と応挙のまち・兵庫県香美町:6

(承前)  応挙の弟子たちが描いた残り10室について、1階の東側から南側、さらには2階へと、…

蟹と応挙のまち・兵庫県香美町:5

(承前)  北西端の「芭蕉の間」。  人格者で子宝に恵まれた中国・唐時代の武将・郭子儀(…

蟹と応挙のまち・兵庫県香美町:4

(承前)  大乗寺ではデジタルアーカイブの取り組みを早くからおこなっており、次のようなペ…

蟹と応挙のまち・兵庫県香美町:3

(承前)  昨秋、ひっそりとはじまった「応挙寺」こと大乗寺の特別公開。今年に入ってから、…

つくりかけの塔、こわれかけた塔 ~古建築の転用について:番外編

(承前)  「つくりかけ」でなければ「こわれかけ」でもない。  タイトルからは外れてしま…

京都・智積院の名宝:3 /サントリー美術館

(承前)  智積院は、真言宗智山派の総本山。高野山や根来寺の流れを汲む真言の名刹にして、教学で名を知られた寺だけに、その歴史を物語る仏教美術・古典籍にも名宝がある。  鎌倉仏画の《孔雀明王像》(重要文化財)ほか、中世仏画にとくによいものがあったが、より興味をひかれたのは仏教工芸。つい昨年末の開山忌で使用され、後期展示からラインナップに加えられたものなど、現役バリバリの仏具が含まれている点がよかった。  《根来塗舎利塔》(17世紀 江戸時代)は、仏事の中心にあったもの。非常に