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岡山まで行って男に捨てられた話

大学もいよいよ卒業まで3ヶ月を切ったという頃、久しぶりに彼氏ができた。

その人は4つ年上で、出会ったのは私が高校生のときだった。アルバイトで一緒になって、その人は当時大学生だった。優しい人だなとは思っていたが、その頃はあまり関わりもなく、シフトが被ったら少し話す程度だった。

私が適当な理由をつけてバイトを辞めてからは一切連絡をとっていなかったが、5年後、友人を通してその人の連絡先を知る機会があった。もうその人は社会人になっていて、営業の仕事で岡山に赴任しているようだった。

久しぶり〜で始まったLINEはそのまま1ヶ月以上続き、その人が年末年始にこっちに帰省するというので、初詣も兼ねて二人で会うことになった。

再会したその人は、5年前と変わらない穏やかな人だった。明治神宮に初詣に行って散歩をして、お酒を飲んで色んな話をして、帰り際「付き合ってください」と言われた。「5年ぶりの再会からの交際」というシチュエーションに酔いまくっていた私は二つ返事でOKした。

そこから遠距離恋愛が始まり、LINEやテレビ電話などで仲を深めた。1ヶ月ほどして、大学生の私は時間を持て余していたので、彼氏に会いに岡山まで遊びに行くことにした。

岡山で彼氏と合流して、岡山を観光した翌日は広島に遊びに行った。喧嘩もなく、初詣デートのときと同じように穏やかで楽しい時間が流れた。
あまりの順調な交際に、私はどっかで見た漫画アプリの広告の女のように「こりゃ結婚も時間の問題だわ…就職する必要ないか?」なんて考えたりもしていた。

翌月、まだまだ時間が余っていた私はまた彼氏に会いに岡山に遊びに行くことにした。彼氏にもきちんと新幹線の時間を伝え、「迎えに行くよ!」という返事も返ってきた。


しかし彼氏は来なかった。


私が岡山に着いた途端に連絡が途絶え、LINEも電話も一切繋がらなくなった。最初は何かあったんじゃないかと心配になったが、しばらくして捨てられたことに気がついた。
いや〜いくらなんでも突然すぎるな〜、どうせ捨てるなら新幹線乗る前にしてほしかったな〜、なんて一通り考えたりはしたが、まあでも岡山まで来ちゃったので、折角だからとりあえず観光して帰ることにした。

一人で倉敷を散歩して、駅前のビジホを取って、ストロングゼロと当時ハマっていた鮭とばと美容パックを買って一人でそれなりに楽しい夜を過ごした。つくづくこういう性格でよかったなと思う。次の日は一日中岩盤浴でダラダラして、ポッカポカになったところで東京行きの夜行バスに乗りこんだ。

こっちに帰ってきてから何度か電話をかけたが「電波の届かないところに居られるか〜…」の繰り返しだったため、大学の友人の携帯を借りて電話を掛けたら1コールもしないうちに出た。さっすが営業。やっぱり着信拒否だったか〜。
「繋がるんか〜い!ちょっとちょっと〜〜」と言ったら私の声だと気づいたようで「絶対掛け直す!絶対絶対掛け直すから!」と言われて即切られた。

それきり連絡がついていないので、今となってはもう付き合っていたかどうかすらわからない。久しぶりにLINEのトップ画を見たらその人そっくりの子どもがすくすくと育っていた。まあもう何でもいいんだけど。




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