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あこがれの輝き?町おこしの切り札?まばゆい純金の○○

こんにちは、ぶらっくまです。突然ですが、皆さんは「ふるさと納税」は活用されていますか。各自治体が寄付額を増やそうと、さまざまな返礼品を用意していますよね(返礼品競争の過熱や、自治体間の格差など問題も起きていますが)。そんな中、兵庫県のさん市が先日、ちょっと驚くモノを返礼品に追加すると決めました。

返礼品に純金トランプ、縁起良く777万円/切り札になるか、知名度アップに期待/ふるさと納税でさん

ふるさと納税の返礼品に加わる純金のトランプ(さん市提供)

 さん市は、ふるさと納税の返礼品に純金のトランプ(54枚セット)を追加する。返礼品の受け取りに必要な寄付額は、縁起の良さにあやかって777万円。他市町には目玉の返礼品を扱い「稼ぐ」自治体がある一方、三田市の寄付総額はいまいち伸びていないのが実情。果たして知名度アップの切り札となるか。

2024年6月9日付 神戸新聞朝刊記事より抜粋

記事によると、6月中旬のうちにも追加予定とのこと(神戸新聞NEXTで記事全文を読めます。会員用記事ですが、無料会員制度もあります)。三菱マテリアル(東京)の三田工場が受注生産するそうです。ふるさと納税の返礼品の調達額は「寄付額の3割以下」というルールがあり、金の価格がさらに高騰すれば寄付額は777万円から引き上げられます。

かなりの高額納税者でないと、ゲットできないですね。ただ市としても、「さん」ではなく「」と間違われることの多い地元の知名度を上げ、市のふるさと納税全体の呼び水にしたい、という狙いのようです。純金トランプで、ババ抜きや七並べをしている光景をちょっと見てみたいものですが。

「安全資産」として人気が高まっているきんですが、単なる投資対象としてだけでなく、昔から「豪華」「優雅」「富」などの象徴として用いられてきました。代表はジュエリーでしょうが、過去の新聞紙面を見ると、さまざまな「純金製○○」が登場しています。前置きが長くなりましたが、今回はきんにまつわる話題をお届けします。

純金ゴジラまばゆく 1億5千万円、神戸の時計店

約15キロの金で作られた「純金 GODZILLA」=神戸市中央区

 神戸市中央区の貴金属販売店「元町時計店」に、純金約15キロを使って制作された「純金 GODZILLA(ゴジラ)」(価格1億5千万円)がお目見えした。
 ゴジラ生誕60周年を記念して田中貴金属ジュエリー(東京)が2014年に制作し、全国で巡回展示している。1989年発表の映画「ゴジラVSビオランテ」がモデル。高さ約24センチと小柄だが、盛り上がる筋肉や鋭い牙、爪、何より黄金の輝きは、「本物」に劣らない貫禄を見せている。

2017年7月6日付 神戸新聞夕刊記事より抜粋

次も、同じ貴金属店からの話題です。

値段を付ければ3億円相当…/「純金千両箱」を公開 神戸・貴金属販売店 

3億円相当の値段という「純金千両箱」=神戸市中央区

 値段を付ければ現金3億円相当という「純金千両箱」が、神戸市中央区元町通1の貴金属販売店「元町時計店」で公開される。重さは約36キロで、表面は木目調に加工。純金のみを使用した重厚な輝きと繊細な細工を、間近で楽しめる。
 千両箱は幅32センチ、横19センチ、高さ11センチ。貴金属加工販売の「田中貴金属工業」(東京)が10年以上前に制作し、取引のある全国の店舗で公開しているが、兵庫県内では初公開。
 金具や取っ手など16種類49個の部品、320個のくぎも全てが純金製。同社によると純金は柔らかく加工が難しいといい、職人が手作業で約3カ月間かけて加工、溶接した。
 箱の中に500グラムの純金バー(約250万円相当)10本を入れ、ガラスケース内で展示する。

2017年3月17日付 神戸新聞朝刊記事より抜粋

ミッキー 黄金スマイル/純金像展示

純金製ミッキーマウスとミニーマウス像ⓒDisney=神戸市中央区

 アメリカの映画製作者ウォルト・ディズニーの生誕110周年を記念して制作された純金製のミッキーマウスとミニーマウス像が、神戸・三宮の百貨店にお目見えした。日本では初公開で、愛らしく、美しく輝く姿が多くの人の目をくぎ付けにしている。
 「ディズニースタイルフェア」の企画で、高さ20センチ、重さは2キログラムある。富山県の専門メーカーが制作し、1体3千万円の値が付いている。

2012年10月16日付 神戸新聞夕刊記事より抜粋

次の記事は、「こんなところにもきんが…」と驚く人もいるかもしれません。

議員バッジ 価格高騰/全国地方議会調査/「金」上昇で単価最高6万6千円

兵庫県議会の議員バッジ

 多くの地方議会で当選時に公費で配られる議員バッジが、金の価格上昇で値上がりしている。47都道府県議会では、2023年4月の統一地方選後、38議会が全議員に新品を配布したが、うち32議会で4年前よりも単価が上昇。最高額は福岡と青森県で、前回の約2倍となる1個6万6千円だった。高騰を受けて安価な素材に変更した議会もあり、兵庫県議会でも一部から「見直しが必要」との声が出ている。

 各議会事務局にアンケート形式で尋ね、全議会から回答を得た。
 統一選で改選を迎えた41議会でみると、山形、福井、三重の3県は支給や貸与の対象を新人と元職に限定。連続2期目以降の議員は前任期までのバッジを継続して使っている。
 全議員に配った38議会で最高額だった福岡県議会(定数87)は主に18金などを使った本章に加え、3万8500円の略章も配布。二つ合わせた費用は1人当たり10万4500円に上り、議会全体では900万円を超えた。
 同じく最高額の青森県議会(定数48)も18金製で、規定上は「貸与」する形だが返却を求めておらず、今後は任期終了後に回収するという。このほか、愛知が5万円台、広島など5県議会が4万円台だった。
 兵庫県議会(定数86)は1万4300円で、4年前(8640円)の1・7倍に。全国的には最も多い価格帯だが、議員の一人は「支給は1期目限りとし、2期目以降は必要に応じて実費購入」とするよう提言。今期は新品を受け取らず、過去のバッジを着けている。
 単価が1万円未満の議会も6議会あった。大阪府議会(定数79)は純金製から、金メッキを施した真ちゅう製に変更し、約2万1千円が3740円と5分の1以下になった。地元産木材のPRで木製の略章(3190円)も作ったが、合わせても7千円以下に。滋賀県議会(同44)も素材を見直し、4分の1の約6400円に抑えた。
 23年春に選挙のなかった6都県で最高は岩手県議会の1個約4万円。東京都議会は1万2980円だった。
 金は不況でも暴落しない「有事の安全資産」とされ、新型コロナウイルス禍やウクライナ情勢を受けて価格が上昇。地金大手の「田中貴金属工業」(東京)によると、19年4月の小売価格は1グラム4661円だったが、23年4月には同8620円まで値上がりした。

2023年7月24日付 神戸新聞朝刊記事より抜粋

ところで、冒頭でさん市の話題を紹介しましたが、われわれ神戸新聞の記者が「兵庫県内の自治体できんといえば―」と真っ先に思い起こすのが(年代にもよりますが)、淡路島の旧町(現淡路市)です。

1989(平成元)年、竹下登内閣が全国の市町村に一律交付した「ふるさと創生事業」の1億円を財源に、町内の施設で「1億円金塊」を展示。その年の施設来場者は38万人に上り、当時、全国的なニュースとなりました。

その出来事を簡単に振り返った記事があるので、ご覧ください(詳しくは、この「うっとこ兵庫」に「ふるさとを創った1億円。淡路島の金塊と、その後の姿」という記事があります)。

<プレーバック 平成あの日>1989(平成元)年3月6日 /旧津名町に1億円金塊 地方創生、次の時代も

ふるさと創生基金で購入され、展示されていた金塊=2005年3月、兵庫県津名町(現淡路市)

 〈海か陸か空か、輸送ルートも極秘というスパイ映画並みの厳戒態勢の中、一億円の金塊が空からやってきた〉
 1989年3月6日、兵庫県の旧津名町(現淡路市)に1億円分の金塊が届いた際の様子を紹介する神戸新聞夕刊の記事だ。ジュラルミンケースに入れられ、ヘリコプター3機で運ばれてきた、とも伝える。
 財源は、竹下登内閣が全国の市町村に一律交付した「ふるさと創生事業」の1億円。地域主体の振興策を後押しするため、使い道はそれぞれに任せられた。
 日本一長い滑り台に公営キャバレー、文化施設の建設…。各自治体が活用策に知恵を絞る中、津名町が選んだのが金塊だった。1億円を担保に業者から借り受け、観光施設で展示。ユニークなアイデアが評判を呼び、高い集客力を誇った。
 曲折もあった。2001、02年と相次ぎ窃盗未遂被害に遭い、財政難や周辺自治体との合併の折には「返却して換金を」との声も。役割を果たしたとして10年に現金化され、以降は市の基金に積まれていたが、改元を前にした19年度予算案でようやく次の使途が複数に分けて示された。
 その目玉の一つが、公営バスを金色にラッピングして運行する試み。人口減少が進む中、地方創生はさらに重みを増す。さて、前途やいかに。

2019年3月8日付 神戸新聞朝刊記事より抜粋

上の記事の最後にある「金色のラッピングバス」はその後、実際に運行されました。

淡路市 乗れば幸運!?/金色のバス 記念式典で披露

お披露目された金色のバスと園児たち=淡路ワールドパークONOKORO

 「淡路市南部生活観光バス」の運行記念式典が、同市の観光施設「淡路ワールドパークONOKORO」であり、車体を金色にラッピングしたバスが公開された。
 5町合併前の1989年、旧津名町が国のふるさと創生事業を活用した「1億円金塊」。市は基金として残る1億円の一部で、金色のバス1台を導入した。バスの運行経路は事前に明かされないため、市は「運よく乗れれば幸せが訪れるかも」とPRする。
 式では、テープカットでバスをお披露目し、「ゴールデン・ドリームバス」の愛称を発表。家族連れらがバスの前で記念写真を撮り、車内を見学した。

2019年9月16日付 神戸新聞朝刊記事より抜粋

旧津名町時代に端を発する「きん推し」はバスにとどまりません。

淡路市の「オノコロ」シンボルの大観覧車/ゴンドラ新調 金色に/1億円の金塊にあやかり「乗れば金運アップするかも!?」

 淡路市塩田新島の遊園地「淡路ワールドパークONOKORO(オノコロ)」のシンボルで、存続の危機に立っていた大観覧車が、ゴンドラを金色に新調し復活を遂げた。昨年、原因不明の故障をきっかけに大改修を決めたが、高額な費用がネックとなり、一時は工事が頓挫。経営者らのひらめきで逆境を乗り越えた。

 大観覧車は1998年、明石海峡大橋開通に合わせて造られ、阪神・淡路大震災からの復興を願う地元の希望を乗せて回り始めた。高さ約50メートル。ゴンドラは40基、約14分で一回りし、人気アトラクションだった。
 しかし2022年5月、開業以来初のトラブルに見舞われた。営業中に入園者を乗せた状態のまま駆動が停止。非常用エンジンが作動し事なきを得たが、故障の原因は分からなかった。
 同園は安全を最優先し、主要部品を交換することにした。部品の調達を待つ間にゴンドラも点検。その結果、想像以上に老朽化していることが分かった。
 「ゴンドラの交換も必要だ」と早速、費用の見積もりを取ったが、想像以上の高額になることが判明。支配人の男性(68)は「とても払える額ではない。施設の運営そのものに支障が出る」と頭を抱えた。
 ゴンドラ交換の交渉は中断し大観覧車は存続の危機に。従業員からは「何とか復活を」と声が上がった。
 妙案を絞り出したのは、同園の運営会社「ONOKORO」の代表の男性(67)だった。ゴールデンウイークなどの繁忙期でもゴンドラの稼働率は50%ほど。「半分だけ交換してはどうか。新しいゴンドラにだけお客さんを乗せればいい」
 発想の転換に支配人も「それならできる」と賛同し、交渉を再開。何とか賄える金額を引き出した。
 今年に入り、まず傷んだゴンドラ20基を順次取り外した。しばらくは不規則な「歯抜け」状態だったが、「見栄えが良くない」と一つおきに並び替え、新たなゴンドラの完成を待った。
 「普通のゴンドラでは面白くない」と、同園はここでも知恵を絞った。
 開業当時の地元自治体、旧津名町は1989年、国の交付金で「1億円の金塊」を入手し展示。多くの観光客を集め、全国に町の名を知らしめた。「よし、あやかろう」と新ゴンドラを金色にすることに決めた。
 8月下旬、金ピカのゴンドラが到着し、一つ一つ大観覧車に取り付けられた。動きの確認や非常時の訓練を経て、再び回り始めた。
 支配人は「乗れば金運がアップするかも」とにやり。代表は「地元では、金色のバスも走っている。輝くゴンドラに乗って幸せな気分を味わってほしい」と笑顔を見せた。

2023年9月15日付 神戸新聞朝刊記事より抜粋

〈ぶらっくま〉
1999年入社、神戸出身。きんの話題、いかがでしたか。近頃、金の相場価格が上昇しているというニュースをよく耳にするようになりました。私は縁がないですが、議員バッジに金を使う必要はないと思います。