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中井久夫さんが教えてくれたこと

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「心のケア」が広がるきっかけとなった1人の医師の足跡を、数回に分けてご紹介します(※神戸新聞で2023年1月に掲載した連載記事を一部再構成し、再録しています)。
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連載「中井久夫さんが教えてくれたこと」⑴⑵

重苦しい年明けとなりました。能登半島地震の被災地は、発生1週間を過ぎても被害の全容が見えず、道路の寸断や悪天候で救助が難航しています。食事や物資は不足し、避難所の衛生環境も悪化しています。 お亡くなりになった方々のご冥福をお祈りし、ご遺族に心からお悔やみを申し上げます。被災された方々の安全と一刻も早い復旧を願うばかりです。 今回と同じ1月に起きた阪神・淡路大震災では、避難先などでの「災害関連死」が921人に上りました。「阪神・淡路大震災の反省、教訓は生かせているか」。1月

連載「中井久夫さんが教えてくれたこと」⑶⑷

※神戸新聞で2023年1月に掲載した連載記事「中井久夫さんが教えてくれたこと」を一部再構成し、再録しています。 (3)地震発生支援者の存在に意味がある ▼一時は神戸を精神科医で飽和させるぐらいにしたいと思いました―「中井久夫集7 災害と日本人」(みすず書房) (4)こころのケアセンター被災者を置き去りにしない ▼この小さな研究所は、心的外傷を忘れようとする社会の自然的傾向に流されずに存続する―「中井久夫集9 日本社会における外傷性ストレス」(みすず書房)

連載「中井久夫さんが教えてくれたこと」⑸⑹

※神戸新聞で2023年1月に掲載した連載記事「中井久夫さんが教えてくれたこと」を一部再構成し、再録しています。 (5)時代を超えて心の孤独に寄り添う社会へ ▼医師が治せる患者は少ない。しかし看護できない患者はいない―「看護のための精神医学」(医学書院) (6)エピローグ被災地に注いだ優しさと情熱 ▼私の研究の〝成功〟とは、一部が常識となり、忘れられることである。私はそうであることを願っている―「最終講義」(みすず書房)