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藤牧義夫

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記事一覧

版画の青春 小野忠重と版画運動:4 /町田市立国際版画美術館

(承前)  藤牧義夫の作品が集中する一角から視線を移したすぐ隣が、また魅力的であった。3…

版画の青春 小野忠重と版画運動:1 /町田市立国際版画美術館

 本展には、長い副題がついている。  メインとサブのタイトルが示すとおりに、本展は小野忠…

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MOTコレクション「歩く、赴く、移動する 1923→2020」:4 /東京都現代美術館

(承前)  藤牧義夫の版画作品《サイレン(火の見櫓)》(1929年)。  鉄塔や鉄橋、鉄道施…

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MOTコレクション「歩く、赴く、移動する 1923→2020」:3 藤牧義夫 /東京都現代美術…

(承前)  藤牧義夫《隅田川両岸画巻》は「移動する」ことの愉しみに満ちている。  そして…

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藤牧義夫と館林:18 『眞偽』のこと② /館林市立第一資料館

(承前)  館林市立第一資料館「藤牧義夫と館林」展に関して気がかりだったのは、同館が所蔵…

藤牧義夫と館林:17 『眞偽』のこと① /館林市立第一資料館

(承前)  これまで16回にわたって書き綴ってきた「藤牧義夫と館林」。  思いのほか長くな…

藤牧義夫と館林:16 地図にない碑 /館林市立第一資料館

(承前)  前回「ゆかりの地めぐり」を称しながら、大事なところが抜けているではないか!……とお気づきの方もいらっしゃったかもしれない。つつじが岡公園内に立つ「藤牧義夫版画碑」である。  建立の経緯は『君は隅田川に消えたのか』に詳しい。いまとなっては “いわくつき” の碑ゆえに、「ゆかりの地」とは少し違うかなとも思い、別枠での紹介とした。  金属分の白い汚れが哀愁をそそる。建立当時は碑の向こう側に城沼が見え、絵と突き合わせられたようだが、現在は樹木が生い茂って見えない。  

藤牧義夫と館林:15 ゆかりの地めぐり /館林市立第一資料館

(承前)  ちょいちょい小出しにしてきたように、館林市立第一資料館「藤牧義夫と館林」観覧…

藤牧義夫と館林:14 白描絵巻の来歴③ /館林市立第一資料館

(承前)  《隅田川絵巻》の源流をたどっていくと、故郷・館林の城沼(じょうぬま)に行き着…

藤牧義夫と館林:13 白描絵巻の来歴② /館林市立第一資料館

(承前)  “藤牧義夫の《隅田川絵巻》全4巻” といった言われ方をされることがある。Aの庭…

藤牧義夫と館林:12 白描絵巻の来歴① /館林市立第一資料館

(承前)  藤牧義夫による白描の絵巻は、計4巻分が現存している。  以上の作品名称は今回…

藤牧義夫と館林:11 藤牧義夫の「編集力」⑦ /館林市立第一資料館

(承前)  《隅田川絵巻》は細密には違いないけれど、現実の風景を少しも洩らさず克明に、写…

藤牧義夫と館林:10 藤牧義夫の「編集力」⑥ /館林市立第一資料館

(承前)  葛飾北斎の絵本《隅田川両岸一覧》は《隅田川絵巻》の着想源のひとつといわれてお…

藤牧義夫と館林:9 藤牧義夫の「編集力」⑤ /館林市立第一資料館

(承前)  古美術の鑑賞に馴れ親しんでいると、《隅田川絵巻》の、絵巻の体裁をとって風景を描きつらねていきながら、季節や時間を感じさせる描写が明確にみられない点が引っかかるもの。  肖像画でもないかぎり、日本絵画では、なにがしかの季節を感じさせる事物が描きこまれる。絵図のような記録性の高いものにすら桜が咲き、紅葉をみせるほど。絵巻や屏風のような大画面の作例ともなると、四季折々の風物を異時同図で同居させることが珍しくない。ところがこの長大な《隅田川絵巻》には、そういった要素が見