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日本絵画(近世まで)

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記事一覧

画鬼 河鍋暁斎×鬼才 松浦武四郎:2 /静嘉堂文庫美術館

(承前)  古物のコレクターであった松浦武四郎。愛蔵品に囲まれて昼寝に耽るさまを、不遜に…

テルマエ展 お風呂でつながる古代ローマと日本 /パナソニック汐留美術館

「テルマエ」とは、古代ローマの公共浴場。厳格な階級社会のガス抜き策として、市民に広く提…

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大名茶人 織田有楽斎 /サントリー美術館

 有楽斎こと織田長益(ながます)は、織田信長の13歳下の異母弟。  さしたる戦功はないもの…

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サムライ、浮世絵師になる! 鳥文斎栄之展 /千葉市美術館

 鳥文斎栄之(ちょうぶんさい・えいし)は、浮世絵の黄金期に美人画で活躍し、喜多川歌麿と鎬…

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大倉集古館の春 ~新春を寿ぎ、春を待つ~:2 /大倉集古館

(承前)  1階の展示は「新春を寿ぎ」に徹した内容となっており、2階の展示室で「春を待つ」…

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やまもとの至宝・飛鳥時代の大刀と馬具:1 /山元町歴史民俗資料館

 イチゴの名産地・宮城県の山元町(やまもとちょう)。南は福島との県境に接し、東は太平洋に…

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〈新春スペシャル〉2023年の鑑賞「落ち穂拾い」:4

(承前) ■鴎外の食 /文京区立森鴎外記念館(7月9日)  森鴎外は、なにを食べていたのか?  よく知られる好物が「饅頭茶漬け」だ。  高校生の時分、興味本位で再現したことがある。同じく米と餡を使った「おはぎ」があるくらいだから、“甘いご飯” への抵抗感さえ取っ払ってしまえば、そう違和感はない。もっとも、違和感がないというだけで、あえて一緒に食べなくてもいいかなという感じだったが……  こちらの食品サンプルをはじめ、鴎外や身近な人びとが書き残したなかから、食にまつわる記

激動の時代 幕末明治の絵師たち〈後期〉:3 /サントリー美術館

(承前)  この展示には、美術史の狭間に取り残された幕末・明治の魅力的な作家たちを掘り起…

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激動の時代 幕末明治の絵師たち〈後期〉:2 /サントリー美術館

(承前)  本展でとりわけ大きく扱われる作家・安田雷洲の《捕鯨図》(江戸時代・19世紀 歸…

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葛飾応為『吉原格子先之図』 ー肉筆画の魅力:1/太田記念美術館

 葛飾北斎の三女・お栄こと葛飾応為(おうい)。  杉浦日向子『百日紅』をはじめ、彼女にス…

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皇室のみやび 第1期・三の丸尚蔵館の国宝:2/皇居三の丸尚蔵館

(承前) ■伊藤若冲《動植綵絵》  江戸時代・18世紀 30幅のうち4幅  いわずと知れた、…

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皇室のみやび 第1期・三の丸尚蔵館の国宝:1/皇居三の丸尚蔵館

 昭和天皇の崩御後、皇室伝来の美術品が国庫に入り、その管理・公開をする「宮内庁三の丸尚蔵…

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臥遊―時空をかける禅のまなざし:3 /慶應義塾ミュージアム・コモンズ

(承前)  展覧会名の頭には「常盤山文庫×慶應義塾」とある。鎌倉山・常盤山文庫のコレクシ…

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臥遊―時空をかける禅のまなざし:2 /慶應義塾ミュージアム・コモンズ

(承前)  展示室に入る前に「展覧会の巡りかた」が。本展の鑑賞にあたっては「トリセツ」が用意されているのだ。  慶應義塾ミュージアム・コモンズの展示では、ほぼ毎回、作品図版や解説を掲載した小冊子が無償で配布されている。  デザインも凝っており、研究活動にもとづく情報がびっしりの内容。ふつうにお金がとれるくらい、というかこちらから「払いますから……」と申し出たくなる出来で、いつも恐縮しながらいただいていた。 (そういえば、今回の展示作品の半分くらいがもともと所蔵されていたセ