保育士実技試験(造形)令和5年前期課題「雨の外遊び」の解説、分析
受験生の皆さんお疲れ様でした!
今回の問題は、雨の外遊びでした。平成28年前期の問題(雨上がりの園庭遊び)に近い問題でした。過去問をやっていた方からすると簡単に感じたかもしれません。
今回もしろうず、言いたいことが山盛りなので、この記事はすぐには読めません(鬼です)。Youtubeでの解説後に実施したアンケート結果もあります。ぜひ、じっくりみていってください!
本記事はプロモーションを含みます。
それでは試験問題を見ていきましょう。
試験問題を読み解く
令和5年前期の問題文はこのような問題でした。
*ちなみにですが、平成28年前期の問題はこちらです。保育の情景としては、今回の問題にかなり近いことがわかるかと思います。このような問題も出たことから、今後は過去問の類題が出ることも予想できますね。(そろそろネタ切れなのかもしれませんね)
条件1に「事例に書かれている保育の様子」と出ていることについて
さて令和5年問題文の形式ですが、今回も、前回の令和4年後期、豆まき(クリックすると前回の分析記事に飛びます)と同様に、条件1で、「事例に書かれている保育の様子」を描くように指定されていますね。これについては、事例と条件の不一致を防ぐことが目的なんだろうと思います。
この形式にすることで受験生の混乱は防げると思いますので、これはこれで良かったのでは無いかなと思います。今後もこの形式が続く可能性が高いと思います。この件については後で具体的に述べます。
次に、中身を見ていきましょう。
3つのこどもの遊ぶ様子について
今回は、具体的な子どもの遊ぶ様子が3つ指定されました。
これら全てを描かなくては減点なのか?
という点、気になると思います。
あくまでもしろうずの見解なんですが、1つでも描けていれば、大丈夫なのではないか?と考えています。
だからね、かけてない動作があります、という方も、あまり心配せずにいて欲しいと思います。
しろうず独自アンケート(Youtubeコミュニティより)の結果からしますとおよそ半数の方が、どれか描けなかったと答えていらっしゃいます(2023年7月4日午後19時時点です)。アンケートにご協力いただいた皆さん、ありがとうございます。
やはり難しかったのは、「雨音聴く」というのが表現難しかった、出来なかった、という方が多いですね。これはね、難しいです!そもそも音を聴いている、というのを絵でどう表現するのか、イメージするのが難しいですね。例としては、耳に手を当てて聞いているとか、雨音のしている方を眺めているとか、または子どもがさしている傘の雨粒を多めに書いて音を楽しんでいるということにする……などなど、そういう表現できれば良いのかなと思います。ただ、まあ、わかりやすい仕草を実際に子どもがしてくれるとは限りませんし、そこは表現しきれなくても大丈夫です!
これが表現できなくても、その他の空き容器に雨を貯める、または水たまりで遊ぶ、この2点のいずれかが表現できていれば良いと思います。大丈夫ですよ!
傘、レインウェア、長靴などの物品について
そして今回は物品の指定も細かくありました。これについては、傘忘れました!とか、長靴履かせるの忘れた!レインウェア誰もきてません!など、ミスした〜と感じている方、沢山いらっしゃると思いますが、どれか描いていて、今回のテーマである「雨の園庭の様子」と分かれば大丈夫かと思います。水たまりはかなりの方が描かれたと思いますし、雨粒などでもテーマは表現できます。
今後もこういう細かい指定については、全部を描ききれなくても大丈夫です。トータルでみて、テーマに合致しているな、とわかれば大丈夫だというのがしろうず見解です。
雨の表現について
雨粒や雨の筋などで表現しましょう。空は曇り空としてグレーを使いましょう。ただし、それらを描けていなくても、水たまり・物品の傘またはレインウェアを描いていれば雨とわかります。
年齢について
今回は、4歳児クラスと指定がありますが、概ね子どもだな、と分かれば大丈夫です。これは「動きや動作を4歳児らしく描いてね、出来れば。」というざっくりした指定だと思ってください。発育はその子どもそれぞれ。細かい事は気にしない。ですね。
今回は4歳児ですから、標準的な発育段階を想定して、ハイハイしているとかでなければ良いのでは無いでしょうか。また、具体的な遊びの指定もありましたから、発達段階については、こだわる必要はないと思います。
身長も、大人に比べて、小さいな、とわかれば大丈夫です。細かく何センチ、などと考える必要はありません。
条件2、人数の指定について
例年と同じ、子ども3名以上、保育士1名以上人数については、4人が限界だと思います。これ以上増えることはないのではないでしょうか。減ることもなさそうです。減ると逆に難しいと感じる方もいるので今後も変わらないと思います(と願います)。
条件3、色塗りの指定について
「枠内全体を色鉛筆で着彩すること」とあり、例年と同じです。全体を彩色とあるので塗り残しはダメ、と思う方多いと思いますが、塗り残しの量次第で減点かどうか変わると思います。これは後述します。
受験生のミス・疑問あれこれ
保育士さんはレインウェアだと保育士とわからないのでは?
保育士さん、レインコート着せるとエプロン描けないけども、どう描き分けるの?と思った方がいらっしゃるようなのですが、これについては、大人である事が分かれば大丈夫でしょう。身長差などで表現してあげればOKです。「保育士」と名札や腕章をつけている保育園もないでしょうし、現実的なところでいいと思います。レインウェア着せてあげて大丈夫です。もちろん傘をさしてエプロン、でも大丈夫。
保育士さんや一部の子どもたちがずぶ濡れです
アグレッシブな保育園ですね!良いと思いますよ!雨に濡れて遊ぼうという保育園、あっていいんじゃないでしょうか。多分本当にどこかにあると思いますよ。野外活動重視のところとかありますしね。
雨粒降らすの忘れました
何人かいらっしゃるようですが、先ほど述べたように、格好が傘またはレインコート、それから水たまりも書いていれば、それは情景として雨だと分かります。それに、雨つぶって本当はあまり見えないでしょ?だから大丈夫と思ってください。心配ありません。
園庭なのに園舎を描いてしまったけど、園庭と分かりにくいかも?
私も描いていて、雨を貯めるという事は、園舎などの雨がボトボト垂れているような場所を描かなくてはいけないのでは…
とか思いましたが、みなさんが園庭=フェンスで描いた方が多いだろうと思いましたので、ほぼ、いつも通りの背景にしました。
ただ、園舎を描いた方は、むしろ雨を貯める場合の実際の保育に近いのではと思いますので、それはそれで良いと思います。地面が、みどりの芝とか、茶色とか塗っていれば大丈夫です。
塗り残しが一部あります、不合格でしょうか?
それだけでは不合格にはなりません。
フェンスの後ろの部分を白くしてしまった、という方は、それは塗っているとみなされるのではないかと思います。フェンスの向こうくらい大丈夫だと思います。そんな鬼じゃないと思うんですよ。
ただ、地面が塗れなかった、など明らかに無地で色なしな部分が少しある場合には、塗り残し判定で、減点かもしれません。ただ、少しだと思います。
理由としては、一般社団法人 全国保育士養成協議会HPには、「求められる力:保育の状況をイメージした造形表現(情景・人物の描写や色使いなど)ができること。」とあり、色塗りの他に、情景・人物の描写も採点に大きく影響するであろうことが想像できるからです。
なので、これのみで不合格になることはない、と考えてくださいね。
問題形式についての考察
条件1で事例の様子を描けと指定している件について
令和4年前期までは、事例は細かく、それに対して条件に書かれている指定がざっくりし過ぎていました。
例として、令和4年前期、フィンガーペインティングの問題を取り上げてみましょう。
この問題では、事例では具体的な子どもたちの様子が書かれているにもかかわらず、条件では「フィンガー・ペインティングで楽しく遊んでいる様子」とざっくりした指定となっています。
さらに言うと、この問題は悪問(と言い切ります)でした。それは条件2で「園庭での準備の様子が分かるように表現すること。」と書いていることです。これでは条件1とも、事例の文章とも指定が異なっていると取れます。事例は無視して良いのか、また条件1と条件2のどちらを描いたら良いのか、受験生は大混乱しました。こんな悲劇が令和4年後期に起こっていたわけなのです。
過去の悲劇を繰り返さないために、おそらく、試験問題作成者は悩んだことと思います。受験生が混乱しないような問題形式はどうしたらいいか?受験生が負担なく造形試験の問題に取り組むにはどうしたらいいか……その結果、事例の文章に続いて、条件1で事例の様子を描け、と指定する、という方針にしたのでは無いでしょうか。
今回、特に指定が細かかった件について
今回、「傘をさしたり、長靴やレインウェアを身に付けたりして遊んでいます」と細かな物品の指定、また、子どもたちの遊んでいる内容を具体的に指定してきたことに対しては、複数の理由が考えられます。
受験生が混乱しないということももちろんその一つでしょう。
また、この試験を実施する目的として、この造形試験の本質は、保育に必要な造形における知識や技術が伴っているかを見るためのものだと言うことです。
他の音楽や言語は取り組む課題が事前に提示されていて、しっかり準備ができます。しかし造形は課題が出ておらず、準備ができません。その点、非常に不公平です。当日、保育の現場にふさわしい情景のイメージ想起、さらには造形のスキルまで同時に問われるのは(しかも45分しかありません!)、保育の現場を未経験の受験生には、酷な話ではないでしょうか?
このように受験生に負荷が大きすぎると、試験で問いたいことから外れてしまうのではないか。そんな意見が試験関係者の中から出てきたのでは無いか……それが私の見解です(私の妄想かもしれませんが)。
また、採点する方からしても、この絵は何をしてるのかなー?と解釈に迷わずにすむというメリットがあります。条件文の指定がざっくりだと、何をしているかわからない場合に、すごくエネルギー使うと思います。採点する側もみなさんを合格させたいと思っているはずですので「一生懸命考えたけど、やっぱりわかんない……」っていうところに至るまで、ずっと、あーでもない、こーでもない、と推測して考えないといけない。
だから採点する人が迷わないように、の思いやりが、今回の具体的で細かな指定になった……そういう意図もあるんじゃないでしょうか?!ね、試験問題作成者の先生!いかがでしょう?
保育園で雨の日は実際外遊びするの?
こちらのアンケート結果ですと、保育園で働く方のおよそ8割の方が雨の日は外遊びをしないと回答されています。また1割の方が、梅雨の時期には1ヶ月に1回程度と回答されています。雨の日の外遊びはあまり多くはないようです。ただ雨でも関係ないと答えている方も少数ですがいらっしゃいますので、方針はそれぞれということもわかりました。
今回の試験は保育の場面としては、少し珍しいケースと言えるのかもしれないですね。
アンケートにご協力いただいた、先輩保育士さん、保育補助の皆さん、ありがとうございました。
合格する絵とは?
先ほど引用した、一般社団法人 全国保育士養成協議会HPには、「求められる力:保育の状況をイメージした造形表現(情景・人物の描写や色使いなど)ができること。」とあります。やはり、毎回お伝えしているところですが、保育らしい情景や、人物が人らしく描けているか、そして色使いが重要ポイントでしょう。
保育らしい情景とは、問題に記載のテーマを押さえつつ、保育士と子ども・子ども同士のふれあいが描けていることや子どもたちがイキイキと描かれていることだと考えます。
また人物が人らしくかけているかについては、関節があるか、人物の頭、手足の長さなど人物の体のバランスなどがおかしくないか、などがポイントでしょう。
色使いに関しては、明るめの色(明度が高い、ピンク・黄色・黄緑色・水色など)を中心に使い、適度に彩度が高い色や寒色(赤・青・緑・紫)なども組み合わせて、優しい、または元気の良い色使いになっているか、が求めている色使いと思われます。明度が低く、寒色ばかりが目立つ色使い(青・紫緑ばっかり)にはしないようにしてあれば問題ないと思われます。
最後に
今回については、問題文からして、園庭と保育室の間違いはなかったと思います。過去、紛らわしい問題の出題もありますので、今後受験する方はご注意くださいね(令和4年前期フィンガーペイントなど)。
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合格発表後、得点も合わせての投稿をお待ちしています。できれば、合格ラインを知りたい方が多いと思いますので、特に30点ギリギリの合格でした〜の方、お待ちしています!
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