日本最古の香辛料「山椒」がつむぐ物語
産物を生む土地の個性、味や香りを決めるさまざまな自然環境を「テロワール」と言うそうです。摂津、播磨、但馬、丹波、淡路の旧五国からなる兵庫はその宝庫です。中でも昨今、国内外から注目される産物があります。緑鮮やかな大粒の実。爽やかな柑橘の香りと味わい。舌を軽くしびれさせる辛み。そう、「山椒」です。
千年に及ぶ歴史がありながら、一時途絶えた時期もありました。しかし、地元住民らの手によって復活を遂げ、その魅力は広く発信されています。国内屈指の一大産地、但馬の「朝倉山椒」、神戸の「有馬山椒」の物語をたどります。
家康も好んだ天下の名産 朝倉山椒
牧野富太郎が登録
14年かけた復活劇 有馬山椒
<ド・ローカル>
1993年入社。焼き鳥や鰻に振りかける山椒も好きですが、一番の好みはちりめん山椒です。何杯でもご飯が進みます。私は但馬出身なのですが、子どもの頃、朝倉山椒の存在はまったく知りませんでした。手元に「朝倉山椒とその風土」という本があります。朝倉山椒のルーツ、栽培の歴史、研究成果がまとめられています。発刊したのは耕作放棄地の解消に取り組む八鹿町大森区の有志グループ「やろう会」。朝倉山椒の再生に向けた歩みを「次世代に伝えたい」と出版したそうです。その思いが継承されることを期待します。