読書。それぞれ。

昨年末からちょっとペースは落ち気味だけど、色々と読み進めた本それぞれ。ちなみに私が読む本の殆どが歴史&時代小説です。


☆「耳袋秘帖 赤鬼奉行根岸肥前」


ドラマ化された「妻はくノ一」シリーズは面白く読みました。「風野真知雄」さんの江戸町奉行が事件の謎を追う推理もの。沢山のシリーズ第一巻。

根岸肥前守って実在の人物で「耳袋」も実在の著作である。そして今回の記事で上げた別の作品「火山に馳す」の登場人物の一人「根岸九郎左衛門」も同一人物であった。シリーズ作品が多すぎて今のところ続きは保留中。


☆「水の城 いまだ落城せず」


同じく風野真知雄さんの著作。和田竜さんの「のぼうの城」実は原作も映画も見たことはないが、これは同じ史実の戦いの風野さんバージョンと言える。

豊臣秀吉の小田原征伐の時、北条氏の支城「忍城」の籠城を巡る争いを描いている。さえない家臣だと思われていた「成田長親」はいきがかり上城代の役目を担い、石田三成をはじめ多くの豊臣系武将たちの攻撃を他の家臣や町民農民と共に協力し合い寄せつけず、ついに小田原城開城まで守り通す。

「忍城」は現在は埋め立てなどで分からないが、当時は湿地と水堀が多く張り巡らされていた水城で、難攻不落と言われた小田原城とは規模は比べものにならないが、その地形などを生かして実際に落とされることはなかった。続日本100名城。行きたい。


☆「北条氏康 二世継承篇」


「富樫倫太郎」さんの「北条サーガ」の一つ。富樫さんは北条氏(鎌倉時代の北条氏ではなく戦国時代の北条氏、いわゆる後北条氏)を多く手掛けている、過去にも北条早雲を主人公とした作品も面白かった。

今回の北条氏康篇の第一巻、相変わらず面白い。富樫さんの北条サーガを読んでどうしてもその舞台を見に行きたくなって、一昨年に小田原、箱根、三島辺りを回ったのは良い思い出。これが聖地巡礼というやつか。これもシリーズ物で次は保留中。単行本はそれなりの値段がしますので。


☆「弥勒の月」「夜叉桜」「木練柿」


「あさのあつこ」さんの時代小説を初めて読んでみた。弥勒シリーズと言われるこの作品、いわゆる同心と岡っ引きの事件解決もの。

この同心がまたダークヒーローとは違う、いやめっちゃ嫌な奴。しかし一抹の魅力と言おうか、なんか悔しいけど出来るやつなのである。まあ下についてる岡っ引きの渋さと人情に薄められてる部分もあるか。

そしてこの第一巻に登場する小間物問屋「遠野屋」の清之助に魅かれる。事件の渦中にいる清之助とはいったい、ただの商人には思えない陰のある人物。実は2巻以降も登場する、この作品の重要な人物である。


☆「木挽町のあだ討ち」


「永井紗耶子」さんの直木賞と山本周五郎賞のW受賞作品。

ある雪の降る夜、芝居小屋のすぐそばで起きた「あだ討ち」。父親の仇を見事に討ち、称賛を浴びた事件だが、ある日その顛末を知りたいという侍が芝居小屋を訪ねてくる。そして数人の話を聞くうちに真の事実が見えてくる。

1人1人の短編的な話が大きな一つの事件を浮き彫りにしていく、というのは結構ある手法だけど、しっかりまとめられていて人情江戸時代ものとしても十分楽しめた。


☆「火山に馳す 浅間大変秘抄」


江戸時代の浅間山「天明大噴火」で大きな被害を受けた鎌原地区の復興を描いた作品。「赤神諒」さんは「大友サーガ」も手掛けていて好んで読んでおります。大分県民の方は一度どの作品でもいいので読んでみて欲しい。

この浅間山大噴火の被害はかなりのもので、特に鎌原地区は村民の約8割が死亡している。そして幕府から復興のため役人が派遣されるのだが、それが「耳袋秘帖」でも描かれている「根岸九郎左衛門(肥前守)」。作中では非常に豪快磊落で魅力的に描かれているが、災害の爪痕はあまりにも大きく生き残った村民たちの心の傷は中々癒える事はない。これをどう導いていくのか、根岸の苦悩と戦い、読み応え抜群である。この災害からの復興は史実を元にされている。


☆「教養としての歴史小説」


直木賞作家「今村翔吾」さんの教養としての歴史小説。今村さんの作品は好んで読んでますが、この著作、いろんな歴史小説の紹介かと思ったら、タイトル通り歴史小説を通して、実際に作者さんがこういう場面ではどうするべきか、など作中の人々の生き様や事象から人生の教訓というべき、実体験を交えた為になるお話だった。

これ実際私も歴史小説を好んで読んでるが本当に共感できる。そうそうと思えるお話がたくさんあった。



といったところ。新たな本も既に何タイトルか購入済、また次の機会に記事にしましょう。



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